実は飛躍的進化? アシスト機構でMT操作が容易に
近年のクルマは、アクセルペダルとエンジンの出力制御を行うスロットルバルブが電気信号でつながっている電子スロットルや横滑り防止装置といった電子制御が当たり前となっている。
この種のデバイスはMT操作のアシストにも応用されており、主な具体例としては以下の5つのようなデバイスが登場してきている。
■トヨタ iMT(カローラ、C-HR、GRヤリス)
iMTは電子制御スロットルを利用して発進や車庫入れなどでユックリ動く時の半クラッチ時にアクセルを軽く煽る作業や、シフトダウンのためクラッチを切った際に空吹かしをして下のギアにスムースにつながるよう回転を合せる「ブリッピング」を自動で行ってくれるものだ。
後者に関してはまずiMTにサポートしてもらいシフトダウン時の感覚を覚え、慣れてきたら自分でもブリッピングを行い、最終的にはオフにして自分でできるようになるという使い方も有効だ。
■シフトダウン時のブリッピング機能(日産 フェアレディZ/シンクロレブコントロール、ホンダ シビックタイプR/レブマッチシステム)
この2つは前述したトヨタのiMTのシフトダウン時のブリッピング機能と同じものだが、2008年12月登場の現行フェアレディZが世界初だった。
MT車でサーキット走行に代表されるスポーツドライブをする際には、ブレーキ操作とシフトダウンのためのブリッピングを同時に行うヒール&トゥーと呼ばれるテクニックが必要となる。
ヒール&トゥーの際には正確なブレーキ操作が第一となるため、右足でブレーキを掛けながら左足でクラッチを切って、右足でアクセルを煽るもので、正しく行えている人は意外に少ない難しい技術。
それがシフトダウン時のこの種のブリッピング機能があると、右足はブレーキ操作に集中できるのだから、画期的である。
また、シビックタイプRのものはもっともスポーティな「Rモード」と、「スポーツモード/コンフォートモード」という走行モードによってブリッピングの度合いを変えており、芸が細かい。
■エンスト時の再始動機能(マツダ アイドリングストップ付のMT車)
これはなかなかマニアックな機能だ。具体的にはMT車でアイドリングストップ状態からクラッチを踏むとエンジンが再始動するのを利用して、クラッチミートでエンスト後3秒以内にクラッチを踏み直すとエンジンが再始動するというもの。
クラッチを踏みながら再度スタートボタンを押す手間がなくなり、なかなか便利だ。
■MT変速アシスト制御(マツダ3/CX-30)
こちらもマニアックな機能で、具体的にはシフトアップ時にアクセルを戻してエンジン回転が適切なところまで落ちる前にクラッチをつなぐと起きるショックを防止。
そのためSKYACTIV-Xに付くマイルドハイブリッドの超小型モーターを使ってエンジン回転を素早く落とすというもの。
これによりドライバーは、エンジン回転の落ちをそれほど気にせず普通にクラッチ操作をすれば、スムースなシフトアップが可能になる。
■ヒルスタートアシスト(MT車全般)
これは横滑り防止装置が付いた現代のクルマであればAT車でも珍しい装備ではない。
MT車の坂道発進は、サイドブレーキでクルマを抑えるか、アクセルを多めに煽りながら素早くクラッチをつなぐ必要があり、面倒と言えば面倒だ。
それがヒルスタートアシスト付のMTだと登り坂を検知すると、横滑り防止装置を利用してブレーキペダルを踏まなくともブレーキが3秒程度掛かり、その間にクラッチをミートすればサイドブレーキを使ったようにクルマが下がらずに坂道発進できる。
ただ、FR車など後輪が駆動しているクルマだと、クルマによってはヒルスタートアシストの解除の仕方が難しいこともあるようで、かえってエンストなどの原因になる場合もあり、解除しているドライバーを見ることもある。
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