線状降水帯やゲリラ豪雨を警戒せよ! 水深60cmだったら大型SUVでも大丈夫?? 水没車はいくらで買い取られるのか?

一度水没してしまったクルマはもう廃車?

冠水したら廃車にするしかない?(Alex Tihonov@Adobe Stock)
冠水したら廃車にするしかない?(Alex Tihonov@Adobe Stock)

 一度水没したら即廃車、と決まっているわけではない。浸水した高さや水質、浸水時間、エンジンや電装系へのダメージなどによって修理可能かどうかは変わってくる。

 しかし「水が引いたからエンジンをかけてみよう」は絶対に避けたい。

 エンジン内部に水が入っている状態で始動すれば、ウォーターハンマーによって重大な損傷を起こす可能性がある。さらに電気系統が浸水していれば、ショートや車両火災につながる危険もある。

 特に海水に浸かったクルマは要注意だ。塩分によって配線などの腐食が進み、時間が経過してから電気系統のトラブルや発火につながる可能性もある。

 水没したクルマは自己判断で始動せず、JAFなどのロードサービスや販売店、整備工場へ連絡して点検を受けるべきだ。

 またHVやEVには高電圧の駆動用バッテリーや高電圧回路が搭載されているため、浸水後の車両にはむやみに触れないこと。専門知識を持ったスタッフに任せるのが鉄則である。

 修理費についても注意が必要だ。エンジンだけでなく、ECU、センサー、配線、シート、内装、カーペットなど広範囲に交換が必要になれば、修理費が車両価値を上回ることもある。その場合には、結果的に廃車を選択することになる。

冠水した中古車の見分け方

オートオークション会場には冠水車コーナーが存在するという。写真はイメージです(Alex Tihonov@Adobe Stock)
オートオークション会場には冠水車コーナーが存在するという。写真はイメージです(Alex Tihonov@Adobe Stock)

 水害の後に中古車を購入する場合、気になるのが冠水車だ。日本自動車査定協会(JAAI)では、室内フロア以上に浸水したものや、浸水の痕跡が複数確認できるものなどを冠水車として扱っている。

 外装をきれいに洗い、室内をクリーニングすると、一見しただけでは冠水したクルマだとわからないこともある。そこで中古車を見る際には、普段あまり見ない場所を確認したい。

 まずチェックしたいのが臭いだ。車内やトランク、エアコンからカビや泥を思わせる不自然な臭いがしないか確認する。

 次にシートベルトをいっぱいまで引き出してみる。普段収納されている部分に水に濡れたような境目や変色、泥汚れが残っていれば注意が必要だ。

 シート下の金属部品、シートレール、トランク内の工具やジャッキ、エンジンルームなどに不自然なサビがないかも確認したい。内張りの奥などに泥や乾燥した粉末状の汚れが残っている場合も要注意である。

 もちろん、これらがあれば必ず冠水車というわけではなく、逆に痕跡が見つからなければ絶対に大丈夫というわけでもない。心配なら販売店に冠水歴の有無を確認し、車両状態について十分な説明を受けるべきだ。

 そして自分がゲリラ豪雨に遭遇した時にも忘れてはいけない。「大型SUVだから行ける」「水深30cmなら大丈夫」と考えるのは危険である。

 冠水路は見た目以上に深く、水面の下に何があるかもわからない。クルマの性能を過信せず、冠水していたら入らない、ハマったらクルマを諦めて人命を優先する。この2つを覚えておくことが、夏のゲリラ豪雨から愛車と命を守る最善策である。

冠水車でも売れる! 買取価格はいくら?

携帯電話のように「水没マーカー」でもあれば一目瞭然なのだが、クルマの場合は「特に注目するポイント」を調べていく。例として、クルマの下側を中心にサビが発生していたら要注意(mino21@AdobeStock)
携帯電話のように「水没マーカー」でもあれば一目瞭然なのだが、クルマの場合は「特に注目するポイント」を調べていく。例として、クルマの下側を中心にサビが発生していたら要注意(mino21@AdobeStock)

 では冠水したクルマはいくらで売れるのか? 「水没したら価値はゼロ」と思ってしまいそうだが、必ずしもそうではない。

 冠水車の査定額は、車種や年式、走行距離に加えて「どこまで水に浸かったか」で大きく変わる。JAAI(日本自動車査定協会)の査定基準を紹介している資料では、フロアまで浸水した場合は50%、クッション上部以上まで浸水した場合は70%という大幅な減点の目安が示されている。

 仮に通常なら100万円程度の査定価値があるクルマなら、単純計算ではフロアまでの浸水で50万円程度、クッション上部以上なら30万円程度まで価値が落ちる可能性があるということだ。ただし、実際の買取価格は車種や状態、買取店によって大きく異なるので、この金額はあくまでイメージと考えてほしい。

 完全に水没してエンジンや電装系がダメになった場合はさらに厳しい。それでも買取価格が0円になるとは限らない。修理して海外へ輸出したり、エンジンやトランスミッション、ボディパーツなどを部品として利用したりできるためだ。特に海外人気の高いSUVや4WDなどは、動かなくなっても思わぬ査定額が付く可能性がある。

 実際、本Webサイトでは過去に、佐賀で屋根付近まで冠水したトヨタ・マークXに15万~20万円の買取価格が付いた事例を紹介している。

 そして査定額を大きく左右するのが、冠水後にエンジンを始動したかどうかだ。エンジン内部に水が入った状態でセルを回してウォーターハンマーを起こせば、高価なエンジンそのものが再利用できなくなる可能性がある。

 つまり冠水して動かなくなっても、「どうせ廃車だから」と諦めるのは早い。エンジンをかけず、ロードサービスなどで移動させたうえで、中古車買取店だけでなく水没車や事故車を扱う専門業者にも査定を依頼したい。数社を比較すれば、同じ冠水車でも買取額に大きな差が出る可能性がある。

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