最近は「プチバン」の人気が高い。プチバンとは、全長を4m前後に抑えながら、全高は1600mmを上まわる背の高いコンパクトカーのことだ。背が高くてミニバンよりも小さいから、俗に「プチバン」と呼ぶ。トヨタ ポルテ/スペイドのCMで広まった。
プチバンの車種は少ない。先に挙げたポルテ&スペイドの姉妹車、トヨタ ルーミー/ダイハツ トール/スバル ジャスティの3姉妹車、スズキ ソリオ&三菱 デリカD:2の姉妹車程度だ。
日産のキューブは生産を終了しており、ホンダ フリードとトヨタ シエンタは3列シートのミニバンで、全長も4.2mを超えるからプチバンと呼びにくい。
しかも最近は売れ行きが二極分化してきた。登録台数が最も多い車種はルーミーだ。以前から好調だったが、2020年10月には1万1487台を登録して、小型/普通車登録台数ランキングの3位に入った。
2020年10月におけるルーミーの登録台数を対前年比で見ると165%に達する。前年の1.6倍以上も売れた背景には、複数の理由がある。
文/渡辺陽一郎、写真/TOYOTA、SUZUKI、DAIHATSU、MAZDA、SUBARU、MITSUBISHI
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■ルーミー&新型ソリオは高い実用性を誇る“二強”
まずはルーミーの優れた実用性だ。小さなボディは混雑した街中でも運転しやすく、高い天井によって車内は広い。後席を畳めば自転車も積める。
しかも前述の通り車種が少ない。以前はbB、ラクティス、ベリーサ、キューブなどもあったが、大半は売れ行きを下げて廃止された。
ポルテ&スペイドも2012年の登場だから設計が古く、2020年9/10月の登録台数は、ポルテが約400台、スペイドは200台前後と少ない。今のプチバンの購入対象は、主にルーミーとソリオに限られる。そこで需要が集中した。
さらにトヨタの事情もある。2020年5月から、全国のトヨタの販売店で全車種を扱うようになったことだ。
姉妹車をそろえる必要性が薄れ、2020年9月に実施されたマイナーチェンジでタンクを廃止した。その結果、ルーミーは改良を受けたうえにタンクの需要まで吸収して、2020年10月の売れ行きは前年の1.6倍以上に増えた。
ちなみに、2019年10月には、ルーミーが6962台、タンクは5420台を登録した。合計すれば1万2382台だ。
2020年10月はルーミーに統合されて前述の1万1487台だから、以前のルーミー+タンクの台数と比べれば横這いだ。1万台を突破した直接の理由は、タンクの廃止にあった。それでも人気車であることに変わりはない。
ソリオは2020年11月に新型へフルモデルチェンジされたが、その直前となる10月時点でも、先代型が2551台登録されていた。コロナ禍の影響を受けていない2019年は、月平均で3707台であった。それ以前には4000台を超えた時期もある。ソリオも息の長い人気車だ。
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