事故や故障によって、クルマが自走できなくなった際、「けん引しよう(してもらおう)」と考える人は少ないと思います。多くの人が「レッカー車を手配しないと」と考えるでしょう。
JAFなどのロードサービスが充実していて、クルマをけん引しなければならない事態にはめったにならないかもしれませんが、災害時などは、ロードサービスが混み合っていて到着に時間がかかることも考えられ、また、雪路でのスタックなど、ロードサービスを呼ぶまでもない、という場合には、「けん引しようか」となる場合も考えられます。
また、事故や故障ではなく、船やバイク、リヤカーなどを運ぶ場合も、けん引に関する知識がなければできません。
今回は、知っておいて無駄ではないはず「けん引する際のルール」について、ご紹介していきます。
文:吉川賢一
写真:NISSAN、JAF、ベストカーweb編集部、Adobe Stock
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けん引には免許が必要
「大型SUVが小型ボートをのせたトレーラーを引っ張って、湖のほとりにあるキャンプサイトへ颯爽と向かっていく」――。CM等で見かけることがあるような光景ですが、ピックアップトラックや大型SUVが、トレーラーを豪快に引っ張る姿は、迫力があって実にカッコいいものです。
このけん引についての最も重要なルールが、けん引をするには、「けん引免許」が必要になることです。ただし、免許が必要となるのは、けん引をする自動車の総重量(乗車している人や荷物を含む)が750kgを超える場合。750kg以下であれば、小型のボートを乗せたトレーラーなども、けん引免許はなくても牽引することができます。
ちなみにけん引免許を取得すると、タンクローラーやダンプトレーラー、キャリアカーなども運転できるようになります。取得方法は、運転免許試験場にて技能検定(一発試験)をするか、指定の教習所にて技能研修を受けたのち、技能卒業検定に合格すれば取得できます(一発試験は6000円程度、教習所は11万~12万円程が相場)。
故障など、やむを得ない場合は免許がなくても
ただし例外として、故障車を運ぶ際など、やむを得ない場合には、けん引免許がなくともけん引することができます。例えば、友人のクルマが故障してしまい、自走ができなくなってしまったときに、自身の車を使って故障車をけん引することができます。
車輪を上げずにけん引する場合には、けん引車と故障車の車間を「5m以内」で保てるように、頑丈なロープなどで2台を繋ぎ、そのロープに「0.3m平方以上の白い布」を付ける、ということが決められています。また、故障車側に乗る運転者も、その故障車を運転できる免許が必要です。
ちなみに、大型・大型特殊・中型・普通自動車で牽引できるのは2台まで、大型・普通自動二輪車と小型特殊自動車では1台までです。