お盆休みの帰省や旅行を無事に走りきり、ひと息ついた連休明け。出勤や買い物へ出かけようとクルマに乗り込んだものの、エンジンがかからない――。そんな思わぬトラブルの原因は、猛暑を乗り越えた12Vバッテリーにあるかもしれません。
長距離を走って十分に充電されたはずなのに、なぜ休み明けに突然クルマを始動できなくなるのか。その仕組みと事前のチェック方法を解説します。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_TWEESAK/写真:Adobe Stock、写真AC
【画像ギャラリー】夏休み明けにバッテリーが突然死! 猛暑のあとにクルマが壊れやすくなる理由(7枚)画像ギャラリー猛暑と電装品の多用がバッテリーを弱らせる
クルマの12Vバッテリーに広く使われている鉛バッテリーは、内部の化学反応によって充放電を行っています。自動車用バッテリー大手のGSユアサによると、夏は気温の上昇によって化学反応が活発になり、電気を取り出しやすくなる一方で、自己放電や劣化も進みやすくなるとのこと。問題なく始動できていても、内部では劣化が進んでいる可能性があります。
さらに、一般的な液式バッテリーでは、高温時に電解液の減少量が増えることもあります。日本の主要な電池メーカーや関連企業で構成される業界団体、一般社団法人 電池工業会によると、電解液は主に充電中、とくに過充電時に水が酸素と水素に分解されることで減少し、高温になるほど減少量が増えるとされています。
これらに加えて夏場は、エアコンのブロワーファンや電動冷却ファンなどの作動機会が増えます。ガソリン車では、走行中に使う電力は基本的にオルタネーターがまかないますが、渋滞や短距離走行が続くと消費した電力を十分に補充できない可能性があり、充電不足の状態での使用が繰り返されれば、極板の劣化が進み、容量や始動性能の低下につながります。高温に加えて電装品の使用や渋滞が重なる夏は、バッテリーへの負担が増えやすい季節なのです。
長距離を走っても、失われた性能までは回復しない
こうして失われた容量や始動性能は、長時間走行して充電しても元には戻りません。お盆休みの長距離ドライブで十分に充電されたとしても、劣化したバッテリーが蓄えられる電力量や発揮できる始動性能には、新品時ほどの余裕がありません。
そこへ通勤や買い物などの短距離走行が続くと、エンジン始動で消費した電力を十分に補えないまま、次の始動を迎えることがあります。残された余力が少ないバッテリーでは、この繰り返しによって、突然エンジンを始動できなくなる可能性があるのです。
これはガソリン車だけの問題ではありません。ハイブリッド車や電気自動車にも、走行用バッテリーとは別に、車両システムの起動や電装品への給電を担う12V補機バッテリーが搭載されています。
ハイブリッド車や電気自動車では、車両システムの起動中、駆動用バッテリーの電力を使って12V補機バッテリーを充電します。ただし、鉛タイプの補機バッテリーの場合、高温によって自己放電や劣化が進みやすい性質は、ガソリン車の12Vバッテリーと変わりません。補機バッテリーの電圧が車両システムを起動できないほど低下すると、駆動用バッテリーに十分な電力が残っていてもシステムを立ち上げられず、クルマを走らせることができなくなります。
一般的なガソリン車のように、セルモーターの回り方から異変を察知することも難しいため、パワースイッチを押してもシステムが起動しない、という形でトラブルが表面化する場合があります。










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