高速道路上の落下物でクルマが損傷 被害を受けたドライバーにも責任があるって本当?

高速道路上の落下物でクルマが損傷 被害を受けたドライバーにも責任があるって本当?

 2020年7月中旬、高速道路で起こったアクシデントを記録した映像が朝の情報番組でとりあげられ、そのコメントも合わせてネットニュース界を賑わしたことをご存じだろうか?

 トラックの荷台に積まれていた畳が、走行風で煽られたかと思いきやフワリと浮き上がって荷台から離れ、後続車のフロントガラスを直撃した交通事故である。

 TV番組では、この場合の過失割合は過去の判例に倣うと前走車が60、後続車が40で、状況によって10から20程度それぞれ増減すると紹介。

 司会者もコメンテーターも、後続車に自分を想定している(トラックに乗って荷物を運んでいる自分は想定できないからだろう)ことから、後続車の過失が意外と大きいことに、不満を訴える意見であった。

 100:0、つまり後続車には過失がないのではないか、という意見で一致していた印象だ。

 たしかに後続車のドライバーは普通に走行していただけで、特に落ち度は感じられないから、同情する意見もある。

 そこで、この高速道路の落下物問題の真相はどうなのか? モータージャーナリストの高根英幸氏が解説する。


文/高根英幸
写真/Adobe Stock moorise-stock.adobe.com(畳を積んだトラックのトビラ写真) NEXCO東日本 ベストカー編集部

【画像ギャラリー】高速道路の落下物は年間34万5000件 最も多い落下物は何?


どのように対処すべきか2要素に分けて考えてみる

高速道路本線上の落下物を処理する交通管理隊(写真提供:NEXCO東日本)
高速道路本線上の落下物を処理する交通管理隊(写真提供:NEXCO東日本)

 交通事故に対するドライバーの責任についての基本的な考え方と、道路上の落下物による事故に対してどのように対処すべきかの2要素に分けて考えてみたい。

 まず交通事故に対するドライバーの責任であるが、車両を運転している以上、交通事故が起これば何らかの責任を負うことになるのは避けられない。

 信号待ちなど完全に停車している状態を除けば、ドライバーは運転免許を交付され、クルマを走らせている時点で道路交通法を理解して、交通の安全に務めなければならないのだ。

 道交法のすべてを教習所で教わる訳ではないから、ドライバーにそこまで責任を追及するのは酷だ、という意見もあるだろう。

 しかし自動車運転教習所は、ドライバーが道路を走るために必要な技術や知識のすべてを教えてくれるところではない。むしろ最低限の知識と技術を教えて免許取得を手助けしてくれるだけの施設だと思うべきだ。

 このあたりはコロナ禍による自粛と経済活動との折り合いにも似たものがあるが、日本の基幹産業の一つである自動車産業を支える1要素としても教習所は一定のペースでドライバーを育て、世に送り出すことが要求されてきたという背景があるのだ。

 したがって「教習所で教わっていない」は、言い訳にならないことを覚えておくべきだ。本来、ドライバーは「自動車六法」(クルマに関する法律だけを集約した法律書)に目を通しておくくらいの責任感をもって、運転に臨まなければならないのである。

 操作を誤れば人を殺めてしまうことにもなりかねない機械だけに、便利で快適な乗り物として気軽に扱うだけでなく、常に慎重な姿勢で運転することが必要なのである。

次ページは : 高速道路の落下物による交通事故の過失割合が60:40な理由

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