愛車の寿命を縮めて事故の元にも…百害あって一利なし「タイヤバランス」に気をつけろ

 タイヤ交換をした時に、明細を見るとタイヤ代金、交換工賃、廃棄料金(持ち帰る場合は不要)のほかにバランス取りというものがある。

 タイヤのバランス取りとはいったい何なのか? 

 そもそもタイヤのバランスが崩れていることは乗っていて気づくことができるのか? タイヤのバランスが崩れているとどんな症状が出てくるのかなど、知りたいことはいっぱいある。

 タイヤのバランスが崩れたまま放置しているとどんな弊害があるのかなども含め、タイヤのバランスについて、タイヤのスペシャリスト、斎藤聡氏が解説する。

文:斎藤聡/写真:平野学、ベストカーWeb編集部

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典型的な症状はハンドルの振動

タイヤバランスが崩れていると、80km/hで振動が顕著になる。舗装のいい高速道路で妙な振動を感じるようなら要チェック

 答えを先に言っておくと、バランスが狂っていると振動が出ます。常に振動が出っぱなしというのはごく稀で、たいていは、80km/hくらいでハンドルがブルブル震えたり、ボディ自体に振動を感じます。

 120km/hまで速度を上げると、今度は震えが収まってくることが多いようです。敏感な人は、50km/hくらいからハンドルがかすかに震えたり、ボディが軽く振動するような症状を感じるかもしれません。

 こんな症状が出る場合はたいていホイールバランスが狂っています。ちなみにフロントタイヤのホイールバランスが狂っている場合はハンドルの振動がより大きめに出ます。

バランスが崩れたまま走行しているとタイヤが片減りすることもあり、街中を走っていても直進安定性が悪くなることもある。さらに乗り心地も悪化

 リアタイヤの場合はハンドルにも振動が出るのですが、ボディが震えるような振動を伴うことが多いようです。

 逆にいうと、低速から高速までずっと振動が出っぱなしとか、恐怖を感じるくらい振動が出る場合は、ホイールバランスではなくホイールが何かのショックで変形していたり、ドライブシャフトが曲がっていたり、折れる寸前だったりと、もっと深刻なケースが考えられます。

放置しておくといいことはなし

 この稿を書いていて思い出したのですが、昔シビックでレースをしていたときに車高を落とし過ぎてドライブシャフトを折ってしまったことがありました。

 ユニバーサルジョイントの曲げ角が大きくなって負担がかかりすぎて折れてしまうのだと思いますが、この時は徐々に振動が大きくなってきます。振動が出始めて20分から30分くらいで破損→走行不能になってしまいました。

タイヤバランスが崩れたまま放置しておくと、クルマ全体に悪影響を及ぼす。特に直接つながっているサスペンション系のダメージは無視できない

 ドライブシャフトの根元側が折れる場合は走行不能になるだけですが、タイヤ側が折れると、折れたドライブシャフトが暴れてサスペンションアームを全部薙ぎ払ってしまいますので、足回りが全部折れて取れてしまうことも考えられます。

 タイヤのバランスを取らなかったからといって、すぐにこんな事故に結びつくわけではありませんが、危険なトラブルを見つけにくくなるので、危険度は非常に高いといえるでしょう。ホイールバランスはきちんととることを強くお勧めします。

 また、振動が出るということは、ハブ、ドライブシャフト、ダンパー、ストラットタワー、サスペンションアーム取り付け部等に振動が伝わっているので、ホイールナットや取り付けボルトの脱落、ボディのクラックなどを引き起こすことも考えられないことではありません。

 タイヤ自体も何も起こらず使い続けられるわけではありません。タイヤ1本分(1セット)のライフサイクルで考えると、摩耗が早くなったり偏摩耗したりということが起こります。

バランス取りが必要な理由

タイヤ交換時にバランス取りは必須で、プロはタイヤが均一に回転しているのかを専用の機械でチェック。バランス取りは1本500~1000円前後(ellisia-stock.adobe.com)

 ところで、そもそもなんでバランスを取る必要があるのでしょうか。じつはタイヤもホイールも完全な真円ではないからです。タイヤの側面に赤い点と黄色い点が打ってあるのをご存知でしょうか。

 赤い点は「ユニフォーミティマーク」と呼ばれ、タイヤの外径が一番大きいところになります。新車装着時は、ホイールの白や青の点(最も外径の小さいところに打たれる)に合わせて組まれているのが一般的です。

 また黄色い点は「軽点」と呼ばれタイヤの中で最も軽いところになります。新しいタイヤ交換をした時、あるいはタイヤを組みなおした時は軽点をバルブに合わせて組み込みます。軽点に関しては、メーカーによってはあえてマークしていないところもあります。

 タイヤは製造工程を見るとわかるのですが、案外手作業が多く残されており、完全自動化には程遠い状況です。例えばトレッドゴムは、帯の状態で押し出されてきて、これを手作業でトレッドに巻きつけます。

 近年は、完全自動のタイヤ製造ロボットが開発され、こうした手作業が機械化され格段のユニフォーミティを実現していますが、すべてのタイヤをロボットで製造するにはまだしばらく時間がかかりそうです。

 あまり知られていないことですが、アルミホイールもじつは重量バランスのばらつきがあります。

 ですから、バランスをとらずにタイヤを組んで走らせるというのは、かなり無茶なことだといっていいと思います。

バランスマーキングは黄色(最軽量)、赤(最大外径)、青または白(最小外径)がある。ただ、すべてのタイヤについているわけではない(写真は便宜上マーキング)

バランス取りはタイヤ交換では必須項目

 それからもうひとつ。ホイールに組んだばかりのタイヤは、タイヤをリムにはめ込むためにリムやビード部に水や薄いせっけん水などを使うことがあります。

 水分を付けることで組み込みやすくしているわけですが、タイヤを組んだ直後に急加速したり急ブレーキをかけるとリムの上をタイヤが滑って組み込み位置がずれてしまうことがあります。

 こうなると当然バランスは狂ってしまいますから、せっかくのバランス取りも台無しです。組み込み後しばらくは急な加減速をしないこと。これも案外大切なタイヤ組み込み後のケアです。

 話がだいぶ横にそれてしまいましたが、タイヤのバランスを取らないとさまざまな問題を引き起こしたり、重大なトラブルを見つけられなかったりと、まったくいいことがありません。バランス取りはタイヤ交換では必須項目です。

サーキットを走行するとタイヤがズレるという話を聞いたことはあると思うが、タイヤ交換から間もない時期に急発進、急加速を繰り返すとズレやすくバランスが崩れる

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