■2021年に日本導入予定の3モデルはどんなモデルなのか?
まずはBMW iブランドのEVに続く、BMWブランドとして初となるEVのiX3。iX3は、第5世代となったBMWのeDriveテクノロジーを搭載する最初のモデルでもある。
iX3に搭載される第5世代のeDriveテクノロジーは、電気モーター、走行システム、トランスミッションをひとつのハウジング内に収められており、これによってドライブトレーンの設置スペースを大幅に削減するとともに、重量の削減効果があるという。
また既存の電動化モデルと比較して、出力密度が約30%向上したという。この第5世代のeDriveテクノロジーはiXやi4にも搭載される。
iX3には最高出力286hp、最大トルク400Nmを発生する電気モーターを搭載。80kWhの容量を備えたバッテリーにより、WLTPモードで最大460kmの航続距離を実現する。
BMWによると、0~100km/h加速6.8秒、最高速は180km/h(電子リミッター作動)を達成。また後輪駆動にしたことで、駆動システムの全体的な効率が向上し、電力消費量の削減により航続距離が伸び、ドライバーはクラシカルなBMWのFRドライブを楽しむことができるとのこと。
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続いて、2020年12月16日、日本のBMWオンラインストアにて、すでに予約受付けが始まっているiX。正式発売は2021年秋となる。
iXは、全長および全幅がX5と、全高がX6と同程度となる大型のSUV。BMWのフラッグシップSUV、X7と同じサイズのホイールを採用することで、ダイナミックなスタイルを実現しているという。
パワートレインは、前後に1基ずつ、計2基のモーターが搭載されており、システム最高出力は500psを発生。0~100km/h加速は5秒未満という。
WLTPモードの複合電力消費は21kWh/100km未満で、一充電あたりの航続可能距離は600km以上。最高200kWのDC高速充電でバッテリー容量の10~80%を40分で充電できるほか、10分の高速充電で航続距離が120km延ばせるとのこと。
i4は、BMW iブランド初となる4ドアのグランクーペ、つまり4枚ドアを備えたEVのクーペとなる。iX3やiXと同じ第5世代のeDriveテクノロジーを採用。
530hpを発生する電気モーターと、約550kgの最先端技術を投入した高電圧バッテリーユニットを搭載。エネルギー容量は約80kWhで、航続距離WLTPモードで最長600kmに達する。
世界的な市場の必須要件として電動車は絶対的に必須。とはいえ、当面、エンジン車が失われることもないが、より限定的な存在になるだろう。
しかし、BMWの顧客には、ブランドの性質上、趣味人も多い。性能面でのEVの優位性も見受けられるようなってきたものの、まずエンジン車のように重量を軽くすることはできないため、クルマを操る歓びという面では、エンジン車に分がある。
そして、何よりも許される限りエンジン車に乗りたいというニーズも決して小さくはない。もちろん、今後、エンジン車に対する規制は強化されることはあっても、緩むことなどありえないのが現実だ。
そうなると課税分や環境対策分を価格に上乗せする必要も生じる。それを加味しても、商品として成立するのが、BMWのエンジン車では、「M」だけ。
BMWは、将来的にはi4にもMモデルを用意する、と明らかにしている。またi8のようなBMWらしさ溢れる電動車も登場するだろう。しかし、それには、現在のM同等、もしくはそれ以上の魅力を感じさせるサプライズがなくてはならない。
その技術開発にもMモデルの成長と熟成は重要なキーであり、同時に次世代のための開発資金を稼ぐ手段でもあるのだ。
電動化の象徴「BMW i」とエンジン屋BMWの伝統が生んだピュアスポーツ「BMW M」は相反する面を持ちながらも、BMWの両輪となって未来を支えていく。端的に言えば、「M」は儲かるビジネスへと成長を遂げ、花を咲かせたのである。
その価値をいかに「BMW i」に受け継いでいくかが、今後のBMWの正念場だろう。そのクロスオーバーが起きる瞬間が、新生BMWの本当のスタートといえるかもしれない。
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