臭い 冷えない なかなかうまくいかない… 間違いだらけのカーエアコンの使い方


 GW(といってもコロナで自粛していたが)が過ぎて、20度を超える日が多くなり、25度を超える日も珍しくなくなってきた。

 外気温はそれほど高くなくても、陽射しが強くなればクルマの車内は温室状態、すぐに室内の気温は上昇する。

 さらに陽射しで顔や身体がジリジリと焼かれれば、いつもの設定温度では暑く感じるので、エアコンの設定温度を下げたくなるものだ。

 しかし、冷房を効かせようといざエアコンを入れると、あまり冷えなかったり、吹き出し口から変な臭いが出てきたり……と、なかなか快適にならない、なんてことも珍しくない。

 そこで、これから梅雨、夏の時期を快適に過ごすために、エアコンのお手入れ方法から、正しい温度設定の仕方まで、モータージャーナリストの高根英幸氏が徹底解説する。

文/高根英幸
写真/ベストカーWeb Adobe Stock

【画像ギャラリー】エアコンの構造とは?「エアコンはこうして冷えている!」


1/あまり冷えていないと感じたらクーラーガスの補充を

エアコンが正常に作動しているか、1万5000円前後で診断をしている業者もある

 今年は暖冬だったので、それほど暖房も強く効かせないためヒーターだけで窓が曇ることも少なかった、という人も多かったのではないだろうか。

 またエンジンの反応や加速を良くしたり、燃費を向上させるためにエアコンを使わなかった人も、5月以降、日差しが強い晴天の日には冷房のスイッチを入れた人が多かったのではないだろうか。

 いざ冷房! とスイッチをオンにして設定温度を下げてもダクトから出てくる風が充分に冷やされていなければ、車内の快適度はガクンと下がってしまうものだ。

 冷房の効きが悪い原因はいろいろあるが、まず疑うべきはコンプレッサーが正常に動いているかどうか。

 エアコンスイッチを押し「カチッ」と音がすればコンプレッサーは正常に起動している証拠。

 スイッチ音が聞こえず、エアコンも作動しない場合は故障かもしれない。エンジンから異音がする場合は、コンプレッサーのベアリング不良や内部損傷の可能性もある。

 そして、一番多いのが冷媒、すなわちクーラーガスが不足していることだ。クーラーガスは冷気を作り出す元になる冷媒で、エアコンの配管内に高圧で充填されており、圧縮して冷却され液化し、放出して気化するというサイクルをエアコンシステム内で循環している。

 以前は液化した冷媒を貯めるレシーバーに、サイトグラスというクーラーガスの充填量をチェックできるガラスの点検窓を装備していたが、最近はメンテナンスフリー化もあって簡単にチェックできないクルマも多い。

■エアコンガスの量をチェックする方法

 ボンネットを開けて、小さな丸い窓ガラスのようなものがあったら、それがサイトグラスだ。

 エンジンをかけてエアコンをONにしてから、サイトグラスを見る。サイトグラスに見える気泡の量で、エアコンガスの量がわかるのだ。

 気泡がまったくない透明の状態は過充填、透明または気泡が時々見えるならエアコンガスは充分に入っている状態。気泡がたくさん見える場合はエアコンガスが不足している可能性が高い。

 サイトグラスがないクルマは、ガス充填用のメーター付きホースを接続して圧力を測定しないと判定できないようになっており、プロの整備士に依頼しないと判断できない部分だ。

 簡易充填キットとして低圧側のジョイントとクーラーガスのボンベを接続するホースも出回っているが、これは無闇に利用するべきではないものだ。

 というのも、クーラーガスは十分に入っているのに冷房の効きが悪いこともある。

 エバポレーターの前で液化したクーラーガスを噴射して気化熱を発生させるエキスパンションバルブの目詰まりやコンプレッサーの圧縮漏れ、エバポレーターのコアの汚れによる目詰まりなどが原因であれば、クーラーガスを補充しても冷房の効きは改善されないし、最悪の場合圧力が上がり過ぎてコンプレッサーや配管の破損につながることもある。

エバポレーターは、汚れたり目詰まりが起きると臭くなったり、エアコンの風が弱くなる 。駐車場などでアイドリングさせてエアコン使っているとクルマの下に水滴が落ちるが、その水はエバポレーターで発生する

 クーラーガスが減ってしまったら補充しようとするだろうが、毎年のようにクーラーガスを補充するようなら、エアコンの修理を考えた方がいい。

 ちなみに大型量販店などでガス充填を頼む場合は、1本200g、2000円(税抜き)で作業工賃は1000円(税抜き)、コンパクトカーなら約3~5本、ミニバンが4~6本。ガス充填と同時にオイルの同時注入する場合にはR134aが1500円(税抜き)必要になる。

■コンプレッサーの油膜切れに注意

 意外に知られていないのがコンプレッサーの油膜切れだ。潤滑のためにコンプレッサーオイルというものが封入されているが、エアコンを長時間使用していない場合、コンプレッサー内部の各パーツからオイルが流れ落ちてしまっており、油膜切れになっている場合がある。

 エンジンの回転数が高い状態でエアコンの電源を入れると、この油膜切れを起こしているコンプレッサーが強制的に高い回転数で回転し、焼き付きを起こしてしまう。

 この焼き付きが起こってしまうと大変でエアコン本体の交換や周辺のパーツの洗浄しなければいけなくなる。

 焼き付きを起こさないためには、いきなりエアコンのスイッチを入れるのではなく、エンジンが暖まった後エアコンのスイッチを入れ、25度の温度設定で5分ほどエアコンを作動させる。こうしてコンプレッサーオイルを内部に循環させることで焼き付きを防ぐことができる。

 また、コンプレッサー内部の摩耗を抑える添加剤には充填用にクーラーガスも含まれているので、こちらを定期的に注入するのもエアコンの効きを保持してコンプレッサーを長持ちさせる方法だ。

 ハイブリッド車など特殊なコンプレッサーを採用しているクルマは、コンプレッサーがオイル不足になって焼き付くと、修理費用がガソリン車の倍近くになってしまうケースもある。

 以前と作動音が変わってきたなど、異変に気付いたらまずは添加剤を入れてみるのも手だ。

 また、ガス補充がエアコン内部に残ったガスに新たなガスを継ぎ足すのに対し、エアコンガスクリーニングは、古いガスをすべて吸い出したうえで新たなガスを充填し、冷却性能を回復させるというサービスもある。

 この工程は“真空引き”と呼ばれ、古いガスに混じり合った不純物なども同時に除去できる。

 以下、おおよその修理費用を明記しておこう。

■エアコンの修理費用(工賃込み)
ガス補充/約3000~5000円
ガス漏れ修理/約2万~3万円
エアコン・コンプレッサー交換/約5万~10万円
ファンモーター/約4万~5万円
エバポレーター交換/約5万~10万円
エキスパンションバルブ交換/約2万円
エアコンフィルター交換/約2000~5000円(年1回交換)
サーモスタット交換/約1万円
※価格は車種によって異なりますので目安としてください

2/エアコンから臭い風が……エアコンのお手入れ方法

エアコンの吹き出し口から生ぬるい臭い風が出てきたら……

■エアフィルターの交換/年1度の交換が望ましい。交換自体は難しくないが自身がない人はプロに任せよう
■送風運転/冷房をとめて15分程度作動させることで、エアコン内外の温度差をなくして結露を止め、ブロアーの強い風を当てることで、エバポレーターを乾燥させる。定期的に行うことでカビを抑える効果が期待できる
■エバポレーター洗浄/臭いのもとであるカビを一掃できる方法だが費用は国産車で2万5000円からと割高
■空気清浄器や消臭スプレー/一定の効果はあるが根本原因を直すわけではない

 冷房の効きが悪いのと同じくらい、いやそれ以上に不快なのが、空調からの風が臭うこと。

 臭いの発生源であるエバポレーターが冷えるまでは臭いが酷いというケースもある。これは冷やされることで臭いの発生が抑えられているだけで、冷えれば臭いも少なくなるから問題ナシ、というワケではない。

 それにホコリっぽい臭いでもカビが含まれていたりして(カビ臭は当然)、身体に悪い。臭いを我慢していればいいだけならいいが、それによって健康を害してしまっては元も子もない。

 エアコンの掃除は家庭用のエアコン同様、フィルターとエバポレーターの清掃をすることになる。

 クルマの場合はフィルターは交換式なので、定期的に清掃と交換をするのだが、問題はエバポレーターの方だ。

 車種によってはカーエアコン用のクリーナーをブロアファン周辺からエバポレーターに向かってスプレーすることで、汚れを泡で洗い流せる場合もある。

 グローブボックス回りを脱着する必要はあるものの、上手に使えば汚れを効果的に除去して、臭いの原因を断つことができる。

 それが難しいクルマは殺虫剤のバルサンのように、車内にクリーナーを噴射してエアコンのダクト内を循環させることで消臭することになる。

 このエアコンの悪臭やエバポレーターの汚れを解決してくれるプロの業者もある。ダクトのエバポレーター付近に小さな穴を開け、ファイバースコープなどで汚れを確認しながら、薬剤を噴射して汚れを洗い流してくれるのだ。

 ということで、できるだけエアコン内部の汚れを防ぐことを心がけよう。それには室内の、それもフロア回りの清掃が重要だ。

 エアコンは、花粉などをブロックしてくれるフィルターを介して外気を導入しているから、このフィルターを清掃や交換すればいいと思われているかもしれない。

 しかしフィルターを通過するのは外気だけで、内気循環モードにしている場合は、助手席側のダッシュボードの奥から空気を取り込んでいるクルマも多い(特に輸入車)。

 そのためフロアマットやカーペットに堆積したホコリや土、砂などが乗降時に舞うことでエアコンに取り込まれてしまうのである。

 熱交換器であるエバポレーターは冷房中は結露するため、その水分がホコリや土などを吸着して、結露した水分を吸うことでホコリや土が堆積してしまう。水分も乾きにくいことになるからカビが発生しやすくなるのだ。

 空気清浄器を導入すれば、臭いの原因物質を回収したり、分解してくれるから、エアコンの臭いを解消してくれると思っている人も多いだろう。

 もちろん一定の効果はある。特に狭い車内の空気を浄化するだけだから、家庭用の空気清浄器よりも小型で十分な性能を発揮してくれるが、完全にエアコンの汚れや臭いを防止できるものではないことを覚えておこう。

次ページは : 3/燃費を悪化させないエアコンの使い方

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