最も重要で悩ましい問題はやはり「バッテリー容量」
IMkは、コンセプトカーとして「技術的にこうしたことがやりたい」という日産の思いは伝わってくる内容ではあるが、市販モデルにこれらの技術がどこまで採用されるかは不透明だ。技術的に可能であっても、市販モデルには採用されないことは考えられる。
まず気になるのは、コストだ。利用範囲が主要幹線道路にまで広がった、進化版プロパイロット2.0搭載となれば、ライバル車に対して圧倒的優位となるが、現状「デイズ」や「ルークス」に採用されている「プロパイロット1.0」よりも多くのセンサーを必要とするため、コストアップは避けられない。
そして最も重要で悩ましい問題が、駆動用バッテリーの容量だ。バッテリー容量は車両価格への跳ね返りが大きいため、落としどころが非常に難しい。筆者は「税込200万円で200km走れる」というラインが妥当だと考えているが、航続距離の設定次第では、軽自動車の上限的な価格200万円を、大きく超えてしまう可能性もありうる。
C+podはライバルなのか!?
日産はIMkについて、「シティコミューター」という表現を用いている。「シティコミューター」といえば、トヨタが出した2人乗りの超小型EV「C+pod」は、満充電で約100km走れるシティコミューターとして販売開始した。
その用途は、日常生活の近距離移動に加えて、定期的な訪問巡回といった法人利用や、都市山間部など、地域に即した安心・自由かつ環境に良い移動手段を目指したものだという。
IMkは、クルマの装備からして、おそらく一般的な軽自動車を「シティコミューター」と表現していると思われるが、だとすると、C+podのように、潔い航続距離に設定するわけにもいかない。
ちなみに、C+podは現時点、EV普及に積極的な法人ユーザーや自治体などを対象に限定販売となる。個人向けの本格販売は、2022年を目途に開始する計画だそうだ。あくまで「100km走行できれば良し」と決めたため、税込165万円からという低価格で提供することができた。
また、C+podを通して、EVの新たなビジネスモデル構築など普及に向けた体制づくりにもすでに着手している。トヨタは、そうでないとビジネスにはならない、と判断したのだろう。
トヨタとは違う切り口で攻めるとしたら、日産は、現在の軽自動車で十分だと感じているユーザーを、EVという一段敷居の高いクルマにどう振り向かせるか。航続距離を含めた日産の販売シナリオに、すべてがかかっている。
コメント
コメントの使い方