なぜ雪国にスバルが多いのか? 実はシェアもかなり高い!?

■雪道に強いのは四輪駆動だからという理由だけではない?

インプレッサWRX STI。DCCDによって制御される4WDによって雪道でも抜群の安定感を生んでいる
インプレッサWRX STI。DCCDによって制御される4WDによって雪道でも抜群の安定感を生んでいる

 スバルが長年にわたり商品の主要ポイントとして謳ってきたものは、一重に四輪駆動だからという簡単な言葉だけでは表現しきれないのかもしれません。

 四輪駆動とは4つのタイヤへ駆動が掛かることで前に進もうとする推進力(トラクション)を得られます。

 直線的な道であれば駆動輪の回転差は生まれませんが、ハンドルを切って曲がるようなコーナーでは常に左右や前後でタイヤの回転差が生じます。“車輪の回転差が生まれる”ことを制御することで、車は安定したハンドリングを実現できるのです。

 ドライバーズ・コントロール・センター・デフ(DCCD)も、正にその一端を担っており、機械式のLSD(リミテッド・スリップ・デフ)とは違い、ステアリングやブレーキ、車速に応じて四輪駆動の前後の締結を調整し、トルク配分を電気制御で行うことで安定化制御を可能にしています。

 路面グリップがない雪ではこの制御の有無で天と地ほど安定感が変わってきます。2008年以降からはオートDCCDも更に制御が細かくなり、3種類が存在しているので、このことからも車両安定化システムの進化を感じることができますね。

■世界の舞台で培ったノウハウも「スバルが雪に強い」大きな要因に

写真は1995年のチャンピオンマシンとなったインプレッサWRC。改造範囲の狭いグループA規定のもと市販車ともども鍛え上げ、世界の舞台を席巻
写真は1995年のチャンピオンマシンとなったインプレッサWRC。改造範囲の狭いグループA規定のもと市販車ともども鍛え上げ、世界の舞台を席巻

 加えてスバルが参戦してきたモータースポーツ活動、なかでも制御系開発における一般市販車へのフィードバックという点で参戦していた世界ラリー選手権(WRC)などは、とりわけ究極の研究室ではないかと感じています。

 時代とユーザーのニーズの流れというものが存在するので、一概にラリーが今でもその自動車マーケットのプロモーションに合っているのかというのは難しい判断です。

 しかし当時の「グループA」や「プロダクションカップ」などは改造範囲がほとんどないので市販車を“素”の状態で売っていくという意味では絶大な影響力がありました。

 簡単に説明するとラリーというのは雪道から未舗装路まで、世界に存在しうる一般道を舞台にしておこなう競技です。公道での走行性能のアピールとしては最高の舞台といえるでしょう。

 世界選手権の舞台には、マイナス20℃近い気温の中で走行する雪のラリーもあり、海外での「スバルは雪に強い」というイメージは、雪のイベントで何度も総合優勝を成し遂げてきた功績でもあるように感じます。

 当時の噂ではWRCのイベントで勝つと次の1週間でプラス1万台車が世界中で売れると言われていたぐらい影響があったといわれます。

 それに加えて、必然的にグリップの最も低い雪路で速い車というのは、車体バランスの良さに通じているので、舗装路や未舗装路でも安定感がある車両ということが言えます。

 そして、雪道を安全に走れる高い技術は、WRC、スーパーGT、ニュルブルクリンクと多種多様なフィールドで培った制御システムが今日の市販車へ更に洗練されて市場マーケットへ販売されています。

■雪道という難しい路面こそクルマの“素”が現れる

運転の難しい雪道は、車の「素」の性能が問われる状況といえる
運転の難しい雪道は、車の「素」の性能が問われる状況といえる

 水平対向エンジンというバランスに優れたエンジンを、更にもうひとつ上の商品へと昇華させてくれる四輪駆動の制御技術は、長い年月をかけて惜しみない研究と情熱を傾けてきたスバルだからこそなし得たのだと感じています。

 近年、突如として豪雪の影響で起こるスタック大渋滞も記憶に新しいところです。それに加えて雪道の経験が少ないドライバーはより一層、車の制御で安全に守ってあげなければいけません。

 雪道という難しい路面こそスバルという乗り物の“素”の良さが伝わります。

 だからこそ日本だけでなく世界各国の雪の降る寒冷地域での『安心』や『安全』といった信頼感へと繋がっているのではないでしょうか。

【画像ギャラリー】雪国で熱い支持を得る「四駆のスバル」を写真で見る!!

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