JAFが行ったテストでも実証!
JAFが行った「真夏の温度ユーザーテスト(出典:JAF)」の情報も合わせて紹介しておきたい。
天候は晴れ、気温が35℃、午後12時から4時間、駐車条件の異なる車両(ミニバン)を5台用意し、炎天下における車内温度を測定。各車両の室温を25℃に揃え、3つのテストを実施している。
対策なし(黒)の車内温度が一番高く推移していたが、サンシェード対策や窓開け対策をしていても温度抑制効果は低く、人や動物が耐えられない温度となり、車内温度の上昇を防ぐことはできないことがわかった。
また、エアコン作動車では、表の通り、温度の上昇は防げることがわかった。しかし、エンジンをかけたままだと、誤操作でクルマが動いたり、燃料切れでエンジンが止まってしまう可能性や排ガスなどの環境面にも問題があるので注意が必要である。
炎天下の車内温度、対策はできる?(JAFユーザーテスト)の動画はこちら!
炎天下ではエンジン停止後15分で熱中症危険レベルに!
車内の温度上昇は、前述したように再び乗車して移動する際に不快で危険、燃費低下を招くだけが問題ではない。
炎天下の駐車中に子供や高齢者を待たせていたり、車内に置いたままにしているモノに恐ろしい影響を与えることになる。
例えばコンビニやスーパーで子供を車内に残して……というのはとんでもない話だ。
JAFがこうした状況を想定して熱中症の危険度を測定した。熱中症指標計(写真中央)を用いて、WBGT(※熱中症指数)を算出(グラフ参照)している。
※WBGT(熱中症指数)とは人体の熱収支に影響の大きい気温、湿度、輻射熱の3つを取り入れた指標で、乾球温度、湿球温度、黒球温度の値を使って計算する。暑さ指数ともいう。
これによると、エアコン停止からわずか15分で、熱中症指数が危険レベルに達したことがわかった。
乳幼児は体温調節機能が未発達で、高温下では短時間で体温が上昇し、死に至ることがある。寝ているからという理由で、車内に子どもを残すのは大変危険なことがおわかりいただけただろうか。
車内温度を最も早く下げる方法は?
最後は高温になった車内の温度をどうしたら早く、最も下げられるのかを解説していこう。
長時間炎天下の駐車場に停めた場合、車内の温度は50℃以上になる。しかし、ドアを開けると室内はとてもじゃないが灼熱地獄で乗り込むことができない。
ドアを全部開けて、エアコンをMAXにする、内気循環にすればいいのか……など、悩んでいる人は多いのではないだろうか?
ここで、JAFが「夏の駐車時、車内温度を最も早く下げる方法は? JAFユーザーテスト」(出典:JAF)というテストを行っているので紹介しておきたい。
同じ色の同じクルマを5台用意し、車内温度 が55℃になったタイミングで5名のモニターがそれぞれ違う方法で温度低下に挑戦。
温度計測は、計測器の温度センサーは運転席と助手席の中央、乗員の顔の高さに設置し、経過時間ごとの温度変化を測った。
①ドア開閉
エアコンは使わず、助手席の窓だけを開け、運転席のドアを5回開閉して車内の熱気を逃し、温度変化を測定。
②冷却スプレー
エアコンは使わず、冷却スプレーをシートに10秒ほど吹きかけ、3分間の温度変化を測定。
③エアコン「外気導入」
窓は開けず、クルマのエアコン(オート)を外気導入、温度設定はLo(最低)にし、10分間の温度変化を測定。
④エアコン「内気循環」
窓は開けず、クルマのエアコン(オート)を内気循環、温度設定はLo(最低)にし、10分間の温度変化を測定。
⑤エアコン+走行
窓を全開にし、 クルマのエアコン(オート)を外気導入、温度設定はLo(最低)にして走行。2分後に窓を閉め、エアコンを内気循環にして3分間走行し、温度変化を測定。
測定結果は見てみよう。エアコンを使わない「ドア開閉」は47.5℃、「冷却スプレー」は3分後に50.1℃に低下。
エアコンを使用した3パターンのうち最も温度が下がったのは「エアコンの内気循環」で10分後に27.5℃、「エアコンの外気導入」は10分後に29.5℃、「エアコン+走行」は5分後に55℃から半分近くの28℃まで下がった。
今回のテスト結果では「エアコン+走行」が最も早く温度を下げることができた。
窓を全開にしてエアコンを外気導入にして走り出し、車内の熱気を出したら窓を閉めて、内気循環にして冷やす、これが最も効率的な方法ということがわかった。
エアコン+走行は短時間で温度を下げられるので、燃料消費や排ガスを抑えることができるので環境面でのメリットも大きいといえる。
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