クルマを好きになるきっかけはいろいろとあるはずだが、少年時代に読んだマンガや遊んだラジコンなどもそんなアイテムのひとつといえるだろう。今回は懐かしいラジコンキットをご紹介したい。
タミヤは、80年代に登場したオフロード向け4WDバギー「ファイヤードラゴン」の再販を決定した。現在のところ発売時期、価格は未定だ。
ファイヤードラゴンは、1989年にモデル化されていた4WDバギーであり、1980年代のマンガ『ラジコンボーイ』(大林かおる著/全17巻)の主人公、車剛(くるまごう)が操ったマシンのひとつだ。
その人気の高さから、ファイヤードラゴン(2008)として、2008年3月に復刻版が販売されていたが、それも絶版となっていた。
今回は、ふたたび再販されることとなった「ファイヤードラゴン(2020)」を紹介しながら、その他のドラゴンシリーズについてもご紹介していこう。
文/吉川賢一、写真/タミヤ
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■80年代のRCカーファンが夢中になったマンガ「ラジコンボーイ」
ファイヤードラゴンの詳細をみていくまえに、『ラジコンボーイ』(大林かおる著)について少しご紹介しよう。
『ラジコンボーイ』は、『月刊コロコロコミック』(小学館)で1983年ごろから連載されていたマンガだ。主人公「車剛」が、同じくRCカーを操るライバルとのレースを重ねるなかでマシンを徐々にステップアップさせ、自らも成長していく様子が描かれている。
ちなみに主人公が、物語の中で最初に操っていたマシンはタミヤの「ワイルドウイリス」だ。マンガが始まる前年(1982年)に登場したビッグタイヤのRCカーで(今思えばタミヤとコロコロコミックのタイアップ戦略だった)、序盤はこのクルマをベースに、ストーリーが進んでいく。
JEEPタイプのボディにコミカルなキャラクターが乗り、大きなタイヤで土煙をまき散らいて走る姿は、実に面白い。
なお、ワイルドウイリスはすでに絶版だが、その後継モデルが「ワイルドウイリー2」として販売継続されている。
1982年に登場したワイルドウイリスと、ボディデザインはほぼ同じだが(縦スリットだったグリルが横スリットに変更)、シャーシやタイヤ、ホイールなどは、現代のパーツを用いているため、1982年当時と比べて、耐久性は飛躍的に改善している。
物語が進むと、主人公のマシンは、ワイルドワン、ホットショット4WDと次々に変わり、ついには1つ目のドラゴンシリーズ「スーパードラゴン」が登場する。マンガの中でボディ原型となったのは、木彫りの龍の頭部だった。
マンガの中とはいえ、こうしたストーリーには当時驚かされたファンは、どうにかこのマシンを手に入れたいと願ったものだった(当時、スーパードラゴンはキットでの販売はされず、1989年にスペアボディとして販売され、幻のアイテムと呼ばれた)。
ちなみに、マンガ終了から30年以上が経った2020年11月、「スーパーストームドラゴン」として奇跡的にキット発売となった。人気殺到のゆえ、今では手に入れることが困難な状況だ。
そして2代目のドラゴンとなったのが、「ファイヤードラゴン」だ。「魂(こころ)吼え 魂燃え 魂翔けるとき 火龍走る」というキャッチコピーは、当時、ラジコンボーイ達の心を鷲掴みにし、1989年に発売されたオリジナルのRCカーモデルは、販売されるやいなや大人気となった。
シャーシはモーターをミドシップマウントしたシャフト駆動のフルタイム4WD。バスタブタイプのフレームを採用しており、整備性がよく、手入れがしやすい。サスペンションは接地性に優れた4輪ダブルウィッシュボーンと、4本のCVAオイルダンパーに加え、フロントスタビライザーも装着している。
また、前後の密閉式ギヤケースにはユニット式デフギヤを内蔵。高い耐久性に加え、スムーズな動きを実現するなど、ポテンシャルが高い構成となっている。
ちなみに2008年3月の1度目の再販の際は、「買い逃したら手に入れられない」RCカーとして、なかには複数台を購入するコレクターも登場している。おそらく今回も、早々にショップから消えてなくなるだろう。
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