2020年11月17日に11代目となるホンダ『シビック』(プロトタイプ)が北米で発表された。4ドアセダンモデルのみの先行公開となったが、リリースではスポーツグレードの「タイプR」もラインナップすることが記された。ただし、あくまで先行公開の状態で、メイン市場となる北米でも投入は2021年春になる予定だ。
そんなシビックは、現行型が北米で登場したのが2015年で、かなり遅れた2017年に日本に投入した。すでにデザインなども周知されていて話題性が少なかったこと、サイズ感が日本市場には大きすぎたこともあり、販売台数はいまいち伸びなかった。北米から数カ月遅れでの投入であれば、国内でももっと話題性があったのではないだろうか?
そうなると気になるのは11代目シビックもまた2年後なのか? ということだ。ホンダはシビックをどうしたいのか? 日本向けの戦略をどのように考えているのか? ホンダの抱える戦略の課題と今後必要となる動きを考察していく。
文/渡辺陽一郎
写真/HONDA、編集部
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■登場が2年も遅れた現行型 好ましくない市場の現状
北米で次期『シビック』のプロトタイプ(試作車)が披露された。フロントマスクは適度にシンプルで、視覚的なバランスを向上させている。早い時期に日本にも導入して欲しい。
最近のホンダで気になるのは、日本における新型車の売り方だ。シビックは2010年に8代目で国内販売が打ち切られ、9代目は売られなかった。現行型の10代目で復活したが、北米での発売は2015年、日本は2017年と遅れた。背景には海外向けのセダンを国内の寄居工場で生産することになり、イギリス製のハッチバックやタイプRと併せて、シビックの国内販売を再開した経緯があった。
しかし2020年8月に、セダンの国内販売は早くも終了した。ハッチバックは残り、タイプRも2020年10月8日にマイナーチェンジを実施したが、後者のリミテッドエディションは発売早々に完売している。タイプRのベースグレードも、2020年11月下旬時点で、一部のボディカラーしか選べない。つまり現時点で普通に購入できるシビックは、実質的にハッチバックのみだ。
現行アコードも、北米では2017年7月に発表しながら、国内発売は2020年2月だ。約2年半にわたり、日本では海外に比べて安全装備などが劣る旧型アコードを売っていた。
アコードの国内販売計画は、1カ月当たり300台と少ない。北米における販売実績の1.4%だから、優先順位が下がっても仕方ないが、2年半は遅れすぎだ。アコードのフルモデルチェンジ周期は約5年だから、2年半も遅れたら、約半分の期間を旧型で過ごすことになる。
アコードやシビックは、1970年代から国内の基幹車種だった。4輪車で海外に進出する前のホンダは、この2車種を通じて日本のユーザーに育てられた。過去を振り返っても、日本で旧型アコードを長々と販売したり、シビックセダンを出したり引っ込めたりするのは、国内市場への好ましい取り組み方ではない。
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