もはやLPGのタクシーは電動化時代に生き残れないのか?

評価の高いジャパンタクシー:日の丸交通

ジャパンタクシーの高めの価格とセダンタイプを好む顧客への対応などを考慮して、ガソリンハイブリッドのシエンタやカムリなどが少数派ながら導入例も増えはじめている
ジャパンタクシーの高めの価格とセダンタイプを好む顧客への対応などを考慮して、ガソリンハイブリッドのシエンタやカムリなどが少数派ながら導入例も増えはじめている

 日の丸交通については過去に取材経験があって(2017年のジャパンタクシー登場の約2年前の2016年)、当時でも3代目ベースのプリウスαでさえ、燃費の良さとメンテナンス性の高さを聞いていた。

 日の丸交通が運用しているタクシー車両の保有台数は、前回取材当時の607台から現在は618台と微増しているが、車種別に変化を見てみると、5年弱前のクラウンセダンのLPG車は415台と保有車全体の約7割だったが、生産中止とともにジャパンタクシーの導入によって現在では76台に減少、プリウスα(ガソリン仕様)は、同取材当時の177台に対して、現在では26台のみとなった。

 いうまでもなく、ジャパンタクシーが419台と保有台数のトップを占めるが、シエンタハイブリッドも71台と2位のクラウンセダンをいずれは追い抜くことになるだろう。

 前記と同じくジャパンタクシーの燃費や耐久性がプリウスαに比べてどうなのかと訊くと、「ジャパンタクシーはタクシー用に開発された車両なので耐久性は高い。プリウスと比較すると特にブレーキアクチュエーター、駆動用バッテリーの耐久性が高く、プリウスの2倍近い走行距離を経ても不具合はほとんどない」としている。

 またEVの導入予定については、「現状でタクシー装備を与えた車両の走行距離は150km程度なので、250~300kmくらいまで走行距離が延びれば検討可能」というのは、EVタクシーの現実を示しているといえる。

●日の丸交通 保有台数:618台(2020年2月時点)
・LPG
トヨタクラウンセダン:76台。燃費:5.69km/L
トヨタジャパンタクシー:419台。12.17km/L
・ガソリンHV
トヨタシエンタHV:71台。燃費:15.67km/L
トヨタプリウスα:26台。燃費:13.98km/L
トヨタカムリ:3台。燃費:15.78km/L
・ガソリン
トヨタアルファード:14台。燃費:6.66km/L
トヨタエスクァイア:6台。燃費:8.43km/L
トヨタハイエース:2台。燃費:6.01km/L
・燃料電池車
トヨタミライ:1台

ジャパンタクシーを購入しない理由:エムケイ(京都MK)

サービス向上のために車両をグレードアップし、従来のLPG車から離れる流れも起きている。京都MKでは、アルファードやカムリ、セレナe-POWERなどのガソリンハイブリッド車を積極的に導入している
サービス向上のために車両をグレードアップし、従来のLPG車から離れる流れも起きている。京都MKでは、アルファードやカムリ、セレナe-POWERなどのガソリンハイブリッド車を積極的に導入している
セレナe-POWERのタクシー(京都MK)
セレナe-POWERのタクシー(京都MK)
カムリ(HV)のタクシー(京都MK)
カムリ(HV)のタクシー(京都MK)

 タクシーに関する話題で目をひいたのは、京都府を中心に全国展開しているエムケイ株式会社(保有台数:869台、2019年9月現在)が2021年1月19日、2025年までに全車両を電動化すると発表したこと。このため、従来から営業運転しているLPG車も2021年8月で運用を終了する予定という。

 実は京都MKはLPGからの移行を鑑み、従来からジャパンタクシーを導入しておらず、シエンタハイブリッドやセレナe-POWERなどのガソリンハイブリッド車をラインナップに加えている。

 そこで質問を少し変えて、既存のLPG車両からガソリンハイブリッドへの移行を進める理由を訊くと、「通常のタクシー以外の観光貸切、空港送迎、インバウンド対応などの需要に応えるべく、サービス向上の一環として車両のハイグレード化を数年来推し進めてきたからです」との答えが返ってきた。それを可能にしてきたのが「ガソリンハイブリッド車の燃費の向上」だという。

 「LPG車両と比較しても代替えまでの4~5年間での車両価格、燃料費、整備修繕費のトータルコストに大きな差がなくなってきました」とのことだ。ジャパンタクシーを導入しない理由としては「車両価格が高く、弊社の脱LPG車両戦略から離れるため」としている。他社と同じく、EVについて今後の導入予定があるのかという問いには「検討中」とのことだった。

●京都MK 保有台数:869両(タクシー:733両/ハイヤー:136両、2019年9月現在)
タクシー運用
・LPG:トヨタクラウンセダン(コンフォート)
・ガソリンHV:トヨタシエンタHV、トヨタカローラフィルダーHV、トヨタカムリ、日産セレナe-POWER、トヨタノア/ヴォクシー/エスクァイア
・プラグインHV:BMW740e
・EV:日産リーフ
ハイヤー運用
トヨタアルファード/ヴェルファイアHV
※セダンのハイヤーはトヨタクラウンHV、センチュリー、ドイツ系輸入車など。保有台数は1~4台。

●主なタクシー仕様車の燃費
トヨタクラウンセダン(LPG車):120台。燃費:5~6km/L
トヨタシエンタHV:120台。燃費:15~16km/L
日産セレナ(e-POWER):50台。燃費:10~12km/L
トヨタアルファード/ヴェルファイアHV:80台。燃費:9~10km/L

次ページは : ハイブリッド車はまだまだ使える

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

新型プレリュード仮想カタログほか、スポーツカー好き大歓喜情報満載!ベストカー12月10日号発売中!!

新型プレリュード仮想カタログほか、スポーツカー好き大歓喜情報満載!ベストカー12月10日号発売中!!

 ベストカーWebをご覧の皆さま、ちわっす! 愛車がどれだけ部品を交換してもグズり続けて悲しみの編集…