スバルアルシオーネ不発の理由 日本では鳴かず飛ばず!!?【偉大な生産終了車】

■北米では人気だったが、日本では苦戦 その理由は?

 問題作ではあるものの、北米でのイメージアップを狙って作られた「意欲作」であることは間違いなかったスバル アルシオーネが、1代限りで販売終了となってしまった理由。

 それは、1985年9月の「プラザ合意」をきっかけに急激な円高が進み、肝心の北米市場での競争力が落ちてしまったから――というのも確かにあるでしょう。

 しかしそれよりも、結局は「カッコよくあることを狙ったパーソナルクーペなのに、あまりカッコよくなかったから(もっと直截に言ってしまえば、ぜんぜんカッコよくなかったから)」というのが根本的な理由だったはずです。 

 斜め上ぐらいの角度から見るアルシオーネは、決して悪くないというか、むしろステキなデザインであるようにも感じられます。

 しかし真横から見ると、ホイールベースはレオーネと同じであるため前後のオーバーハングが必然的にやたらと長く、あまりバランスが良くありません。

サイドビュー。日本では不人気に終わったが、その後の北米市場でのスバルの立ち位置を考えれば「スバルブランド」の確立に一役買った一台である、とは言えるのかもしれない

 またレオーネの車台に(当時としては)そこそこ大きなクーペボディを被せたものですから、前後から見るとタイヤ&ホイールがボディの内側に入り込んでしまっていて、正直「不格好だなぁ……」と思わざるを得ません。

 要するにこれは、小ぶりなレオーネの車台に無理やり「宇宙的デザインのクーペボディ」を載せてしまったことの弊害です。

 もっと車台に合った寸法の宇宙ボディであったなら、もしかしたら結果は違っていたのかもしれません。

 そのほか、凝りに凝ったインテリアの「コントロールウイング」も実際は使い勝手が悪く、決してホメられたものではありませんでした。

 急加速時などに自動的にAWDへと切り替わる「AUTO-4WD」は、現代の4WD制御システムにもつながる先駆け的なものでしたし、そのほかにも、注目すべきハードウェアはいくつもあったスバル アルシオーネでした。

 しかし当時のスバル(富士重工)という会社は、まだまだ「デザインで人々をうならせる」にはちょっと無理があったようです。

 そしてそれは今も……なのかもしれませんが、まぁその話はまた別の場所でできればと思っています。

■スバル アルシオーネ 主要諸元
・全長×全幅×全高:4450mm×1690mm×1335mm
・ホイールベース:2465mm
・車重:1140kg
・エンジン:水平対向4気筒SOHCターボ、1781cc
・最高出力:120ps/5200rpm
・最大トルク:18.2kgm/2400rpm
・燃費:12.2km/L(10モード)
・価格:206万2000円(1989年式VR 5MT)

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