原油のマイナス価格によってガソリン価格は安くなる?
そもそもマイナス原油価格はどのような状態かといえば、売り手が買い手に対してドルと原油を渡すことで、買い手に引き取ってもらう状況になる。
マイナス37.63ドルであれば、原油1バレルについて37.63ドルを支払うことで、買ってくださいという完全な買い手市場になっていることを意味する。
もしガソリン価格がマイナスになったら、ガソリンスタンドで給油した分だけお金がもらえるようなことになる。
そんな事態はありえないが、原油の取り引きでは実際に起こったのだ。原油を備蓄できる量にも限界があり、消費が落ち込んで在庫がダブついて、どうしようもない状態に陥っているのが現状なのである。
こうなるとガソリン価格も大幅に下がるのでは、と思うかもしれない。しかし少なくとも日本においてはガソリン価格の値下がりには限度がある。
それはガソリンや軽油の価格のうち半分近くが税金であるだけでなく、この先物市場での価格はあくまでガソリン価格の上下には参考にしかならないからだ。
というのもガソリンの元売り各社は、原油を先物市場で確保している訳ではないのである。
価格の変動が報道され、注目されるのは2ヵ月先が引き渡し期限となる原油の先物価格だが、これはWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)原油の価格だ。
ほぼ同じように価格がスライドしているものの、日本が輸入しているのは、主に中東産の原油だ。
日本のガソリン元売り会社が契約しているのは中東の産油国で、1年先まで契約していると言われている。つまり、少々の価格変動があっても、実際の取引額は敏感に反応する訳ではない。
それはなぜかというと、日本は世界で第4位の石油消費国である(そうはいっても1位の米国の5分の1、2位の中国の3分の1と、上位2国とは大分開きはあるが)、膨大な原油を安定して確保するためにとられている手段なのだ。
それに石油はタンカーで1ヵ月以上かけて運ばれるため、手に入れるには時間がかかる。
地続きでパイプラインで運ばれているような状態では、逆に消費量が減って備蓄するタンクがいっぱいになってしまうと原油を汲み出すことができなくなり、操業がストップしてしまう恐れがある。
WTI原油の先物価格が暴落したのは、そうした背景も要因だったと言われている。
日本の場合、原油はほぼ100%輸入に頼っていることもあり、どうしても価格が高値安定傾向になってしまうのだ。
これは火力発電で使われている石炭や天然ガスについても同様である。つまり先物市場での相場は、新たに契約を結ぶ際の目安や交渉材料として使われる程度に過ぎないのだ。
マイクロプラスチックによる海洋汚染など環境問題の影響で、世界的に石油製品の使用が見直されていることもあり、石油の消費量はこれから伸びる要素は少ない。
コロナ禍が終息すれば経済は復活し、一時的には今よりも消費は増えるだろうが、従来の石油製品を大量に使う生活にまでは戻らないハズだ。
新型コロナウイルスの感染被害が終息する気配を見せない現在では、ガソリンの消費は回復する見通しは立たないから、燃料価格もしばらくは下落して、安い価格が維持されるだろう。
すでにレギュラーガソリンの最安値は100円を切った!
4月4日時点で「gogo.gs」に掲載されている全国の最安値を調べた際にはレギュラーガソリンの最安値は102円、ハイオクガソリンの最安値は113円だった。
そして今回、4月23日のデータを見ると、ついにレギュラーガソリンの最安値は100円を突破し、99円(和歌山市)というところも出てきている。ハイオクガソリンの下落も進んでおり、最安値は111円(北海道旭川市)だった。
ちなみに東京地区の最安値はレギュラーガソリンが109円(東京都昭島市)、ハイオクガソリンが120円(東京都昭島市)だった。
石油情報センターでは「原油の需要の落ち込みは減産の量を上回るとの指摘もあり、原油価格は低い水準で推移している。来週のガソリン価格も値下がりが続くとみられる」という見通しを立てている。
今後、レギュラーガソリン100円台のガソリンスタンドがさらに増えていき、全国平均価格が下がっていくのは間違いない。
ただし、ガソリンの小売価格に原油価格が反映されるまで1ヵ月くらいのタイムラグがあると言われており、さらに実際に元売り会社が原油を取り引きするのは1年後の現物なので、先物市場の相場通りとはいかない部分もある。
ひょっとすると元売り各社が経営危機になれば、安定供給のために政府から元売り会社へ支援の手が入るかもしれない。
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