スープラはレースでも永久保存指定の名車!!

「やがて手足に」トップレーサーを生んだ名車スープラ

脇阪寿一氏とスープラ。引退セレモニーにて
スーパーGT引退セレモニーで久々に愛機スープラと対面した脇阪寿一氏。スープラはトップレーサーに育てられ、同時にトップレーサーを生み出した車でもある

 性格上、「移籍した初戦を優勝で!」と意気込んだ岡山の開幕戦。

 気持ちが空回りし、あろうことか古巣タカタ童夢NSXと接触しリタイヤ。次のレースまで移籍したことが正解か間違いか!? 

 この移籍に尽力してもらった方々に対して申し訳ない気持ちと、自分が情けなくって……。悩みまくって過ごした時間を今でも鮮明に覚えています。

 続く第2戦富士、開幕戦のミスからメンタルも弱り、緊張につぐ緊張のレース、そしてチームにも恵まれ優勝。トヨタ、TRD、ファンの方々、移籍に尽力いただいた方々に感謝を示す優勝ができ、この後のレースを落ち着いて挑めるきっかけにもなりました。

 次第にTRDの開発チームとの距離が近づき、チーム ルマンでレースはするものの、それとは別に、スーパーGTで使用するスープラの開発を任され始めます。そこからエッソ ウルトラフロー スープラは僕の手足となっていきます。

 2002年にはスーパーGTのタイトルを、2003年には未だにファンの皆さんの間で語り継いでもらっているスポーツランド菅生(宮城)、最終周最終コーナーでの大逆転劇! 飯田選手、チーム ルマンと共にそれは濃い濃い時間を過ごし、スープラは僕を「ミスターGT」へと引き上げてくれた車です。

 その2002年仕様エッソ ウルトラフロー スープラは、トヨタの永久保存指定車となり、今もなおTRDの方々によって動態保存されています。

 僕のスーパーGT引退セレモニーでもこの車を運転させていただき、当時がフラッシュバックしましたね。

 レーシングドライバーとして、自分と共に戦ったスープラが、今もファンの方々に愛され、そして自動車メーカーの永久保存指定車に指定されていることが、どれほど名誉な事か。

 ともに戦ったすべての皆さんと、素晴らしいライバルの車たち、ライバルであった皆さんに感謝です。

■トヨタ A80型スープラ

 A80型はトヨタのFRスポーツ車、スープラの歴代4代目となるモデルで1993年にデビュー。搭載エンジンは直列6気筒、3Lで、自然吸気仕様と280psを発揮するターボ仕様をラインナップ。

 2002年に生産終了となるが、レースシーンでは活躍を続けた。スーパーGTでは1997年、2001年、2002年の計3回チャンピオンを獲得し、通算26勝をあげた。

◆脇阪寿一

 1972年生まれ、奈良県出身。国内トップレースの全日本GT選手権(現在のスーパーGT)では、スープラを駆り2002年にシリーズチャンピオンを獲得。その後、2006年、2009年にもチャンピオンに輝く。全日本GT選手権/スーパーGT通算3度のシリーズチャンピオン。2015年をもってスーパーGTから引退。

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