目的は性能? 見た目重視?? タイヤのインチアップ メリットとデメリット

 タイヤを交換するとクルマが大きくリフレッシュするが、インチアップでも同じなのだろうか? タイヤ&ホイールをインチアップしたいと思ってはいるが、クルマにどのような変化があるのか、不安に思っている人はかなりいるはず。

一番重要なのは、タイヤをインチアップする時に何を重視するのかという点だ。

 タイヤのインチアップは手軽なチューニングであるが、当然ながらいいことばかりではない。本企画では、タイヤのインチアップによるメリットとデメリットについて見ていく。

文:ベストカーWeb編集部/写真:TOYOTA、HONDA、MAZDA、SUZUKI、平野学、池之平昌信、ベストカー編集部

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ドレスアップ効果が最大の魅力

 タイヤをインチアップする時には2パターンあります。

 ひとつ目は見た目のカッコよさ、つまりドレスアップするため。大径のアルミホイールを装着したいから、それに合わせてインチアップしたタイヤを合わせる、というものです。今も昔もインチアップ需要の多くがこれだと思います。

上は195/65R15のカローラハイブリッド。下は215/40ZR18を装着したTRDカローラ。カッコよさは一目瞭然だ

 もうひとつが性能追及。サーキットやスポーツ走行でより速く走るためにタイヤ幅などサイズアップしたタイヤを装着するというものです。

 このケースでは、インチアップせず幅広タイヤを装着するセイムリムという手法もありますが、ブレーキサイズなどを大型化する人も多いため、タイヤをインチアップするのが一般的です。

サーキットを走行したり、スポーツ走行でより速いタイムを出したい時にタイヤのサイズアップは必須となり、必然的にインチアップとなる

 タイヤ&ホイールのインチアップでは、クルマがカッコよくなる、というのが最大のメリットと言えるでしょう。

 ではそのほかにはどんなメリット、デメリットがあるのかを見ていきたいと思います。

運動性能が高くなる傾向にある

■タイヤインチアップのメリット
・運動性能が高くなる
・操縦安定性がよくなる
・グリップ性能が向上
・コーナリング性能が高くなる
・ハンドリングのレスポンスが向上

偏平率が小さくなることで、タイヤの剛性が高くなり、ハンドリングもシャープになる傾向にある。またハンドリングレスポンスも向上

 タイヤの特性を決める要素はコンパウンド、溝の形状などいろいろありますが、偏平率によっても大きく違ってきます。一般的に偏平率が低くなる(数字が小さくなる)ほど運動性能がよくなり、偏平率が高くなるほど(数字が大きくなる)快適性能がよくなります。

 タイヤをインチアップすると、60タイヤ→50タイヤというように、偏平率は小さくなります。偏平率が小さいとサイドウォールが薄くなるため、タイヤのたわみが少なくなるためクルマの安定性が増します。

 たわみが少ないことにより、より負荷のかかる中高速域ではハンドルがぶれにくくなり、操縦安定性も大きく向上します。

SUVのように重心の高いクルマの場合、インチアップで偏平率が小さくなると、コーナリング時のスタビリティの向上が体感しやすい

 基本的にインチアップするとタイヤ幅も広くなりますので、接地面積が増えグリップ力が増します。

 同時に偏平率が小さいのでタイヤのヨレも小さくなる、すなわちタイヤ剛性が上がり、コーナリング性能が高くなります。ハンドリングレスポンスも上がり、舵角に俊敏に反応してくれるようになります。

一般的に快適性が低下する傾向にある

■タイヤインチアップのデメリット
・乗り心地が悪くなる
・ステアリングが重くなる
・ロードノイズが大きくなる
・燃費が悪化する

インチアップしたことにより、交換前に比べて路面の凹凸をよく拾うようになったり、乗り味が硬くなったりすることがある

 偏平率の説明のところで述べたとおり、運動性能の向上と引き換えに快適性という部分では劣化します。クッションの役割も持っているタイヤのサイドウォールが薄くなるわけですから当然ですよね。

 インチアップの程度にもよりますが、乗り心地が硬くなったと感じたり、ゴツゴツするなと感じることもあると思います。

 またタイヤの幅が広くなることで接地面積が増えることにより、ステアリングを切る時に重くなったり、タイヤと路面とのロードノイズが大きくなったり、路面の凹凸を拾いやすくなる傾向も出てきます。

 幅の広いタイヤの弊害はまだあります。走行抵抗が増えるため燃費が悪化することもあります。テストでは30%程度悪化というケースも報告されていました。

タイヤのサイズアップにより接地面積が増えることでハンドル操作時に重く感じることもある

注意すべき点を知っておくことが重要

■タイヤのインチアップの注意点
・外径を大きく変えない
・ロードインデックスは同等以上
・車体に干渉しないようにする
・適正な空気圧

上下ともタイヤのサイズ表示。タイヤのショルダー部分に表記されている。自分のクルマのタイヤサイズはチェックして把握しておこう

 タイヤのサイズ表記は、215/50R15 93Wというように表記されています。215がタイヤ幅、45が偏平率、Rがラジアル構造、93がロードインデックス(LI)、Wが速度記号をそれぞれ示しています。

 タイやカタログを見れば出ていますが、このタイヤの外径は596mm。この外径が大きく変わらないような範囲でインチアップしなければいけません。外径が大きく変わると、スピードメーターに誤差が出て、許容範囲を超えていれば車検に適合しません。

 また、ロードインデックスですが、このタイヤの場合は93となっていますので、インチアップ後は93以上のものを選ばなくてはいけません。

 それからインチアップしたタイヤがフェンダー内側などに干渉しないかも要チェックです。特にタイヤ幅を大きく変更した場合には注意が必要になります。タイヤを交換してカッコよくなって満足していても、安全に走行できません。

インチアップしてタイヤがフェンダー内部に干渉したりするかどうかは要チェック。このようにしっかりとタイヤが切れていなければ非常に危険

 最後の空気圧ですが、ロードインデックスと関係してきます。あるタイヤサイズでは、インチアップするとロードインデックスが下がってしまうことがあります。

 その場合はタイヤの内部構造を強化して、通常のタイヤよりも多くの空気を充填できるようにすることでロードインデックスを高く設定したLX/RFD規格のタイヤと交換します。

 このLX/RFDタイヤは空気を多く充填できるようにしているため、通常のタイヤよりも空気圧が高く設定されているので、それに合わせた空気圧にする必要があります。

インチアップする際にLX/RFD規格のタイヤをチョイスした場合はタイヤの空気圧に注意。タイヤの空気圧部族は高速走行でダメージが大きい

 交換時はプロがすべてをセッティングしてくれていますが、そのあとのケアはオーナー自信がすることになりますので、しっかりと覚えておきましょう。

 これらの正確な数値などに関してはタイやカタログに掲載されていますので、自分のタイヤサイズを把握し、どのようなデータになっているのか一度見ておくことをオススメします。

何を重視するかを明確にする

ドレスアップをしたい人がインチアップする際に、何にプライオリティを置くのかを明確にしておくことが重要になってくる

 メリットとデメリットを見てきましたが、それは背中合わせ、ということがおわかりいただけると思います。

 運動性能を最優先する人にとってはデメリットも受け入れられるでしょうが、ドレスアップが最大の目的で運動性能よりも快適性が重要、と考えている場合は注意が必要です。

 今大流行しているSUVのほか、アルファード/ヴェルファイアに代表されるミニバンも乗り心地の悪化によって魅力ダウンということも考えられます。

 乗り心地などに関しては、タイヤの銘柄やタイヤ幅を変えない方法などでも解決することができます。

 インチアップする際は、ドレスアップのほかにどんなことを重視しているのかをタイヤショップ、販売店などのプロに相談したほうが安心です。

タイヤのインチアップによるの乗り心地の悪化は快適性が魅力のミニバンでは致命傷となる。その際は銘柄などで解決できる点もあるのでプロに相談だ

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