■なぜ有名ブランドのステアリングは激減? メーカーの見解は
なぜ激減したのか? 以下のとおり大きく4つの理由が浮かぶ。
●各メーカーの純正ハンドルが良くなった
スバルに社外製ステアリングホイールの純正採用が減った理由を聞くと、「技術の進化で、社外製を採用しなくても高品質なステアリングを提供できるようになったため(高触感革を採用したステアリング等)」との回答が得られた。
確かに1990年代終盤から、トヨタ/2代目スープラの後期モデル以降、日産/10代目スカイライン以降、ホンダ/S2000以降、スバル/2代目インプレッサWRX STI(C型)以降で、エアバッグの小型化が進んだこともあり、軽量化され見た目もシャープ、径も小さい方向になった。
これにより、スポーツモデルでもノーマルのままで満足できるステアリングが増えてきたため、有名ブランド製ステアリングの必要性が薄くなったのもうなずける。
●ステアリングスイッチの増加
同様の質問に対して、マツダからは「エアバッグの他にADAS(運転支援システム)やオーディオのスイッチなどが増え、ステアリング周りの機構が多様化・複雑化しているため、純正で対応し、社外製の採用が減少しました」という回答があった。
現在のクルマのステアリングは、上記以外に走行モードやメーター表示などの切り替えスイッチなども付き、操作パネルの1つのような役割もしている。
前述した現行コペンに装着されるモモのステアリングに付くのはオーディオのスイッチだけなので対応も可能なのだろうが、左右のスポークにスイッチが付くステアリングを海外のステアリングメーカーに対応してもらうというのは無理のある話だ。
●D型ステアリングの増加
乗り降りの際に太腿が当たらない等のメリットを持つD型ステアリングは、スポーツ走行などでカウンターステアを当てる際などの操作性の問題もあるが、GT-Rをはじめとした日産車やWRX、S660など日本車でもそれなりに装着例がある。
海外のステアリングメーカーに、エアバッグやスイッチが多数付く挙句、D型のステアリング形状に対応してもらうというのも、やはり無理があるだろう。
●ステアリングの種類が減少
近年の新車では同じメーカー内でもステアリングの種類がだいぶ種類が減っている。これは選択と集中により「いいものを低コストで提供する」という動きで、確かにいいステアリングも増えている。
こうした動きが進んでいるなかで、安くないであろう有名ブランドのステアリングを増やすのはやはり難しい。
これだけ時代の変化があれば、ノーマル状態で有名ブランドのステアリング装着したクルマが激減したというのは納得はできるだろう。
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ここ数年、ナンバー付のワンメイクレース車やラリー車でもステアリングはノーマルのままということが増えており、それは「ノーマルのステアリングが劇的によくなった」という象徴でもある。
それだけに今後ノーマル状態で有名ブランドのステアリングが装着されることやステアリングを交換するというカスタマイズは、一般的には過去の懐かしい話となりそうだ。
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