■立ち往生を想定して EVだから必要な3つのポイント
結論から書くとあります。家屋より断熱性能の低い自動車は、車内全体を暖めようとしたら前述の通り大量の電力を消費する。
家庭用の100Vなら1000Wというイメージ。けれど電気毛布など電力消費量の少ない暖房用具を使うなら圧倒的な電力と言ってよい。電気毛布を「強」で使って30W程度しか消費しない。敷き毛布と掛け毛布を使っても60Wだ。
実際はスタンバイ状況のキープで電力を消費するため、300W+α程度使うけれど、この程度の電力なら40時間で12kWh。35.5kWhで残量が半分あったら50時間(2日間以上)もつ。しかも電気自動車だと排気ガスを出さないため、クルマの周囲が雪で埋まって閉まっても排気ガスにより生命を失うこともない。むしろ雪に埋もれたら風で冷やされない。
電気自動車の本格的な普及が始まる2030年代になると、電池技術も進みコストだって低くなる。多くの電気自動車は50kWh以上の電池を搭載することだろう。そうなったらバッテリー残量半分でも3日間くらいの立ち往生なら問題なし。ガソリン車よりずっと安全で快適な「立ち往生ライフ」を送れるんじゃなかろうか。
ということで、すぐ始めるべきなのは電気自動車で立ち往生した時の対応策だと思う。前述のとおり、関越道の40時間通行止めには電気自動車が含まれていなかったものの、電池容量少ない従来型リーフなどで遭遇したら深刻な状況になったことだろう。すぐにでも電気自動車の立ち往生対策を始めるべきだと思う。といっても難しいことじゃない。
1)車内装備品に電気毛布を義務付け
クルマにさまざまな備品の搭載が義務付けられている。最もわかりやすいのは発煙筒。電気自動車についていえば、電気毛布などの暖房用品の搭載を車検時のチェック項目に加えたらいい。
車両側にも、立ち往生で電気毛布使う時の最小限の電力供給機能を義務付けたい。この2点で立ち往生に強くなる。
2)ネクスコに状況提供を義務付け
今回立ち往生した区間は、ほぼすべてが「FM雪国」の可聴地域。12月の立ち往生ではまったく情報提供をしなかったものの、FM雪国に依頼すれば細かい情報を随時伝えられた。
そういった手段を使い、電気自動車に対し適切なアドバイスをするべきだ。もちろんガソリン車に対するアドバイスだって必要だ。
3)遠からず電気自動車のコネクテッド化が始まる。立ち往生した車両はすべて判断できるようになるため、残り電池容量などすべて遠隔判断可能。
以上3点の対応策をすぐに導入することで、電気自動車も通行止めでヘコたれることがなくなると思う。
現在電気自動車に乗っているのなら、すぐにでも電気毛布を買って搭載して欲しい。役に立ちます。
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