死んでしまう!! 車内熱中症を防げ! 車内温度を下げるためにすべきこと

 連日35℃を超える猛暑日が続き、灼熱の太陽光が降りそそぐ車内は死の恐怖を感じるほど危険だ。

 炎天下にクルマを長時間駐車した場合、車内の温度は50℃以上に達し、熱中症の危険もはらんでいる。

 そこで、車内の温度を上げないようにする方法はあるのか? 身近なサンシェードやドアの開閉だけで温度は下がるのか? 

 また50℃以上に上がってしまった車内の温度を早く下げるにはどの方法がベストなのか? モータージャーナリストの高根英幸氏が解説する。


文/高根英幸
写真/高根英幸 JAF
出典/JAF

【画像ギャラリー】気温30度以上の真夏日 車内に置いたものはどうなる?


1時間の駐車で車内の温度は50℃以上

 梅雨が明けた途端、酷暑とでも呼ぶべきほどの暑い夏にガラリと変わった。そう思うほど、今年の夏は極端な季節の移り方をした。

 この時期に問題となることの一つが駐車時の車内温度の上昇だ。条件によっては1時間の駐車で50℃を超えるほど、真夏の車内は危険ですらあるのだ。

 黒や紺などの濃色車は、照り付ける日光だけでボディは80℃を超えるほど高温になってしまうことも珍しくない。長時間駐車していると車内は70℃になったという実験結果もある。

 そして何より車内が冷えるまでは運転も同乗も不快でしかなく、温度が下がるまでは我慢を強いられるのだ。

 ステアリングが熱くて触れない場合は冷えるのを待たなければならないこともあり、出発までに準備時間を強いられることは移動時間のロスを増やすことにつながる。

 したがって、真夏の駐車はいかに車内の温度上昇を抑えるか、が快適な移動を実現するための大事なポイントとなるのだ。

 温度を下げる必要が少ないほど、燃費低下の抑制にも貢献するし、熱い思いをしながらの運転は集中力を低下させるので安全性にも影響が出る。

どうすれば車内の温度上昇を抑えることができるか?

 春や秋なら駐車する方向や角度を考えるだけで、フロントウインドウからの直射日光を抑えることはできるが、ほぼ真上に太陽がある真夏は、残念ながらそれくらいの工夫では効果が薄い。

 最近のクルマは遮熱ガラスを採用しているクルマもあり、カーウインドウフィルムもUV(紫外線)だけでなく熱線(赤外線)をカットしてくれる機能性の高い商品もあるから、それだけでかなり車内の温度上昇を抑えられるものと思いがちだが、車内を熱するのは窓からの直射日光だけではない。

 ルーフパネルが高温になればライニングを通して室内に熱気を伝えてくる。さらに走行直後はエンジンルームからの熱気がダッシュボード奥のバルクヘッドからも伝わってくるし、駐車前まで熱せられていた駐車スペースの路面からの輻射熱がフロアパネルを暖め、じんわりと室内の温度を上昇させる。

 そういった意味では屋内や日陰に駐車するのが一番の対策なのだが、そもそも止める場所を選べないことも多い。

 フロントウインドウにサンシェードを装着することは、今や夏の駐車対策としてはベーシックなものだろう。最近はフロントウインドウの大きさに合わせて、様々なサイズのサンシェードが販売されている。

 陽射しを遮るだけというなら、段ボールでも代用できそうだが、サンシェードは光を反射するコーティングが施されており、それ自体の温度上昇を防ぐとともに熱線などを反射して車外に追い出してくれるから、単なる日除け以上の効果が期待できるのだ。

 サイドウインドウやリアウインドウは紫外線、熱線をカットする能力を備えていても、フロントウインドウは安全性が特に要求される部分だけに純正のウインドウガラスは熱線カットの効果も低めだ。

 しかもガラス面積が広いため、何も対策しなければダッシュボードを高温にして、グングンと室温を上げてしまう。

 サイドウインドウを少し下げて駐車するのも効果的だが、問題もある。ゲリラ豪雨が珍しくなくなった昨今、豪雨に遭うと少しの窓開けでも室内に雨水が流れ込むことになる。

 これがパワーウインドウなどドアトリムに配置されているスイッチに大量に注がれると、故障の原因にもなりかねない。

 また、大きく下げ過ぎると車上荒らしの格好の餌食になってしまう心配もある。奴らは閉め切っていてもリアドアの小窓などを割って、車内の貴重品を盗んでいくが、窓が開いているとそうした犯罪を誘発しやすい環境を作ってしまうことにもなる。

 サイドバイザーを装着していると雨が吹き込む可能性は少なくなるが、そのぶん熱気の抜けも悪くなる。

 最近の純正サイドバイザーは走行風を負圧に利用して室内の空気を吸い出すタイプもあり、駐車中は換気としての機能が低いものがあるので注意したい。

真夏日にクルマを日向に駐車しておくと車内の温度はどうなる?

 実際に真夏日にクルマを日向に駐車して試してみることにした。外気温は35℃、午後1時で晴れ時々曇りという状態で、1時間駐車してみた。

 車内を締め切った状態で特に暑さ対策をしない状態では1時間停めていただけで、42℃を超えた。雲が出てこなければ、簡単に50℃を超え60℃に近づいただろう。

車内のほぼ中央、前席の頭部の高さに気温計を吊り下げ、室内温度を計測。時々日が陰る状態ながら、締め切って放置しておくと、1時間後には42℃に達した

 次に日陰に移動して冷房を全開にして室内をほぼ駐車前の状態にまで冷やしたうえで、今度はフロントウインドウにサンシェードを装着してサイドウインドウは閉めたまま、1時間駐車してみた。

 すると対策なしよりも陽射しが強い状態になったこともあって、室温は46℃まで上昇した。サンシェードの効果が薄いのではなく、陽射しの変化の影響が大きく出た結果だ。

室温29℃の状態から、今度はほとんど雲が無くなった強い陽射しの状態で実験
サンシェードを装着して、サイドウインドウはすべて閉め切った状態のまま、1時間放置してみた
1時間後の室温は46℃にまで上昇。サンシェードがなければ60℃近くにまで上昇したかもしれない

 サンシェードを装着すると、室温が下がっただけでなく、それ以上に内装の温度を上昇させるのを防ぐことができた。

 フロントシートはフロントウインドウからの直射日光で熱せられてしまうため、それが室温上昇を招くだけでなく、乗り込む時に熱くて不快な状態を防いでくれるのは助かる。

 続いて、同じように車内を充分に冷やしたうえで、今度はサイドウインドウを3cm下げて、さらにサンシェードと併用してみた。

 JAFのユーザーテストを見ると対策なしに比べ、サイドウインドウを下げると室温は1割程度低くなっている。

 風の有無によっても若干の差はあるが、これとサンシェードを併用すると、どこまで温度上昇を抑えられるか試してみた。

サンシェードを装着し、サイドウインドウを3cm下げた状態
1時間後の室温は44℃。この程度の窓開けでは効果が限られるようだ

 すると結果は44℃と、サンシェード装着のみと比べて2℃しか低くならなかった。風がないこともあって、この程度の窓開けでは効果が薄いのだろう。

 しかしサンシェードを装着しただけの状態よりも、明らかに室温上昇は抑えられている。

 もっと開けた方が室温は下がるが、他のリスクを考えるとこの程度が限度と思っていた方がよさそうだ。

 ただしサイドバイザーを装着しているなら、バイザーの高さぶんだけ余計に開けることもできそうだ。

JAFが行ったテストでも実証!

 JAFが行った「真夏の温度ユーザーテスト(出典:JAF)」の情報も合わせて紹介しておきたい。

 天候は晴れ、気温が35℃、午後12時から4時間、駐車条件の異なる車両(ミニバン)を5台用意し、炎天下における車内温度を測定。各車両の室温を25℃に揃え、3つのテストを実施している。

①対策なし(黒)➁対策なし③サンシェード装着④窓開け(3cm)⑤エアコン作動に設定した(出典:JAF)
各車種に設定した車内温度の変化グラフ(出典:JAF)
車内の最高温度は黒いボディカラーが57℃、白いボディカラーが52℃。サンシェードをした場合、窓開けいずれも対策なしと比べて車内温度が下がっているのがわかる(出典:JAF)

 対策なし(黒)の車内温度が一番高く推移していたが、サンシェード対策や窓開け対策をしていても温度抑制効果は低く、人や動物が耐えられない温度となり、車内温度の上昇を防ぐことはできないことがわかった。

 また、エアコン作動車では、表の通り、温度の上昇は防げることがわかった。しかし、エンジンをかけたままだと、誤操作でクルマが動いたり、燃料切れでエンジンが止まってしまう可能性や排ガスなどの環境面にも問題があるので注意が必要である。

炎天下の車内温度、対策はできる?(JAFユーザーテスト)の動画はこちら!

炎天下ではエンジン停止後15分で熱中症危険レベルに!

炎天下ではエンジン停止後、15分で熱中症の危険レベルになった(出典/JAF)

 車内の温度上昇は、前述したように再び乗車して移動する際に不快で危険、燃費低下を招くだけが問題ではない。

 炎天下の駐車中に子供や高齢者を待たせていたり、車内に置いたままにしているモノに恐ろしい影響を与えることになる。

 例えばコンビニやスーパーで子供を車内に残して……というのはとんでもない話だ。

 JAFがこうした状況を想定して熱中症の危険度を測定した。熱中症指標計(写真中央)を用いて、WBGT(※熱中症指数)を算出(グラフ参照)している。

エンジン停止後、室内の温度は20℃レベルだったのに、エンジン停止後10数分で厳重警戒レベル、30℃を超えた(出典/JAF)

※WBGT(熱中症指数)とは人体の熱収支に影響の大きい気温、湿度、輻射熱の3つを取り入れた指標で、乾球温度、湿球温度、黒球温度の値を使って計算する。暑さ指数ともいう。

 これによると、エアコン停止からわずか15分で、熱中症指数が危険レベルに達したことがわかった。

 乳幼児は体温調節機能が未発達で、高温下では短時間で体温が上昇し、死に至ることがある。寝ているからという理由で、車内に子どもを残すのは大変危険なことがおわかりいただけただろうか。

車内温度を最も早く下げる方法は?

 最後は高温になった車内の温度をどうしたら早く、最も下げられるのかを解説していこう。

 長時間炎天下の駐車場に停めた場合、車内の温度は50℃以上になる。しかし、ドアを開けると室内はとてもじゃないが灼熱地獄で乗り込むことができない。

 ドアを全部開けて、エアコンをMAXにする、内気循環にすればいいのか……など、悩んでいる人は多いのではないだろうか?

 ここで、JAFが「夏の駐車時、車内温度を最も早く下げる方法は? JAFユーザーテスト」(出典:JAF)というテストを行っているので紹介しておきたい。

①ドア開閉➁冷却スプレーで冷やす③エアコンの「外気導入」④エアコンの「内気循環」⑤エアコン作動+走行の5バターンでテスト(出典:JAF)

 同じ色の同じクルマを5台用意し、車内温度 が55℃になったタイミングで5名のモニターがそれぞれ違う方法で温度低下に挑戦。

 温度計測は、計測器の温度センサーは運転席と助手席の中央、乗員の顔の高さに設置し、経過時間ごとの温度変化を測った。

①ドア開閉
 エアコンは使わず、助手席の窓だけを開け、運転席のドアを5回開閉して車内の熱気を逃し、温度変化を測定。

エアコンを使わずドアの開閉だけで温度は下がるのか?(出典:JAF)

②冷却スプレー
 エアコンは使わず、冷却スプレーをシートに10秒ほど吹きかけ、3分間の温度変化を測定。

冷却スプレーをシートに3分間吹き温度変化を測定(出典:JAF)

③エアコン「外気導入」
 窓は開けず、クルマのエアコン(オート)を外気導入、温度設定はLo(最低)にし、10分間の温度変化を測定。

④エアコン「内気循環」
 窓は開けず、クルマのエアコン(オート)を内気循環、温度設定はLo(最低)にし、10分間の温度変化を測定。

⑤エアコン+走行
 窓を全開にし、 クルマのエアコン(オート)を外気導入、温度設定はLo(最低)にして走行。2分後に窓を閉め、エアコンを内気循環にして3分間走行し、温度変化を測定。

窓を全開にしてエアコンを作動させて温度を測定(出典:JAF)
対策別、車内温度の変化(出典:JAF)。「エアコン+走行」が最も早く車内の温度が下がることがわかった

 測定結果は見てみよう。エアコンを使わない「ドア開閉」は47.5℃、「冷却スプレー」は3分後に50.1℃に低下。

 エアコンを使用した3パターンのうち最も温度が下がったのは「エアコンの内気循環」で10分後に27.5℃、「エアコンの外気導入」は10分後に29.5℃、「エアコン+走行」は5分後に55℃から半分近くの28℃まで下がった。

 今回のテスト結果では「エアコン+走行」が最も早く温度を下げることができた。

 窓を全開にしてエアコンを外気導入にして走り出し、車内の熱気を出したら窓を閉めて、内気循環にして冷やす、これが最も効率的な方法ということがわかった。

 エアコン+走行は短時間で温度を下げられるので、燃料消費や排ガスを抑えることができるので環境面でのメリットも大きいといえる。

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