値引き拡大の裏に潜む、残価設定ローンの問題点
販売店がハリアーを販売する際、顧客に勧めるのが「残価設定型ローン」である。ハリアーは、トヨタ車の中でも残価率の高いクルマであり、残価設定が勧めやすい車種の一つだ。
残価率は、一般に3年後で新車価格の50%、5年後では35%程度だが、ハリアーでは3年で60%を超え、5年でも55%程度を提示してくる販売店が多い。残価率が高ければ、月々の支払額は少なくなり、より買いやすくなる。また、自社ローンを使ってもらえれば販売店収益も上がるため、積極的に残価設定ローンを勧めている。
高い残価率を維持するハリアーは、リセールバリューが高いと思うかもしれないが、今回のハリアーを筆頭に、人気車を安売りする販売方法は、数年後のリセールに少なからず影響が出てくるはずだ。
具体的には、リセールが下がり、クルマの残価分を下回る査定金額となったとき、ユーザーには重い負担がのしかかる。クルマを売るにも負担金、乗り続けるにも再ローンの高い金利が待っている。
リスク対策を行っている販売店も
今回取材した中には、残価率を一般的な水準よりも大きく下げ、さらに残価設定ローンの残価保証条件を拡大している販売店もあった。買取金額保証の適用できる走行距離の基準を、年間1万キロから1万5千キロへ拡大している。ローン終了時の査定金額が残価を下回っても、買取保証を確実に使えるようにする施策だ。
また、残価ローン満了後の再ローンでも、金利が上がらない仕組みも独自設定しているようだ。このように長期的な視点でユーザーを守る考え方には感服させられた。
トヨタ販売店には、闇雲に売るのではなく、利益と同時にユーザーを守る動きを期待したい。このような、ユーザー目線に立った販売施策が、全国に広がってくれることを願っている。
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