■「自動運転」という名前が勘違いのもと!? ドライバーに求められる正しい知識
長い前置きになった。本題はここからだ。ハンドルから離した手をどこに置くかが大きな課題になってくる。最新型の先行車追随クルーズコントロールは、アクセルもブレーキも踏まないで良いため、シートの上で”あぐら”をかいていても大丈夫なように思える。けれどこの運転姿勢は道交法違反。「確実に操作できない」からだ。
車両側に搭載されているセンサーの不調などでブレーキがかからなかった場合、直ちにドライバーは操作できないとならない。あぐらをかいていたら、直ちに操作できないということになる。したがって足は常にブレーキの近くで待機させておき、異常あったらすぐカバーできなければならないのだった。ハンドルもまったく同じ。
そもそも現在販売しているクルマはすべて自動運転のカテゴリーで『レベル2』に属す。
レベル2は、運転の主体がドライバーとなる。クルマのセンサー誤探知などあったらドライバーがカバーしなければならない。ということで足は「すぐペダルを踏める場所で待機」だし、ハンドルも「すぐ握れる場所にしておくこと」が義務付けられる。
ジュネーブ条約で認められている「レベル2のハンズフリー」は、手をヒザの上に置くか、ハンドルをいつでも握れる位置でホールド(いわゆる某超能力者の「ハンドパワー」の位置です)していないと道交法違反ということになる。腕組みもダメ。手を頭の上に載せるのもダメ。その状態を写真に撮られたら、即座に安全運転義務違反だ。
もうひとつ条件があります。ハンズフリー走行可能なのは、インパネに表示されるハンドルマークが写真のとおり青色となった時だけ。緑色表示となっている場合、単なるレーンキープサポートであり、ジュネーブ条約だとハンドルに手を触れていなければならない。ハンズフリー機能付きのクルマであっても、青色表示以外での手放し禁止です。
ちなみに間もなく登場するホンダ『レジェンド』の自動運転「レベル3」採用モデルは、レベル3稼働中についちゃドライバーに責任なし。つまり運転の主体は「クルマ」ということになり、事故を起こしたってドライバーが責任を取る必要なし! ウソかと思うだろうけれど、レベル3って凄いです!
極端な話、スマートフォンいじっててもOK。TV見てもOK。居眠りしちゃっててもOK。ただレベル3は、トラブルなど発生した際、15秒でドライバーにバトンタッチできることが条件とされている。したがって居眠り中、クルマから「運転してください」と警告されても起きなかったら、安全な場所で自動停止。15秒だとお酒も抜けないため飲酒運転だってできないです念のため。
参考までに書いておくと、テスラは自動運転可能だと思われているが、すべて「レベル2」のため、運転の主体(責任)については100%ドライバーにある。したがって事故はすべてドライバーの責任。しかも居眠り防止機能やよそ見注意装置などがついていない。ドライバーは「レベル3」と同じ環境にあるため、当然ながらよそ見や居眠りによる事故が起きえます。
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