日本の自動車メーカー各社から、2026年3月期の決算報告が続々と発表されている。ここではBEVへの偏重が裏目に出て上場以来初の赤字決算となってしまったホンダに注目し、2026年3月期決算の分析と今後の予想をお届けしよう。
※本稿は2026年6月のものです
文、監修:井元康一郎/写真:ホンダ
初出:『ベストカー』2026年7月10日号
BEV関連の損失が痛手に……上場以来初の赤字決算
BEV(バッテリー式電気自動車)全振り戦略の放棄にともない、上場以来初となる赤字4239億円を計上したホンダ。日産と状況が異なるのは赤字の多くを金銭的な損失を伴う営業損益が占めるという点。
ホンダは不測の事態に備えてキャッシュを着々と積み増してきたため、1回の巨額赤字で経営の根幹が揺らぐことはない。
収益性についても営業利益率18%という高収益の二輪事業を擁していることから、決算発表で三部敏宏社長は来期はBEV関連の損失を差し引いても5000億円の営業利益を出せると早期の復活に自信を見せた。
しかし、今後のホンダのゆくえはなお不透明と言っていい。好調な二輪事業に対し、売上収益では全体の3分の2を占める四輪車の利益率はBEV関連損失1兆4536億円とトランプ関税3316億円という二大アゲインストを除いても2.6%どまりだ。
この四輪事業の収益性の低さはホンダの持病。販売台数は338万台とピークだった2018年度の532万台から200万台近くも減らしているが、その2018年度の四輪車の営業利益率は1.9%と、今よりむしろ悪いくらいだった。販売台数や売上高にかかわらず、一貫して不採算事業だったのだ。
四輪に求められている声を反映できるかが勝負
その四輪部門の体質を改善できればホンダは高収益企業に生まれ変われる。そう考えた歴代経営者は欧州から手を引いて新興国に進出したり、ハイブリッドカーを増やしたりと、あの手この手で四輪の事業改革に取り組んできた。三部社長が打ち出したBEV全振り戦略も四輪事業衰退に対する窮余の一策だった。
それらの策がことごとく空振りに終わったのは、最も重要な顧客中心主義のクルマ作りを欠いていたからだ。経営のバランスシートや株主還元ばかりを見て顧客を見ていなかったと言われても仕方がない。
アキレス腱である四輪事業を強くするには、経営陣が顧客中心主義に立ち返る必要がある。それは単にBEVをやめてハイブリッドを中心とするといった表面的なことではない。高くても顧客が喜んで買うような魅力あるクルマを作れるかどうかが問われている。
●2026年度の予想
高収益部門である二輪事業に助けられているため経営基盤の安定性は高いが、四輪車の成長の足がかりはいまだ見いだせていない。提携は破談となったが日産との協業深化などでしのぎつつ、今後を探るという手探りの状態は今期も続くだろう。
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