売れ行き好調なスズキが生んだ異端児!? イマイチ売れないイグニスの「我が道を往く」立ち位置

■ライバルは身内にあり!?

写真のスズキ ハスラーをはじめとした充実の自社ラインナップがライバルだ
写真のスズキ ハスラーをはじめとした充実の自社ラインナップがライバルだ

 まず言えるのは、身内のライバルたちが、あまりにも強力すぎたということだ。

 イグニスは、スズキの登録車としては一番サイズが小さく、室内空間は、多くの軽自動車より狭い。たとえばハスラーとイグニスを見比べて、値段が高くて室内が狭く、税負担も重いイグニスを選ぶのは、相当なクルマ好きだけだろう。イグニスが大好きな私だって、ハスラーに流れてしまいそうです……。

 軽じゃなく登録車なら、断然スイフトスポーツ! ってなるよね。これはまぁクルマ好きに限った選択ですが、一般ユーザーだって、イグニスよりも、ほぼ同価格帯で室内がぐっと広い、スイフトの標準モデルを選びそうだ。

 イグニスはクロスオーバーSUVだが、パッと見、そういうイメージも沸かない。私には、ヨーロピアンなコンパクトハッチに見える。つまり、今どき感もあんまりなく、古典的なクルマ好きの匂いの方が濃厚だ。

 同じスズキの登録車でも、クロスビーは見るからにクロスオーバーSUV。価格はクロスビーのほうがかなり高いんだけど、売れ行きは比べ物にならないほどクロスビーが上を行っている。

 イグニスは時代の流れにも乗り損ねた。イグニスの国内販売激減は、直接的には、クロスビーの登場(2017年12月)によるところが最もデカかった。販売台数の推移を見ると、クロスビーが出てから、ドーンと壊滅的になっている。

 イグニスが発売当初、国内販売でそこそこ健闘したのは、クルマ好きたちが飛びついたからという部分もあったかもしれない。彼らに行き渡ってしまったら、もう後が続かなかった。かつては多くの国産スポーツモデルが、そんな売れ行きを見せましたよね? それだけマニアックなクルマだったということでしょう。

■それでもイグニスはこれでいいんです!

どことなくイタリアの小型車を思わせる内装
どことなくイタリアの小型車を思わせる内装

 ではなぜ、スズキはイグニスみたいな通ウケなクルマを開発したのでしょう。

 イグニスが生産されているのは、日本とインド。欧州へも輸出されている。

 スズキの四輪車の販売台数は、約半分をインド(マルチスズキ)が占め、続いて日本が約2割、インド以外のアジアが1割強、欧州1割弱となっている。もちろん日本では大部分が軽自動車です。

 そんな中イグニスは、インドではマルチスズキの上級チャネル「ネクサ」のベーシックモデルとして売られているが、インドで最量販車のワゴンR(日本のワゴンRとはまったくの別物)も、ベースはイグニスだ。

 いや、この言い方は逆かもしれない。イグニスは、インドのワゴンRのオシャレ高級版と言った方がいいだろう。

 つまりイグニスというクルマは、最初からそういう狙いで開発されたのです! スズキは量販よりも、オシャレ感などのイメージを優先したのです! 開発陣も作りたいように作ったような気がしてなりません! そういうクルマが日本でメインストリームになれるはずはなかったんですね。

 ただしプラットフォームはインドのワゴンRと共用(ソリオやクロスビーとも共用)なので、事業としては完全にペイしている。

 つまり、イグニスはこれでよかったんですよ! 街で見かけるたびに、ひそかに愛の念を送ってます。

【画像ギャラリー】本文未掲載の内装写真も! イタリアの香り漂う「小さなちょいワルSUV」スズキ イグニスを見る

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