なぜ雪国にスバルが多いのか? 実はシェアもかなり高い!?


 スキーやスノーボード、旅行で雪国を訪れ、スバル車の多さに驚いた。そんな方も少なくないだろう。地元の方々にはおなじみながら、実際に雪国におけるスバル車のシェアは高い。

 スバル広報部によると、2020年の全国におけるスバル車のシェアは3.4%。いっぽう北海道で4.5%、東北では4.0%と、全国平均に比べて雪国でのスバル率は明らかに高い。

 では、実際にスバル車のどのような部分が雪国での支持に繋がってるのか? 本稿では、現役ラリードライバーで2020年の全日本ラリー選手権チャンピオン、新井大輝選手が、その理由を解説します。

文/新井大輝 写真/SUBARU、編集部

【画像ギャラリー】雪国で熱い支持を得る「四駆のスバル」を写真で見る!!


■実は東北電力の依頼が端緒!? 「スバルの四駆」の原点

黎明期4WDの名車、スバル レオーネ。スバルのAWDの歴史は豪雪地・東北からの依頼に始まった!?

 なぜ雪国にスバル車が多いのでしょうか? それはスバルが長年開発してきたAWD(四輪駆動)システムを探究し続けた結果にほかなりません。

 スバルのAWD技術が一番はじめに産声を上げたのは1970年代。山岳部の積雪地域でも走破性と快適性を両立させる車を作ってほしいという東北電力からの依頼がAWD誕生のきっかけになったと言われています。

 「東北」、「山岳」、「積雪」。この3つのワードを聞いてすぐに頭の中でイメージできるのは豪雪地帯です。日本特有の湿った雪は10cm積もるだけで二輪駆動車でも容易にスタックするほどの重みがあります。

 それが一晩に30cm以上積もる山岳地域は、さらに車が走破するには厳しい環境で、スタックしていたらあっという間に仕事もできずに1日が終わってしまいます。

 その当時はジープなどのハイリフトされた車両が四輪駆動のスタンダードであり、幌製のルーフなどでは極寒の地域で車内を温めることは容易ではなかったと想像できます。

 そこで当時のスバルはこの依頼に応えるためにFF(=前輪駆動)車両の1000バンをベースに改良を加えて四輪駆動にしました。

 のちに『誉エンジン』(中島飛行機と日本海軍が発明したレシプロエンジン)などの開発したことで有名な百瀬晋六さんが設計統括をしていたff-1へ、このAWD技術が受け継がれていくことになります。

 実際に、北欧や北米でも雪が多く降る地域へ行けば行くほどAWDのスバル車を目にすることが多くなります。

 私も北欧に住んでいましたが、路面グリップの低い積雪路面においてスバルが長年培ってきたAWD技術は、安全運転をするうえでの技術として目を見張るものがあることは事実です。北欧の友人に聞いても、スバル車に乗っておけば間違いないと言っていました。

■雪道に強いのは四輪駆動だからという理由だけではない?

インプレッサWRX STI。DCCDによって制御される4WDによって雪道でも抜群の安定感を生んでいる

 スバルが長年にわたり商品の主要ポイントとして謳ってきたものは、一重に四輪駆動だからという簡単な言葉だけでは表現しきれないのかもしれません。

 四輪駆動とは4つのタイヤへ駆動が掛かることで前に進もうとする推進力(トラクション)を得られます。

 直線的な道であれば駆動輪の回転差は生まれませんが、ハンドルを切って曲がるようなコーナーでは常に左右や前後でタイヤの回転差が生じます。“車輪の回転差が生まれる”ことを制御することで、車は安定したハンドリングを実現できるのです。

 ドライバーズ・コントロール・センター・デフ(DCCD)も、正にその一端を担っており、機械式のLSD(リミテッド・スリップ・デフ)とは違い、ステアリングやブレーキ、車速に応じて四輪駆動の前後の締結を調整し、トルク配分を電気制御で行うことで安定化制御を可能にしています。

 路面グリップがない雪ではこの制御の有無で天と地ほど安定感が変わってきます。2008年以降からはオートDCCDも更に制御が細かくなり、3種類が存在しているので、このことからも車両安定化システムの進化を感じることができますね。

次ページは : ■世界の舞台で培ったノウハウも「スバルが雪に強い」大きな要因に

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