■電動車は現在の13モデルから2023年までに25車種まで拡大
現時点の電動車のラインナップは13モデルに過ぎないが、2023年までにほぼ2倍となる25車種まで拡大。そのうち半数をBEVと明言している。そのため、日本でもBEVの拡大はマストだ。
その反面、好調な伸びをみせたのが、Mモデルなのだ。全世界で昨年の+6%となる14万4218台を記録。世界的には、XシリーズのMハイパフォーマンスモデルとMパフォーマンスの新型「X6 M50i」が販売に大きく貢献。
その流れは、日本市場も同様で、前年比+7.7%の成長をみせた。ただ日本市場では、「M8」シリーズや「M235iグランクーペ」の貢献が大きかったとのこと。
つまり、全体的な販売が落ち込んだ状況でも、電動車とハイパフォーマンスカーは成長をみせたのだ。コロナ過でのハイパフォーマンスカー人気の背景には、富裕層の生活の変化にあるのだろう。
これまでブランドファッションや贅沢な旅行などのアクティブな志向に使われていた資金が、クルマに流れたと思われるからだ。それを裏付けるように、日本でもフェラーリが+24.7%、ロータスが+35.5%と成長。販売台数自体は多くはないものの、販売台数を伸ばしている。
また2輪車であるBMWモトラッドは、前年比+11.1%増の5007台を販売。輸入オートバイ全体も前年比+2.3%となる好調ぶり。
しかもオートバイは、ハーレーダビッドソンやドカティ、モトグッチなどのメジャーどころの販売が少し落ち込んだのに対して、トライアンフやハスクバーナーなどの通好みなブランドは+20%を超える伸びを見せているのも興味深いところだ。
つまり、お金を使える人たちの志向が、より拘りの強いもの、価値あるものに向いたともいえるわけだ。これは、経済的に厳しい状況にあっても高付加価値のものは、大きく販売が落ちないこととも解釈できる。
■2013年に登場したEVに特化したiブランドを強化
BMWの電動車戦略も同様で、普及促進という色合いよりも、新たな高付加なクルマとして売り込んだという流れがある。その象徴が電動ブランド「BMW i」の存在だ。
2013年に発表されたBMW iの第一弾モデル「i3」は、実用性も意識したEVであったが、RR駆動とカーボンファイバーモノコックボディなどの特徴を持つ拘りのEVであった。航続距離や価格の意見は賛否があったが、その一方で、BMWの「駆け抜ける歓び」を備えた走りの評価は高かった。
そして、第2弾としてプラグインハイブリッドのスーパーカー「i8」を投入。電動車でも面白いクルマが作れることを熱心にアピール。その後、PHEVの「アクティブハイブリッド」シリーズでも、電動化による環境負荷低減とともにエンジン+モーターのクロスオーバーが生む高性能な走りを売りとしていた。
高性能化と特別感の演出という面では、「BMW M」と「BMW i」の親和性は極めて高い。それ故、「BMW i」も、将来的にはエンジン車同様に、普及型と高性能モデルへと棲み分けが図られるだろう。
しかし、普及型にせよ、高性能型にせよ、まずは消費者のショッピングリストに加えてもらうことが最重要だ。そのためには、一人一人のニーズにマッチした多様な車種が必須となる。
そのためにも、市場への積極的なアプローチが試みられるのだ。ただ現時点では、バッテリーや充電器など電動化部品のコストが車両に重くのしかかる。
そのため、スペシャルティSUV「iX」や4ドアクーペ「i4」というファッション性も重視したモデルに力を入れる。それに対して、SUVの「iX3」は、普及型に近い存在といえるだろう。
これらのEVの生産は中国の合弁工場に集約し、世界的な供給を行うというからだ。SUVという多様性に加え、BMWエンジン車にできるだけ価格を近づけられれば、消費者の関心をひけるだろう。
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