充電インフラと都市の壁……BEV普及の前に立ちはだかる「現実」 イマあらためてハイブリッドがモビリティの最適解とされる理由

各メーカーともハイブリッドシステムの開発は避けられない状態に

初代プリウスと同時期に登場したホンダ インサイトは、当時世界最高の超低燃費35km/Lを実現
初代プリウスと同時期に登場したホンダ インサイトは、当時世界最高の超低燃費35km/Lを実現

  当時のプリウスは市街地の実用燃費でおおよそ15〜20km/L程度だった。それでも当時としては驚異的な数値だったが、現在のハイブリッド車はさらに進化している。最新モデルではWLTCモード燃費で40km/Lを超える車両も登場しており、SUVのような大型車であっても実用燃費20km/Lを容易に達成する。

 この燃費性能向上は、エンジンの熱効率向上だけによるものではない。空力性能の改善、転がり抵抗の低減、タイヤ技術の進歩など、自動車全体の総合性能が大きく高まった結果である。ハイブリッドシステムは現在、多くのメーカーが採用しているが、その方式はさまざまだ。ベルト駆動モーターを補助的に用いるマイルドハイブリッドや、エンジンを発電機としてのみ使う方式なども存在する。

 しかし効率の面では、依然としてトヨタのTHS方式ハイブリッドが一つの完成系となっている。近年ではトヨタ方式の特許の一部が公開されたこともあり、他メーカーも同様な本格的ハイブリッドシステムを開発し始めている。

ディーゼルとの組み合わせにも活路があるか

FR縦置きベースのプラットフォームに直6ディーゼルターボとハイブリッドシステムを搭載したマツダ CX-60。その走りに魅了されるものも少なくない
FR縦置きベースのプラットフォームに直6ディーゼルターボとハイブリッドシステムを搭載したマツダ CX-60。その走りに魅了されるものも少なくない

 今後の進化を考えると、いくつかの方向性が見えてくる。ひとつは、さらなるエンジン効率の向上である。現在でもガソリンエンジンの熱効率は40%を超える領域に達しており、一部では45%近い数値も報告されている。

 これは従来ディーゼルが得意としてきた領域に迫るものだ。もうひとつの可能性は、異なる内燃機関との組み合わせである。例えばメルセデス・ベンツは、ディーゼルエンジンとモーターを組み合わせたディーゼルハイブリッドを市場投入している。燃費に優れるディーゼルと電動モーターの組み合わせは理論的には非常に合理的だ。

 またマツダが開発したCX-60、CX-80では、直列6気筒ディーゼルターボエンジンにハイブリッドシステムを組み合わせている。大型SUVでありながら平均燃費20km/L前後を達成しており、その技術的挑戦は高く評価されるべきだろう。

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今後あらゆる組み合わせのハイブリッドもありえるか?

トヨタは水素方面にも力を入れている
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 さらに将来的には、水素燃料エンジンやバイフューエルエンジンとハイブリッドを組み合わせたシステムも考えられる。あるいは車体表面の太陽電池化、サスペンションのエネルギー回収、タイヤの発電素材など、走行中のあらゆるエネルギーを電力として回収する技術も研究されている。

 これらが実用化されれば、実用燃費30km/L、あるいは40km/Lに迫るハイブリッド車が登場する可能性も決して夢ではない。一方、電気自動車は排出ガスを出さないという点で環境性能の高さが強調される。

 しかし発電の多くが火力発電に依存している現状を考えれば、その環境負荷を単純にゼロと考えることはできない。バッテリーの製造や廃棄の問題も含め、総合的な環境評価はまだ議論の余地がある。こうした現実を踏まえると、少なくとも今後5〜10年の間、ハイブリッドがモビリティの主流として位置付けられる可能性は極めて高いと考えられる。

2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤーの1位と2位をそれぞれ分け合ったのはS:HEVを搭載するフォレスターとe:HEVのプレリュードだった
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 もちろん20年、30年先の技術革新までは予測できない。新しいエネルギー技術が登場すれば、自動車の姿は大きく変わるかもしれない。

 しかし現在の技術と社会条件を冷静に見れば、ハイブリッドこそが最も現実的な解であることは明らかだ。自動車メーカーは、この不確実な時代において生き残りをかけた難しい舵取りを迫られている。その中で最も重要なのは、現実を見据えた技術選択である。電動化の理想を追い求めることは重要だ。

 同時に、今の社会で実際に機能するモビリティとは何かを見極めることこそ、自動車メーカーに課された真の課題なのだ。

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