タイヤ外径を変化させることで起こる影響とは
タイヤ外径を大きくする、ホイールのサイズはそのままでタイヤの厚みを増やすことは、乗り心地の向上につながると考えている人が多いのではないだろうか。
しかし、程度問題ではあるものの、外径を大きくすることはクルマに様々な問題を生じさせる原因になる。
ホイールをそのままにタイヤ外径を大きくすると、タイヤの重量が増えて、路面からの突き上げでタイヤホイールが揺さぶられるドタドタした乗り心地になってしまう。
またフル転舵した時に、インナーフェンダーとタイヤが干渉してしまう問題が起こることもある。これはローダウンしてインチアップなどをした際にも起こり得る問題だ。
インチダウンのメリット、デメリットは?
タイヤの厚みを増やして乗り心地を改善したいなら、ホイールをインチダウンして、その分タイヤの厚みを増やして外径を維持することで実現できる。
純正ホイールでもグレードによってホイール外径が異なる車種は多い。ベースグレードは小さめのスチールホイールで、上級グレードはインチアップされたアルミホイールが装着されている、というパターンだ。
これはアルミホイール装着によるコストアップを抑えて、スチールホイールの重量増を抑えるためにベースグレードではアルミより小径のスチールホイールを組み合せるというもの。
日産のノートを例に挙げると、ガソリンエンジン仕様のノートの標準タイヤは185/70R14だ。それに対してオプションで185/65R15が用意されている。
そして、ノートe-POWERは185/65R15が標準タイヤだ。これはe-POWERのほうが車重が160~200kgも重く、走行中のタイヤに掛かる負担が大きくたわむ量も増えるので、ケーシング剛性の高い低扁平タイヤを選択しているのだ。
またスチールホイールの場合、外径が大きいと重くなってしまうので、ガソリンエンジンのノートはコストも考えて14インチを選択しているという事情もあるだろう。
乗り心地や走りの軽快感を優先して、ノートe-POWERのタイヤを後から、ノートのガソリン車に標準設定されている185/70R14タイヤに交換するのもありと言えばありだ。ただし、ノートe-POWERに185/70R14タイヤのオプション設定はない。
とはいえ、ロードインデックス(タイヤ1本で支えられる、規定の条件下での最大負荷能力=最大耐荷重) は同じ(純正タイヤの場合)なので、強度的には問題ない。
ちょっと個性的なアルミホイールを履いてインチダウンさせるカスタムの手法もあるし、タイヤのケーシング剛性(サイド剛性)が高いスポーティなタイヤを組み合せることで、より走りと燃費を両立させることもできるだろう。
純正ホイールから、アフターマーケットのアルミホイールでインチアップした場合に、タイヤが低扁平となることで剛性が上がってしまい、路面からの衝撃がサスペンションに多く伝わるようになってドタバタした動きになってしまうケースもある。
そんな場合はインチダウンすることで、しなやかな走りと快適な乗り心地を手に入れられる場合も多い。ホイールの小径化による軽量化と、タイヤの剛性低減による衝撃吸収性の向上が、乗り味を大きく変えるのだ。
厚みを増やさずインチダウンだけを行なっても、バネ下重量の軽減になって低重心になりクルマの動きはキビキビと軽快になるが、これはタイヤ外径が小さくなってしまう。
トータルでの減速比が大きくなる分、燃費が悪くなるしスピードメーターの誤差も生じてくる。それにフェンダーとタイヤの隙間が大きくなって、見た目にもスカスカしてカッコ悪いので、お勧めすることはできない。
インチダウン最大のデメリットは、大径ブレーキが付かないこと。1サイズ小さなホイールを履かせるためにまず考えなければいけないのはブレーキとの干渉だ。
では、メリットは何かといえば、例えば60偏平のタイヤを70偏平、82偏平にする必要はないと思うが、40、45、偏平あたりを50、55、60偏平にするのは、かなり有効なことがある。
例えばスタッドレスタイヤ。純正サイズの関係で低偏平なスタッドレスを履かなければならないケースが多く見られるが、もしブレーキが干渉しないなら、40偏平を→45、50偏平に、あるいは45偏平を50、55偏平にし、それに合わせてホイール径も19→18、18→17インチにすると断然コントロール性がよくなる。グリップ限界が若干低くなる分扱いやすくなるともいえる。
タイヤがよじれ、ねじれる等、変形する様子がわかりやすいと、グリップの変化を予測しやすくなるのだ。滑り出しも穏やかになる。なによりタイヤもホイールも安くなるのもユーザーにとっては大きなメリットだ。
スポーティなクルマは、あまり性能ダウンは薦められないが、コンフォート性の高いセダンやミニバンなどは、純正サイズかタイヤ設定によってはインチダウンもありではないかと思う。
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