■ともに譲らぬ魅力あり! 比較でわかる2台の長所短所
販売店の見方も尋ねた。スズキの販売店では「ハスラーを選ぶお客様には、先代型からの乗り替えが多く、購入することを決めて来店される。従ってハスラーとタフトで迷うお客様は少ない」という。
ダイハツの販売店では「設計が古くなった(2014年に登場した)ムーヴからの乗り替えもあるが、他メーカーのお客様も少なくない。ハスラーと比べて決めるお客様もおられる」とコメントした。
つまりタフトを買う人達はハスラーも気にするが、ハスラーのユーザーはタフトをあまり意識しない。そのためにハスラーの販売順位は、タフトの登場前に比べてほとんど下がっていない。2019年9月はホンダ「N-WGN」に抜かれたが、それでもN-BOXやタントなど、全高が1700mmを超えるスーパーハイトワゴンのグループに次いで売れている。
タフトのユーザーがハスラーを意識するのは当然だろう。タフトは、ハスラーが初代と2代目を発売して定番商品になったあとで、似通った外見で登場したからだ。大筋でいえば、タフトはハスラーの後追い商品と受け取られる。
そうなると後発のタフトにとって、ハスラーとは違う魅力をいかに表現するかが大切になる。単なる後追い商品で終わると、売れ行きが伸び悩むことは明らかだ。
そこでタフトは、価格をハスラーよりも若干安く設定しながら、装備の充実度で上まわる商品開発を行った。例えばタフト2WD・X(135万3000円)は、求めやすい価格なのに、ヘッドランプはLEDで、パーキングブレーキも電動式、さらにガラスルーフのスカイフィールトップを標準装着する。
これに比べてハスラー2WD・G(136万5100円)は、価格が1万円少々高いのに、ヘッドランプはハロゲンで、パーキングブレーキブレーキは足踏み式になり、ガラスルーフは採用されない。
ガラスルーフは、一般的には6~8万円のメーカーオプションだが、タフトは全車に標準装着して(非装着車を用意しないことで)コストを低減させた。タフトXにはLEDヘッドランプなども標準装着され、価格はハスラーGよりも1万円少々安いから、装備に関してはハスラーよりも合計で約14万円割安だ。
その代わりハスラーは、装備で負けてもシートアレンジを充実させた。後席のスライド機能は、タフトは装着しないがハスラーには備わる。そのために前後席に座る乗員同士の間隔は、タフトは900mmだがハスラーなら1035mmまで拡大できる。身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は、タフトは握りコブシ2つ少々だがハスラーは3つ半に達する。
ハスラーは後席の足元空間が広く、シートのサイズにも余裕を持たせて座り心地は柔軟だ。タフトの後席は足元が少し狭く、座面は短めで座り心地にも硬さが伴うから、4名乗車時の快適性はハスラーが大幅に上まわる。
またハスラーでは、後席の背もたれを前側に倒すと座面も連動して下がり、フラットな荷室に変更できる。こういった後席の操作はすべて左右独立式だから、ハスラーのシートアレンジは、全高が1700mm以下の軽自動車ではワゴンRと並んで最も充実している。
燃費性能も異なる。2WDの場合、タフトのWLTCモード燃費はノーマルエンジンが20.5km/L、ターボは20.2km/Lだ。ハスラーはマイルドハイブリッドを採用して、25km/L・22.6km/Lになる。
コメント
コメントの使い方