毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。
時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。
しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。
訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はスバル レガシイB4(1989-2020)をご紹介します。
【画像ギャラリー】1つの時代の終焉。歴代レガシィB4全モデルをギャラリーでチェック!!!
文:伊達軍曹/写真:SUBARU
■長きに渡りスバルを牽引した旗艦セダン
ジャパニーズ・スポーツセダンの最右翼として長年にわたり支持されてきたものの、「日本市場自体の重要度低下」と「セダン人気の凋落」「企業平均燃費規制の強化」というトリプルパンチにはさすがに勝てず、日本市場からは消えることとなった名作セダン。それが、スバル レガシイB4です。
1989年に登場した初代レガシィ セダンは、当時の他メーカーの一般的なセダンとは一線を画す本格派の4WDスポーツセダンとして人気に。
そして1993年登場の2代目は、同時期の他社製セダンがこぞって3ナンバー化と大排気量化をしていくなか、かたくなに「5ナンバーサイズと2L以下のエンジン」という姿勢を守り、そして2ステージ・ツインターボを採用した水平対向4気筒DOHCターボエンジンの魅力、さらにはデザイン自体の良さも相まって、スマッシュヒットを記録しました。
続いて1998年12月に発売された3代目から、レガシィセダンは「レガシィB4」と車名を改め、スポーティグレードであるRSKとRSのみという強気な姿勢で攻勢を開始。
そしてこれまた、2ステージ・ツインターボの魅力やマルチリンク化されたリアサスペンション等々により大人気となり、「日本におけるスポーツセダンといえばレガシィB4」という図式を確固たるものとしました。
2003年から2009年まで販売された4代目は衝突安全性向上のため全幅を35mm拡大したことで3ナンバーサイズとなり、2ステージ・ツインターボに代わってシングルタービンのツインスクロールターボとなりましたが、基本的には好評を維持。
しかし、排気干渉を防ぐと同時に燃焼効率の向上を目指して「等長等爆エキゾーストマニホールド」を採用し、それによっていわゆるボクサーサウンドが失われた点については、コアなスバルファンは不満に思ったようです。
続いて2009年に発売された5代目では、北米市場を意識したやや大柄なサイズとなり、2Lエンジンは廃止。ターボチャージャー付きのエンジンは2.5Lのみとなりました。
そして2014年登場の6代目ではさらに大柄な「完全アメリカンサイズ(全長4795mm×全幅1840mm×全高1500m)」となり、ターボエンジンも全廃。
5代目前期型の一部には残されていたマニュアルトランスミッションも廃され、変速機はすべてCVTに。
このあたりからレガシィB4は、初期の「硬派なスポーツセダン」とは完全に異なるポジショニングの車になったと言えるでしょう。
2019年2月にはシカゴ・オートショーで7代目レガシィが発表されました。しかし製造はすべて米国スバルのインディアナ工場で行われ、日本への輸入と販売について正式にアナウンスされないまま、日本市場では6代目がそのまま継続販売されていました。
そして2020年6月22日、スバルはついに31年以上の長きにわたって販売されてきた「レガシィ B4」の国内受注受付を終了すると発表したのです。
コメント
コメントの使い方