■一方でガソリン車を残す車種も
例えばノートはe-POWERのみにしたが、ヤリスでは国内販売総数の54%をノーマルエンジン車が占める。ヤリスは新開発された直列3気筒1.5Lと併せて、設計の古い1.0Lも用意するからだ。
1.0Lは1.5Lに比べて価格が14万円少々安く、販売店では「1.0Lは法人だけでなく、一般のお客様にも人気が高い。長距離を移動しなければ1.0Lでもパワー不足を感じる機会は少なく、価格と自動車税が安くて割安になる」とコメントした。
また、アルファードでは、ハイブリッドの売れ筋価格帯が480万~600万円に達する。これでは高すぎるので、売れ筋が400~500万円の2.5Lノーマルエンジン車も不可欠だ。アルファードの販売比率も、80%がノーマルエンジンで占められ、トヨタ車なのにハイブリッド比率は20%と低い。
以上のように2020年度燃費基準への対応は重要課題ながら、ノーマルエンジンを廃止すると売れ行きを下げてしまう。そうなれば小さなクルマに乗り替えるユーザーが今以上に増えて、軽自動車の販売台数をさらに増やすことになりかねない。
そこでハイブリッド専用車は、ハイブリッド比率の高い車種、あるいは国内の売れゆきが低調でコストを抑えたい車種から、徐々に増えていく。しばらくはハイブリッド/ノーマルエンジンの共存が続くわけだ。それが本来の姿でもあるだろう。
クルマに限らずテクノロジーは、適材適所で使い分けるもの。排他的な取り組み方は、一見すると投資を集中できて効率的だが、可能性を幅広く検討することはできない。失敗すると大きなマイナスを生み出すリスクも伴う。
コメント
コメントの使い方