顧客満足度調査では高い評価を受けている
レクサスが国内で開業したのは2005年8月30日。当時の商品ラインナップは、4ドアセダンのIS、GSとスペシャリティカーのSCの3車種だった。
あれから15年。今ではセダンだけでも3車種(GSは廃止)。SUVも4車種、スペシャリティ2車種、5ドアハッチバック1車種まで拡大している。
国内販売の実績では、開業当初は約2万5000~3万台だったが、2010年は約3万5000台、2015年には約4万8000台に増えて、前述の通り、2019年には6万2394台と過去最高を記録している。
15年間でこの躍進ぶりは、大成功と言っていいだろう。しかし、レクサス販売をよく見てみると、あることに気が付く。今のレクサスに足りないもの。それを検証してみたい。
ここにJ.D.パワー(顧客満足度・コンサルティングの専門機関が行った調査報告が2つある。
1つは「2020年日本自動車セールス満足度(SSI)調査」。乗用車を新車で購入した際の正規販売店の対応に関する顧客満足度を総合的に分析するもので、セールスマンなど販売の現場に関わる人たちに関連する調査だ。
これによるとラグジュアリーブランドではアウディが1000ポイント満点中、775ポイントで1位。
2位に772ポイントでレクサスが入っている。ちなみにメルセデスベンツとBMWは同ポイントで3位に入っている。
この調査ではセールスマンの納車時の態度、商談、契約手続きなどが評価の対象になっている。
もう1つの調査は同じくJ.D.パワーの「2020年日本自動車サービス満足度(CSI)調査」だ。
こちらは点検や修理などのアフターサービスにおける販売店に対する顧客満足度を総合的に分析するもので、ラグジュアリーブランドではレクサスがメルセデスベンツ、ボルボ、アウディを抑えてダントツでトップを獲得している。
この結果を見ると、レクサスはラグジュアリーブランドとして成功しているように思える。
たしかに筆者の知り合いもレクサスISを2台乗り継いでいるが、その理由はディーラーに行くとクルマを洗車してくれるから、と言っている。レクサスにしてから1回も自分で洗車をしたことがないそうだ。
レクサスのおもてなし精神
ここで思い出すのはレクサスが国内市場に初めて参入した時のことだ。東京・高輪に完成したショールームにプレス関係者を招き内覧会を催した。
これまでの自動車ディーラーとは異なるデザイン優先のショールームや建物の中に入ると、優雅な空間が広がっていた。
商談用のソファーに座ると、係の女性がやってきて、膝まづいて、こちらの要件を聞いてきた。レクサスの「おもてなし」だった。
あの時から15年。今でもレクサスのショールームはあの時と同じようにラグジュアリーな雰囲気の空間が残されている。
開業当時からの「おもてなし」の心が、今でもレクサスのディーラーにはきちんと残されているのだ。
レクサスを立ち上げるキッカケになったのは、世界で通用する高級車作りにチャレンジするためだった。
それには既存のトヨタブランドでは力不足と考え、新しいブランドを作り出したのだ。新しい高級ブランドはプライドと同時に、商売としての利点もあった。
高級車は価格も高い。高く売れるクルマを作り、値引きもせず、定価で販売すれば1台当たりの儲けも大きい。
実際にレクサスの販売台数はトヨタ系の販売店に比べて販売台数は少ないが、経営は安定してるという。
それまでアリストという名のアッパーミドルセダンを3代目にフルチェンジし、GSというレクサスのモデルにしたが、アリスト時代は3Lで400万円を切っていた価格を、3.5Lにして520万円にアップしたのだ。それでもGSは売れた。
当時、ディーラーに行くと、慇懃無礼とも思えるセールスマンと高級なインテリアの店内に圧倒された、という話を耳にした。
セールスマンは、高級輸入車販売で有名なヤナセから大勢、引き抜いている、という実話も耳にした。そして、商談に入ると、値引きは一切なし。値引きを持ち出す雰囲気を作らせなかったのだ。
このディーラーのホスピタリティは今も変わっていない。「おもてなし」の精神。レクサス開業当時からのディーラーの心意気は変わっていないのだ。
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