【洗車機メーカーに突撃取材!!】今クルマを洗うには「洗車機が一番!」の理由とは?

【洗車機メーカーに突撃取材!!】今クルマを洗うには「洗車機が一番!」の理由とは?

 最近、クルマを洗っていますか? 愛車への洗車は人それぞれこだわりがあり、その洗い方も十人十色。

 「洗車」は大きく分けるとガソリンスタンドに併設されている洗車機を使う人と、手洗いをする人に大別されるはずだ。

 洗車機といえば、ひと昔には悩みの1つだった洗車傷だが、最新式の洗車機では洗車傷はなくなっているのだろうか?

 そこで、最新の洗車機はどうなっているのか? どれほど進化しているのか? 洗車機の国内シェア40%を誇る、洗車機のトップメーカー、ダイフクさんへ取材してきたゾ!

取材・文・写真/野里卓也 
取材協力/ダイフク


■国内トップの洗車機メーカーは物流システムで世界ナンバーワンの企業だった

街中にあるガソリンスタンドの洗車機で見かける「DAIFUKU」のマーク。国内で約40%のシェアを占めているという
街中にあるガソリンスタンドの洗車機で見かける「DAIFUKU」のマーク。国内で約40%のシェアを占めているという

 訪れたのは滋賀県に生産拠点を置く洗車機メーカー大手のダイフク。自動車工場の生産ライン向けシステムや物流センターの自動倉庫、それに仕分け装置などを手がける物流システムで世界ナンバーワンの会社でもある。

 同社は1977年から洗車機の生産を開始しており、これまで物流システムで培ったローラコンベヤ技術を応用した連続洗車機や、洗車時に使う水の使用量を従来の約2分の1に削減した節水タイプの機種などを業界に先駆けてリリース。

 生産から40年以上を経た今では国内の洗車機でトップクラスのシェアを占めているという。

滋賀県蒲生郡日野町にあるダイフク滋賀事業所。事業所内には洗車機展示場も設置されている。敷地がとにかくデカい! その面積は東京ドーム26個分、約120万平方メートルもある
滋賀県蒲生郡日野町にあるダイフク滋賀事業所。事業所内には洗車機展示場も設置されている。敷地がとにかくデカい! その面積は東京ドーム26個分、約120万平方メートルもある
ダイフクでは、自動車工場の生産ライン向けシステムなども手掛けている

■最新の洗車機は? 主流はセルフスタンドでお馴じみのドライブスルータイプ

 まずは、現在主流となっているドライブスルータイプの2つの洗車機と省スペース型の洗車機を体験した。

1Wayセパレートドライブスルー洗車機「ツインフェクトフィート」。同社のフラッグシップモデルともいうべき洗車機。洗浄と乾燥の機械を完全に分離させたことで、短い洗車時間で高い乾燥能力を実現している。ちなみにクルマ1台にかかる洗車時間は洗車コースによって異なるが、シャンプー洗車では、わずか2分程度とのこと
1Wayセパレートドライブスルー洗車機「ツインフェクトフィート」。同社のフラッグシップモデルともいうべき洗車機。洗浄と乾燥の機械を完全に分離させたことで、短い洗車時間で高い乾燥能力を実現している。ちなみにクルマ1台にかかる洗車時間は洗車コースによって異なるが、シャンプー洗車では、わずか2分程度とのこと
ツインフェクトフィートは最新の泡洗車システム「スライディングバブル」を搭載。①洗車がスタートすると上部がスライドして、高圧水でボディを洗浄してくれる。②洗車機の動作にあわせてボディ全体に噴射。③今度は泡をボディ全体に降り注ぐ。④ブラッシングした後に再び高圧水をかけて洗い流す <br>
ツインフェクトフィートは最新の泡洗車システム「スライディングバブル」を搭載。①洗車がスタートすると上部がスライドして、高圧水でボディを洗浄してくれる。②洗車機の動作にあわせてボディ全体に噴射。③今度は泡をボディ全体に降り注ぐ。④ブラッシングした後に再び高圧水をかけて洗い流す
ドライブスルー洗車機「ファブリカ」。1998年にセルフのガソリンスタンドが解禁された以降、ドライブスルータイプの洗車機が注目を集める。洗車機の手前には、高圧水やきめ細かい泡を降り注ぐ独立型の泡洗車システム「AWAエボリューションベガ」を装備している
ドライブスルー洗車機「ファブリカ」。1998年にセルフのガソリンスタンドが解禁された以降、ドライブスルータイプの洗車機が注目を集める。洗車機の手前には、高圧水やきめ細かい泡を降り注ぐ独立型の泡洗車システム「AWAエボリューションベガ」を装備している
省スペース型の洗車機「ゼクス」。ゼクスはガソリンスタンドやカーディーラーのスタッフがクルマを預かって洗車をしてくれる従来タイプの洗車機。洗車機の奥行き設置寸法は8mとなっており、業界初となる洗車機前面に取り付けた「フロントサイドブラシ」で、リア部をブラッシングすることにより、一般的な洗車機と比べると奥行き寸法が2m近く短縮。洗車機の移動距離を短くして省スペース化を図っているのだ
省スペース型の洗車機「ゼクス」。ゼクスはガソリンスタンドやカーディーラーのスタッフがクルマを預かって洗車をしてくれる従来タイプの洗車機。洗車機の奥行き設置寸法は8mとなっており、業界初となる洗車機前面に取り付けた「フロントサイドブラシ」で、リア部をブラッシングすることにより、一般的な洗車機と比べると奥行き寸法が2m近く短縮。洗車機の移動距離を短くして省スペース化を図っているのだ

■ブラシの種類は3種類! ボディにやさしくブラッシング!

 現地にて話を伺ったのがダイフクの洗車機を開発・生産しているAWT(Auto Washing Technologies)事業部の生産本部・開発部・技術開発グループの森稔明グループ長だ。

AWT事業部・生産本部・開発部・技術開発グループ、グループ長の森稔明さん
AWT事業部・生産本部・開発部・技術開発グループ、グループ長の森稔明さん

 さて、ひと昔前は洗車機で洗車すると、洗車傷がついてしまい、あまり洗車機で洗車をしたくないと思うことがあったが、いまはどうなのだろうか?

 洗車ブラシは、かつては化繊ブラシだったが、今はスポンジブラシや高級不織布を用いた布ブラシが主流となっており、化繊ブラシも今は特殊ゴムを配合しているという。

 森稔明グループ長は、

「ブラシの素材は進化しています。クルマの塗面の硬さは4H程度(鉛筆やシャープペンシルの芯でも使われる硬さを示す指標)と言われており、ブラシ素材はクルマの塗装よりも柔らかく、ブラシ素材ではボディにキズは付きません」。

 また、洗車時はボディにブラシを押しつけて洗っている印象があるが、実は押しつける圧力は手洗いより弱いという。

 意外な事実に正直驚いた。ここまで進化していたとは……。

 新スポンジブラシ「NEWマシェル32」。新しいタイプということで従来よりも洗浄性を高めながらも、ブラシの音は低く抑えたという
新スポンジブラシ「NEWマシェル32」。新しいタイプということで従来よりも洗浄性を高めながらも、ブラシの音は低く抑えたという
 こちらは高級不織布を採用した布ブラシ「ソフトロール」。ちなみに洗車機はディーラーでボディコーティングしたクルマでも問題なし
こちらは高級不織布を採用した布ブラシ「ソフトロール」。ちなみに洗車機はディーラーでボディコーティングしたクルマでも問題なし
化繊ブラシの「リップルブラシ」。特殊ゴムを配合しておりソフトに洗車することが可能。ところで、古いクルマを洗車機で洗うことについては「塗装面のクリア層が劣化している恐れのあるクルマについては、洗車機を使うのは控えた方がよいでしょう」とのこと
化繊ブラシの「リップルブラシ」。特殊ゴムを配合しておりソフトに洗車することが可能。ところで、古いクルマを洗車機で洗うことについては「塗装面のクリア層が劣化している恐れのあるクルマについては、洗車機を使うのは控えた方がよいでしょう」とのこと

■アンケートを行ないユーザーの声をリサーチ!

 これまでの洗車機開発のなかで、洗車機を使うユーザーへアンケート調査を行なうことがあったという。

 前出の森稔明グループ長は、

「アンケートの内容を見ると、もっと洗って欲しい箇所があるのが分かりました。例を挙げるとリアスポイラーやドアミラーの下部ですね。今ではしっかり洗えるようになっています」という。

 スポンジブラシのボリュームも従来から1.3倍になったそうで、軽自動車から大型サイズのミニバンまで、ボディサイズの異なるモデルでも隅々まで洗えるように大きさ(容量)を確保しているとか。

 また、ホイールを洗うブラシも進化しており、高圧水を噴射しながら洗うことで、以前では落ちにくかった、ホイールやタイヤ表面の汚れも落とせるようになっているという。

「ロールジェットホイールウォッシュ」。ホイールとタイヤ表面を一気に洗うブラシ。高圧水を噴射しながら汚れを落とす。写真はデモンストレーションのために撮影したもの
「ロールジェットホイールウォッシュ」。ホイールとタイヤ表面を一気に洗うブラシ。高圧水を噴射しながら汚れを落とす。写真はデモンストレーションのために撮影したもの
 こちらは下部洗浄装置「スニーカーウォッシュ」。業界唯一となる伸縮アームノズルを採用。タイヤを避けながら車体下部深くに進入させて洗う
こちらは下部洗浄装置「スニーカーウォッシュ」。業界唯一となる伸縮アームノズルを採用。タイヤを避けながら車体下部深くに進入させて洗う
フロントワイパーやドアミラー周りの洗浄性も高めている

■外回りに新しいパーツが装着されたクルマは検証に時間を重ねる

 大小さまざまなクルマに対応しているとのことだが、新型モデルが出た場合はその都度検証しているのだろうか? 

 「モデルチェンジしても、クルマの形状はそんなに変わらないことが多い。もちろん新型車が出たらテストはしているが、それよりも突起物、例えばワゴン車の前方の死角を軽減するミラーなど、外回りに新しいパーツが装着されたクルマが出てきた時は検証に時間を費やしている」(森稔明グループ長)という。

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