■タクシードライバーは独特の勤務形態
ここで知らない方も多いと思うので、タクシードライバーならではの特殊な勤務形態を理解しておいて欲しい。
標準とされるのは1日おきに出勤する隔日勤務と呼ばれ、約20時間の労働で基本1カ月に11~13日の乗務。営業車は2人1組のペアで使用し、仮に私が今日出庫して乗務すれば明日は相方が乗務するといった形で常に24時間クルマが走り続けるイメージ。
ほかには一般の会社同様約10時間の労働で、基本1カ月で24日勤務する日勤(にっきん、半勤とも呼ばれる)があり、こちらは昼間私が乗務すれば夜に相方が乗務するという形態となりこちらも24時間クルマが走り続けることになる。
「え!? ちょっと待って。20時間労働ってどういうこと!?」という声が聞こえて来そうだがその理由は今回割愛させていただく(法律的に月262時間以内の拘束時間であれば問題ない)。
緊急事態宣言下において、不要不急の外出や20時以降の飲食店の営業が任意ではあるが規制されたことで、22時から始まるタクシー営業のゴールデンタイムとされる深夜割増料金時間帯での売上は当然大打撃を受ける。だが、比較的朝の通勤時間から夕方にかけては、安定した売上が見込めるため隔日勤務から日勤に切り替える乗務員が増えてきた。
私が勤務しているタクシー会社は、2021年1月の出番が6乗務6有給となっているから、日勤に切り替えると12乗務12有給となり月半分以上が休み、正直に言って「楽」になった。
ただし収入自体も半減しているので、生活費が厳しい乗務員は各自空いた時間でウーバーイーツやアルバイトなどで食い繋いでいるというのが現状だ。
■高級車タクシーよりJPNタクシー!?
当然個人タクシーにも大きな影響が出ていて、流しタクシーとしてほとんどお目にかかれなかったメルセデス・ベンツやレクサスなどの高級車を使った個人タクシーさえも固定客からの予約が減ってしまい、六本木などの繁華街で流しているのを頻繁に見かけるようになった。
今まで個人タクシーのほとんどが長距離客を掴みやすい夜の営業だったが、今では21時を過ぎると極端にお客さんが減ってしまう。だから通勤客が見込める朝から流すなど、だんだん営業する時間帯も早くなってきているようだ。そうすると予想もしていなかった強力なライバルに行く手を阻まれることになる。それは「JPNタクシー(ジャパンタクシー)」だ。
タクシーといえばクラウンなど4ドアセダンのイメージだったが2017年に登場以来順調に台数を増やし現在都内を走っている7~8割以上(個人的体感)がこのJPNタクシー。
最初はスライドドア開閉に時間がかかるなど乗務員には不評だったが、利用客からは乗り降りのしやすさや解放感、シートヒーターや照明など細かな勝手のよさから人気が急上昇、仮に前を走るセダンタクシーがいてもパスしてその後ろのJPNタクシーに乗るお客さんが増えている。
以前ほとんどのお客さんは、とにかく一番最初に通ったタクシーに手を挙げていたのが、今では完全にタクシーが余ってお客さんが選べる状態なので前を走るレクサスタクシーをやり過ごしてJPNタクシーに手を挙げるなどの光景を頻繁に見かけるようになった。
事実、同じ営業所内でもJPNとセダンでは売上に差が付いてきている。これもコロナ過の影響と言っていいかもしれない。
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