冠水したらクルマに発生するトラブルは?
冠水路で最も恐ろしいトラブルのひとつが、エンジンの吸気系から水を吸い込むことだ。
エンジンは空気を吸い込み、それを圧縮して燃焼させている。ところが空気の代わりに大量の水がシリンダー内へ入ると、水はほとんど圧縮できないため、コンロッドなどエンジン内部に大きな力が加わる。いわゆるウォーターハンマーである。最悪の場合、エンジンに致命的な損傷を与える。
怖いのはエンジンだけではない。水位が高くなれば床下から車内へ浸水し、ECUや各種センサー、配線などの電装系にも影響が及ぶ可能性がある。
タイヤ周辺まで深く冠水すれば、ハブベアリングやブレーキなど足まわりにも水が入り込む可能性があり、その場では問題なく走れても、後になってサビや異音などのトラブルにつながるケースがある。
さらに水深が増すと浮力も無視できない。タイヤの接地力が低下すれば、ハンドルやアクセルを操作しても思う方向へ進めなくなる。流れがある場所では車体そのものが流される危険まである。
EVならエンジンがないから冠水に強いと思うかもしれないが、これも油断は禁物だ。JAFのテストでは、水深60cmを走破したEVでも複数の警告灯が点灯したケースが確認されている。HVもエンジンを搭載しているため、吸水によるエンジン停止の危険がある。
パワートレーンが何であろうと、冠水路には入らない。それが最も確実な対策なのである。
もし冠水路で動けなくなったら? クルマが冠水路にハマってしまった場合の対処法
注意していても、ゲリラ豪雨では短時間で状況が変わる。走っているうちに急激に水位が上がり、クルマが動けなくなってしまうことも考えられる。
まず覚えておきたいのは、クルマより人命が最優先ということだ。
冠水路でエンジンが停止したら、何度も再始動を試みるのではなく、安全に脱出することを考える。まだドアが開けられる状態なら、周囲の安全を確認して早めに車外へ出る。
水位が上がると外側からドアに水圧がかかり、ドアを開けることが難しくなる。パワーウインドウが作動するうちに窓を開けて脱出する方法も覚えておきたい。
電装系が故障して窓が開かず、ドアも水圧で開かない場合に備えて、車内には緊急脱出用ハンマーを用意しておきたい。シートベルトカッターを備えたタイプなら、シートベルトが外れなくなった場合にも対応できる。
ただし、フロントウインドウは一般的に合わせガラスのため、脱出用ハンマーで簡単に割ることはできない。基本的にはサイドウインドウを割ることになるが、車種によってはサイドにも合わせガラスが採用されている。自分のクルマのガラスがどうなっているか、平時に確認しておくと安心だ。
ドアも窓も開けられない最悪の状況では、車内に水が入って車内外の水位差が小さくなると、ドアにかかる圧力差も小さくなり、開けやすくなる。そのタイミングでドアを強く押し開けて脱出する。
冠水時は時間との勝負だ。クルマを助けようとして車内にとどまるのではなく、まず自分と同乗者が安全な場所へ避難することが重要である。




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