タフト対ハスラー 似て非なる軽ソフトSUVの両雄 仁義なき対決

■狙っている層が実は違う! タフトとハスラーはどんな人が選んでいる?

 このようにハスラーは後席の居住性、シートアレンジ、燃費が優れ、タフトは装備を充実させた。後発のタフトは、ハスラーとは異なる特徴を持たせて、競争を避けたともいえるだろう。

 この違いは、ダイハツとスズキの車種構成とも関係している。ダイハツの軽乗用車は、商用車ベースのアトレーワゴンを含めて10車種に達するが、スズキは7車種だ。

 ダイハツには全高が1600~1700mmの軽乗用車として、すでにムーヴ、ムーヴキャンバス、キャストが用意されるから、タフトも後席の快適性に重点を置くと機能に重複が生じてしまう。そこでタフトは後席を荷室と割り切って簡素に仕上げ(前後席では色彩が異なり後席はドアハンドルなどの装飾も省いた)、個性を明確にすると同時にコストも抑えている。その代わりに装備を充実させた。

 一方、スズキは事情が異なり、全高が1600~1700mmに位置する空間効率の優れた軽乗用車は、ハスラーとワゴンRだけだ。そのためにハスラーで、ファミリーユーザーまでカバーする必要がある。

 そこでハスラーは、車内の広さやシートアレンジをワゴンRと共通化して、幅広い用途に対応した。ワゴンRは標準ボディとスポーティなエアロ仕様のスティングレーを用意して、そこにSUV風のハスラーを加えている。2車種で幅広いユーザーに対応する戦略だ。タフトとハスラーでは、メーカー内の位置付けと販売戦略が異なり、商品にも前述の違いが生じた。

ラインナップの関係で差別化を図りたかったダイハツに対して、スズキは「ワゴンR」(写真)とハスラーで幅広い層をカバーする必要があった
ラインナップの関係で差別化を図りたかったダイハツに対して、スズキは「ワゴンR」(写真)とハスラーで幅広い層をカバーする必要があった

 そうなるとユーザー層も変わる。スズキの販売店では「ハスラーのお客様は、若い人から家族まで幅広い」というが、ダイハツは違う。「ファミリーのお客様は、タントやムーヴキャンバスを選び、タフトは独身や子育てを終えた方が比較的多い」という。タフトは後席を荷室として使うコンセプトだから、それに合わせてユーザーにも違いが生じた。

 ダイハツの誤算は、2019年7月に登場したタントの売れ行きが伸び悩んでいることだ。2020年9月におけるタントの届け出台数は1万1897台で、コロナ禍の影響が残るとはいえ、前年9月の54%まで落ち込んだ。モデル末期だった2018年9月の1万1858台と同等にとどまる。

 タントが不振だから、2020年にタフトを加えながら、1~9月の販売累計はダイハツが38万3952台、スズキは38万7400台だ。軽自動車のメーカー別順位は、2007年以降、2014年を除くとダイハツが1位を守ってきたが2020年はどうなるかわからない。

 今後は軽自動車販売1位を巡り、ダイハツとスズキの販売合戦が激化する。タフトとハスラーを含め、軽自動車がさらにオトクに買えるようになるわけだ。

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