マツダ ベリーサが追求したもの 小さな「日本流高級車」! 【偉大な生産終了車】

マツダ ベリーサが追求したもの 小さな「日本流高級車」! 【偉大な生産終了車】

 毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。

 時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。

 しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。

 訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はマツダ ベリーサ(2004-2015)をご紹介します。

【画像ギャラリー】出てくるのがもうすこし遅ければ…!!? 志半ばで表舞台から姿を消したマツダ ベリーサをギャラリーでチェック!!!

文:伊達軍曹/写真:MAZDA


■コンパクトカーながら「シック」「モダン」「ハイクオリティ」を追求したベリーサ

「シンプル・クオリティ・コンパクト」をキャッチフレーズに、従来の“車格”という概念を打ち破る「小さな高級車」として登場。

 だがすべてが中途半端だったのか、その試みは市場に受け入れられず、結果として1代限りで消えていった5ドアコンパクト。それが、マツダ ベリーサです。

 2004年6月に国内専用車としてデビューしたマツダ ベリーサの車台は、2代目デミオをベースとしたもの。

 ホイールベースはデミオとまったく同じですが、全長と全幅はベリーサのほうが50mm長く、15mm広くなっています。

全長×全幅×全高は3975×1695×1530mm、ホイールベースは2490mm。ちなみに2015年から発売開始されたCX-3は、全長×全幅×全高が4275×1765×1550mm、ホイールベースは2570mmだ

 搭載エンジンも2代目デミオと同じ1.5L直4ガソリンの「ZY-VE型」で、トランスミッションは4速ATのみ。

 駆動方式はFFが基本ですが、後輪をモーターでオンデマンド駆動する電気4WD「e-4WD」も設定されました。

 後にグレード体系は少々変更されることになりますが、デビュー当初のラインナップはシンプルにFF(153万3000円)とe-4WD(172万7250円)の2種類のみ。

 これに「ドレスアップパッケージ」(4万2000円)や「レザーパッケージ」(9万4500円)などのメーカーオプションを組み合わせる形をとっていました。

 しかしこういったもろもろ以上に特徴的だったのは、当時のプレスリリースが言うところの「シックで上質な個性を追求した内外装デザイン」でしょう。

 これまた当時のプレスリリースを鵜呑みにするのであれば、外観は伸びやかなラウンドシェイプをベースに、面の張りやコントラストの強調などでハイクオリティ感を表現。

サイドビュー。1550mm以下の全高は立体駐車場でも不便がすくなく、その一方で4名乗車の快適な居住空間を備えた

 また丁寧なつくりこみをすることで「クラフトマンシップ」感も出したそうです。

 インテリアは、ラウンドシェイプを基調とすることで広がりとくつろぎを演出。

 そしてメーカーオプションとして前述の「レザーパッケージ」を選べば、当時の国産コンパクトとしては異例のレザーシートを堪能することができ、同じくメーカーオプションとして、内蔵HDDに約3000曲を収録できる「ミュージックHDD(本体+6スピーカー+リモコンスイッチ付きステアリングホイールのセットで6万8250円)も設定。

シックにまとめられた内装(写真は2013年のミスティックレザーセレクション)

 そしてカードタイプのキーを携帯しているだけでドア/リアハッチのロックとアンロック、エンジンの始動・停止ができる「アドバンストキーレスシステム」は標準で装備されました。

 上記のミュージックHDDやアドバンストキーレスシステムは、今となっては当たり前というか、むしろ古いとも言えるものですが、当時としては画期的で、なおかつそれが「コンパクトカーに採用される」というのは異例のことでした。

 しかし、デミオ(2代目)譲りの軽快な走り、デミオを上回る静粛性も備えながら、販売は今ひとつ振るわず。

 その結果、2006年にいちおうマイナーチェンジは受けたものの、抜本的な変更は受けないままベリーサは2015年11月に生産終了となり、そのまま1代限りで消滅していきました。

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