ガソリンスタンドの総数が目に見えて減少し始めてから15年ほど経つが、その一方で「セルフ」のガソリンスタンドを見る頻度は増えているようにも感じる。
車の電動化が叫ばれ、そもそも低燃費化や人口の減少など、ガソリンへの需要が減っていくなか、なぜセルフ式のガソリンスタンドが急増したのか?
本稿では日本にあるガソリンスタンド総数の推移やセルフスタンドの比率を紹介、合わせてガソリンスタンドの今後についても考えてみた。
文/永田恵一 メイン写真/yu_photo-stock.adobe.com
【画像ギャラリー】減りゆくガソリンスタンド、増えるセルフスタンド……ガソリンスタンドの今後を考える
■ガソリンスタンド総数はピーク時から半減
まずはガソリンスタンドの「総数」から見ていきたい(【表1】)。すると、平成6年をピークに以降はガソリンスタンドの総数は減少が続き、最新データの令和元年度末時点ではピークの半分以下になってしまった。その理由としては、以下の3つが考えられる。
【1】燃費改善などによるガソリンスタンドの需要減
バイクを含む車の保有台数自体は2014年から8000万台を超え、現在も微増傾向ではある。
しかし、軽油の使用量こそマツダ車や輸入車といったディーゼル乗用車の増加により堅調なものの、エンジン車の燃費改善やハイブリッドカーの増加によりガソリンと、ガソリンスタンドで入手することも多い灯油の使用量が減少しているため、石油燃料とガソリンスタンド自体の需要が減っている
【2】「40年ルール」による改修の義務化を契機に廃止したスタンドも
平成25年1月に、ガソリンスタンドへ設置される地下タンクは、漏れ防止のため40年以上経った際、改修か交換をすることが義務付けられた。
交換か改修にはかなりの費用が掛かるため、このことを理由に廃止となったガソリンスタンドも少なくない。
【3】さらに電動化の加速で今後の需要減が確実
今後10年程度で電気自動車や水素を使う燃料電池車への移行や人口減少により、さらに石油燃料の需要がさらに減ると見込まれている。
■約20年前に1%未満だったセルフ式スタンドは30%超に
平成10年に消防法の改正による規制緩和でセルフ式ガソリンスタンドが解禁されて以来、今では幹線道路などを走っているとセルフスタンドばかりのように感じることもある。
そこで、セルフスタンドの件数とガソリンスタンド総数における比率を調べてみると、割合としてはまだ劣勢ながらセルフスタンドはジワジワ増えており、平成10年時点で1%未満だったのが現在では全体の3割以上に達している(【表2】)。
セルフスタンドは大規模なところが多いこともあり、目にする“頻度”などの印象から「セルフスタンドばかりのように感じることもある」というのが実態なのではないだろうか。
また、セルフスタンドは監視設備などで初期投資はフルサービスより掛かるようだが、今後もガソリンスタンドを続けるという際、人件費の少ないセルフスタンドが選ばれやすいのは当然の流れといえる。
コメント
コメントの使い方