トヨタのクラウンを筆頭に、長年販売され続けている名門モデルには、今は消滅した個性的で多彩なバリエーションの派生モデルがあった!?
「現在ではセダン一本だけれど、昔はワゴンもあった!」
そんな現在も生き残る名門モデルに、かつて設定された5台の個性的な派生モデルを紹介。これらのモデルは、ある意味で名門車が築き上げてきた歴史やあくなきチャレンジの一端ともいえよう。
文:片岡英明、写真:トヨタ、スバル、ホンダ、日産
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クラウンエステート(S170型)
日本人のために開発されたクラウンは、セダンだけでなく快適な高級ワゴンも「カスタム」の名で早い時期から仲間に加えている。
1999年秋に登場した11代目のクラウンに追加設定された170系ワゴンでは「エステート」を名乗った。クラウンにワゴンが加わるのは3世代ぶりだったから驚くほどの進化を見せている。
エステートもついにモノコック構造のGOAボディとなり、パッケージングも一新した。ロイヤルとアスリートの2シリーズがあり、それまでのように簡易式のサードシートを装備する3列シート仕様はない。
エンジンは直列6気筒DOHCで、3Lと可変バルブタイミングのVVT-iを採用した2.5Lを、アスリートVには2.5Lの直列6気筒DOHCターボを搭載した。FR車と電子制御フルタイム4WDがあり、サスペンションは4輪ともダブルウイッシュボーンだ。
エンジンは上質なパワーフィールでパンチもあった。また、ハンドリングも軽快で、特にスポーツサスペンションを装着したアスリートV系はダイナミックな走りを披露する。
ハンドリングと乗り心地の妥協点は高く、キャビンとラゲッジルームも満足できる広さだったが、2007年半ばにカルディナやマークIIブリットとともに姿を消した。
7代目アコードワゴン
ホンダを代表するファミリーカーのアコードは、1989年に登場した4代目から使い勝手のいい本格派のステーションワゴンを送り出している。米国生産のワゴンを持ち込んだから話題になった。これ以降、アコードワゴンは徐々にファンを増やしていく。
2002年秋に7代目のアコードが登場。セダン以上に気合が入っていたのがワゴンだ。フロアの後半やリアドア、リアサスペンションなどをワゴン専用に設計し、堂々たる3ナンバーのワイドボディで、キャビンもラゲッジルームも広い。
また、セダンと同じように、時代の先端を行く高速道路運転支援システムのHiDSもオプション設定されていた。パワーユニットも専用である。2.4Lの直列4気筒DOHC・VTECで、トランスミッションも最新設計の5速ATだ。
フラッグシップの「2.4Tスポーツパッケージ」は、パワフルなエンジンや専用サスペンション、17インチタイヤなどを採用し、痛快な走りを見せつけた。余裕があるから荷物を積んでも速かったし、フットワークもセダンと遜色ない気持ちよさを実現している。
最初は月に2000台に迫る販売台数を記録し、セダンに肉薄したが、徐々に販売台数が減り、モデル末期には月平均400台レベルまで落ち込んだ。
2008年12月登場の8代目にもワゴンは用意されたが、全幅は1840mmだから扱いやすいとは言えず、自然消滅の形で姿を消している。
一時はホンダを代表する主役の1台だっただけに、もう一度、スポーティなワゴンを復活させてほしい、と思うファンは少なくないはずだ。
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