トヨタ マークIIブリットの5年 名実ともに高級FRワゴンだった!? 【偉大な生産終了車】

■わずか5年。生産終了の背景にあったのはブーム終焉とデザイン性!!?

 トヨタ マークIIブリットという車は、ステーションワゴンそのものとしては決して悪いモノではありませんでした。

 よく走りますし、室内や荷室は広いですし、FRですのでステアフィールもなかなか良好です。メカニズム的には特に「悪いところ」はなかったように思えます。

 悪かったのは、率直に言って「デザイン」でしょう。

 もちろんデザインというのは絶対の正解があるわけではないため、「マークIIブリットのあのフォルムやディテールが大好きだった!」という人もいらっしゃるかもしれません。

 しかしなるべく客観的に見ても、一部で「霊柩車」とも揶揄されていたマークIIブリットのフォルムは、「不格好」という単語こそがしっくりくるものでした(好きな人には申し訳ございません)。

 車というのは「素晴らしいデザイン」であるに越したことはありません。しかし特に素晴らしくはなくても、せめてほぼ同時期に販売されていた2代目日産 ステージアぐらいの「普通なデザイン」であったならば、トヨタ マークIIブリットは、もう少し違ったニュアンスで延命されたのかもしれません。

日産 ステージア(1996-2007年)。写真は2代目(2001年)
日産 ステージア(1996-2007年)。写真は2代目(2001年)

 しかし仮にマークIIブリットのデザインがまともだったとしても、日本におけるステーションワゴンブームの終焉とともに、トヨタ マークIIブリットは消えていた可能性は高いでしょう。

 1990年代の「RVブーム」と、その中心カテゴリーのひとつだったステーションワゴンは2000年代に入ると、RV(Recreational Vehicle)に対する好みがより細分化された結果台頭してきたミニバンやSUVに押され、青息吐息の状態でした。

 高速道路を走る車の平均速度が高いドイツやその他の欧州各国では、セダン並みの空力特性と走行安定性を持つステーションワゴンにはアドバンテージがあります。

 しかし100km/hか120km/h、追い越しの際でもせいぜいメーター読みで130km/hぐらいまでしか出す必要がない日本では、背が低い=高速走行が得意なステーションワゴンより、前面投影面積が大きくても、その分だけ人や荷物をたくさん収容できるミニバンやSUVが優勢となってしまったのは必然でしょう。

 個人的には国産ステーションワゴンの復権を願っていますし(実際、新しいやつを1台注文しました)、新型スバル レヴォーグが復権の先駆けとなる可能性もなくはないはず。

 しかしマークIIブリットはさすがに時代背景的にも厳しかったですし、そもそもデザインに求心力がありませんでした。

 1代限りで絶版となったことについては、「むべなるかな」としか言いようがありません。

■トヨタ マークXブリット 主要諸元
・全長×全幅×全高:4775mm×1760mm×1470mm
・ホイールベース:2780mm
・車重:1620kg
・エンジン:直列6気筒DOHCターボ、2491cc
・最高出力:280ps/6200rpm
・最大トルク:38.5kgm/2400rpm
・燃費:9.2km/L(10・15モード)
・価格:339万円(2002年式 2.5 iR-V)

【画像ギャラリー】日本ではもはや絶滅危惧種!? ステーションワゴン クオリス ブリット ステージアを写真で見る

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