ウォッシャー液のタンク容量はどれくらい?
特に欧米ではクルマの視界確保に対する要求が日本より高く、ユーザーのレポートも重視されてきた風土があるためにウォッシャータンクの容量は確保する必要がある。
そのため、エンジンルームをコンパクトにしたいエンジニアは、どうにかしてウォッシャータンクの容量を確保するべく、サイドメンバーの下やフロントフェンダーの内部にタンクを設け、注入口だけエンジンルームまで延ばしている、というパターンも多い。それだけウォッシャー液は地味ながら重要なアイテムなのである。
大抵のクルマで2~5Lの容量を確保している。容量が少ないのはクルマが小さく、リアウインドウにワイパーを装備していない仕様に多く見られる。
容量が大きいのは比較的サイズが大きいクルマや寒冷地仕様車やヘッドライトウォッシャーを装備しているクルマ、さらにはメンテナンスの頻度が少なめなビジネス車(乗りっ放しにされてもある程度耐えられるよう)に使われるようだ。
ただし、軽自動車はスペースの関係もあってタンク容量は少なめで、特にハイトワゴンの場合フロントウインドウの面積が広く、ワイパーが大きい割にタンク容量が小さいので、意外と早くウォッシャー液を使い切ってしまうので注意が必要だ。
例えば平均的な4Lのウォッシャータンクをもつクルマの場合、1回に10ccのウォッシャー液を噴射させると400回は作動できることになる。
1日1回毎日使っても1年以上は無補充で使い続けられると思ってしまうが、実際はもっと早い期間に使い切ってしまうことがほとんどだ。
なぜなら、大抵は1回ウォッシャーを作動させただけでは十分に汚れを解消できず、何度か噴射させることになるハズだ。
最初にウォッシャーを作動させると、ワイパーが連動して動いてウォッシャー液をガラス面に広げながら汚れを拭っていくが、1回数秒間の噴射ではワイパーの作動範囲全体までウォッシャー液が行き渡らず、中途半端に汚れが残ってしまったり、塗り広げられてしまう。
そのためワイパーが作動している状態でさらにウォッシャー液を噴射させてワイパーの届く範囲全体をしっかり濡らして汚れを落とし切るからだ。
ウォッシャー液は家庭用洗剤で代用できる?
一般的なウォッシャー液、例えば私が使っている、全国にホームセンターを展開しているLIXILビバの「オールシーズンウォッシャー液」の成分は界面活性剤とアルコール、防錆剤などが含まれている。
界面活性剤は洗剤としての成分で、汚れを浮かせて分解する。アルコールは速乾性と氷点を下げて冬場に凍結して使えなくなることを防いでくれる。
さらに油分やたんぱく質(虫や鳥のフンなど)を落としやすくしてくれるもので、ウォッシャーを作動させると室内にアルコール臭が漂うことがあるのは、揮発したアルコールが外気導入のダクトから室内に入ってくるためだ。
ただし、アルコール成分が含まれているウォッシャー液を誤ってエンジンやハイブリッドシステムなどにかけてしまうと、出火するおそれもあり危険。ウォッシャー液を補充する際には、必ずエンジンやハイブリッドシステムを停止した状態で作業したほうがいい。
防錆剤はボディに付着した際、そこからサビが発生することを防ぐために添加されている。したがって、一見、同じように見える家庭用食器洗剤などで代用するのは、やめておいた方がいい。
最近の食器用洗剤は界面活性剤の配合比率が高いため、汚れを落とす効果は高くかなり希釈できるので経済的に思えるが、泡が消えにくいなど専用品ではない故の問題もある。
抗菌効果を謳う洗剤でも水で希釈してしまうと効果はほとんどなくなるし、継ぎ足しする時に希釈比率を安定させるのも難しい。
その点、ウォッシャー液は原液のまま使用するタイプが多く、冬季以外は2、3倍に希釈して使えるから、それほど希釈比率に気を使わずに使える。
ちなみに水で希釈するタイプのウオッシャー液の場合、水を入れても何ら問題はない。
■希釈するタイプのウォッシャー液の希釈割合と凍結温度(一例)
●原液1/水0=凍結温度マイナス20度
●原液1/水1=凍結温度マイナス7度
●原液1/水2=凍結温度マイナス4度
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