■3代目で失速してしまったCR-X。その“裏”事情
「FFライトウェイトスポーツ」として一世を風靡したホンダ CR-Xが、実質的にはわずか2世代で消滅してしまった理由(ちなみに3代目にあたるCR-Xデルソルも1998年に生産終了となり、その時点で「CR-X」という車名自体が消滅しました)。
それは「若者のスポーツカー離れ」や「クーペというジャンルそのものの凋落」という理由も当然あったわけですが、さらに大きな理由は、冒頭で申し上げたとおり「当時の若年層を大いに魅了し、魅了しすぎたから」でした。
初代および2代目のCR-Xは、唯一無二のパッケージングと存在感、そして特に2代目はひたすらキビキビしたハンドリング性能とパワフルなエンジンにより、日本のみならず北米の若者をも魅了しました。
しかしその分だけ、いわゆる「いい気になって運転していた若者」による事故も多い車でした。特に2代目の「SiR」はスペック以上にパワフルで、なおかつVTECが付いたB16A型エンジンによりフロントヘビーな車でもあったため、峠道などでの全損事故がしばしば発生していたのです。
そしてその結果として、CR-Xは「保険料」がかなり上がってしまいました。
日本では保険商品の設計上、それほどでもなかったのですが、ホンダの主戦場である北米では、とてもじゃないが若い人が払えるはずもないレベルの保険料にまで達してしまったのです。
それと同時に、当時のホンダ社内では「若者向けの車とはいえ、事故率が高い車を作り続けるというのは、企業としていかがなものか?」という議論もあったようです。
こういった現実と議論の結果、CR-Xは「FFライトウェイトスポーツ」であることをやめ、「走りそのものではなく、オープントップによって乗員にスポーツ性を感じさせる」というタイプのスポーティカーである「CR-Xデルソル」に、生まれ変わったのかもしれません。
■ホンダ CR-X(2代目) 主要諸元
・全長×全幅×全高:3800mm×1675mm×1270mm
・ホイールベース:2300mm
・車重:970kg
・エンジン:直列4気筒DOHC、1595cc
・最高出力:160ps/7600rpm
・最大トルク:15.5kgm/7000rpm
・燃費:13.4km/L(10モード)
・価格:154万7000円(1989年式 SiR)
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