大抵、安いグレードには小さいサイズのタイヤが装着されていて、上級グレードにはそれよりも1インチ大きいタイヤを履いているケースが多い。
そうした1インチサイズが大きいサイズだと、見た目はいいが、乗り心地の面では1インチ小さいサイズの方がいい場合が多い。
乗り心地を重視したい人には、1インチ小さいサイズを履きたいと思う人も多いハズだ。
サイズの小さいタイヤは安価なことも多く、「ひとつ小さいサイズまでしか愛車に適合しないブランドがあるんだけど…もしこのブランドのタイヤが装着できるなら…」と、危ない計算をしたことがある人もいるのではないか(本企画担当はあります。断念しましたが…)。
そこで、小さいサイズに代える=インチダウンすると、どんなことが起きるのか? 何か弊害はないのか? 自動車テクノロジーライターの高根英幸氏が解説する。
文/高根英幸
写真/ベストカーWeb編集部 横浜ゴム
【画像ギャラリー】インチダウンできる同じ車種でタイヤサイズの違うクルマ
タイヤ空気圧を変えただけでも乗り心地は変化する
最近はフニャフニャに柔らかい=乗り心地が良いと感じる人は少なくなってきたようだが、乗り心地の「良い/悪い」は人によって好みが異なり、千差万別と言っていいくらい評価が分かれるものだ。
クルマを購入して、その乗り心地が自分の想像や好みと違っているのなら、タイヤホイールを見直してみるのもいい。これも立派なチューニングだ。
手始めはタイヤの空気圧を少し変えてみる、これだけで乗り心地に変化が生じることに気付くハズだ。
20MPa(0.2kg刻みで空気圧を変えるだけで、乗り味が変化することが分かれば、季節による気温の上下動もあってタイヤの空気圧は変化するから、常に自分好みの空気圧をキープするようにするといい。
ただし、あまり低い空気圧にしてしまうのは、路面のギャップなどを通過した際の衝撃でホイールのリムを傷めてしまうこともある。上下2割程度が調整幅だと覚えておこう。
空気圧を下げると走行中のタイヤの変形量が増えて、転がり抵抗の増大に繋がり燃費を悪化させる原因にもなる。逆に高すぎてもあまり燃費低減効果はないし、アッパーマウントやハブベアリングなど足回りを傷める原因にもなるから注意しよう。
とは言うものの、空気圧だけでは望み通りの乗り味を求めることは難しい。これは最後の微調整とも言える領域だからだ。
乗り味を変えるには、タイヤ銘柄の変更、タイヤサイズの変更、タイヤ&ホイールの変更、サスペンションやボディのチューニング、シートの変更という選択肢がある。
ここではタイヤ関連に絞り込んで話を進めていくが、基本的な考えとして、タイヤ外径を変えるのはタブーだということ。なぜなら、タイヤ外径はクルマの様々な機能に影響を及ぼすからだ。
インチアップ&ダウンをするにあたっての基礎知識として、ロードインデックスとエクストラロード(XL)/レインフォースド(RFD)規格について少し解説しておこう。
ロードインデックスは、タイヤ一輪が受け持てる荷重指数で、例えばタイヤ側面に215/45R17 87Wなどとタイヤサイズが書かれているが、この87がロードインデックス。インチアップする時は、なるだけこの数字が下がらないようにする必要がある。
ところがあるタイヤサイズでは、インチアップするとロードインデックスが下がってしまうサイズがある。
そのためタイヤ内部の構造を強くしてスタンダードのタイヤより空気を多く充填できるように作り、ロードインデックスを高く設定したタイヤが作られているのだ。
それがLX/RFD規格のタイヤというわけだ。例えば205/50R16 91Vをインチアップする時、スタンダードなタイヤだと215/45R17 87WになるがXL/RFD規格のタイヤは215/45R17 91W XLとなり、ロードインデックスが合う。
ただし 一般的なタイヤの空気圧の基準(上限)が240kPs(キロパスカル≒2.4kg/cm2)で設定されているのに対しXL/RFD規格のタイヤは、280kPsとなっているので、空気圧の充填量が変わってくるので注意が必要だ。
これらはタイヤカタログの後ろのほうに書かれているので、参考にするといいだろう。
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