e-POWERの技術を使えば軽量でパワフルなEVができる
リーフはもともとEVだからリチウムイオン電池に貯めた電力を取り出すだけ。もちろん回生で充電もするが、基本外部電源から充電し発電機を持たない。このため大きなバッテリーを必要とする。
リーフe+「G」のバッテリー容量は62kWhだ。テスラなど海外のEVでは90kWh以上レベルがざらにある。ここで何が言いたいかというと、その大きなバッテリーを搭載することによる重量増だ。
ノートe-POWERの車重は1220kg。対するリーフe+Gの車重は1680kgだ。実に460kgもリーフは重い。つまり、EVでより大きな動力性能を追い求めるとリチウムイオン電池しかない今の技術では重量との戦いになる。
重量が増せば慣性が大きくなり、コーナリングもブレーキングもより大きな慣性に対応するメカニズムが必須になる。
対してe-POWERの技術ならより大きな発電をするためのパワフルなエンジン(発電機)を搭載することで目的は達成できるのである。
現在のノートe-POWERは、軽量化のため3気筒1.2Lのエンジンを搭載しているが、これを4気筒1.5Lターボや2.0Lとより大きくパワフルにしたとしても460㎏もの重量増にはならない。せいぜい+50㎏ぐらいでパッケージングできるのではないだろうか。
つまり、e-POWERの技術を使えば軽量でパワフルなEVができるというわけ。実際、欧州で発表されたキャシュカイe-POWERの発電用エンジンには日産の技術の結晶でもあるVC(可変圧縮比)エンジン(154ps)を採用し、電気モーターの出力は187ps。リーフe+「G」の218psに迫る勢いだ。
実際、リーフe+「G」よりもキャシュカイe-POWERの方がはるかに軽量なのだから運動性能はe-POWERに軍配が上がる。
インバーター&モーターとバッテリーがe-POWER高性能化の肝
余談だが欧州向けノートe-POWERも1.5Lエンジンにパワーアップされる。e-POWERは発電用エンジンのパワーアップにより、さらにパワフルなモーターパワーが得られるのだ。
先日、オンラインでの発表で日産はe-POWER発電用エンジンの熱効率50%を達成する見込みがついたとのこと。
ただし、これはエンジンの回転数を効率の良い固定回転にしてのこと。これではスポーツ性に乏しいと感じるかもしれないが、例えばマツダのMX-30 EVではスピーカーからエンジンではないモーター+インバーターの心地よい音を流していた。ギミックではあるがこんな方法もあるだろう。
スポーティなe-POWERに関しては是非NISMOやオーテックでの開発に期待する。例えば電気モーターは高回転域で効率が悪くなる。これに対してトランスミッションを装備することで操る楽しみをプラスしながら効率を上げる。さらにモーターの高回転域の回転升を下げるなどハードウェアの進化もありだろう。
もうひとつ、電気モーターにとって重要なインバーターだ。e-POWERには小さいながらEVのようにバッテリーも存在する。バッテリーは直流(DC)なので交流(AC)で動くモーター(ブラシレス)に送る電流は直流から交流にしなくてはならない。
この役目を司るのがインバーターだ。直流は一定方向のプラスマイナスの流れだが交流はプラスマイナスが常に入れ替わる。そのサイクルが一般家庭電源では50Hz/60Hzのレベル。家電でも交流をいったん直流にして(コンバーター)、再度インバーター(交流)によって家電製品に適したサイクルを作り出している。
しかし、クルマの高性能モーターを動かすインバーターでは数万Hzとなる。これによって加減速を含めきめ細かくモーターをコントロールしている。高性能インバーターなしでは加減速はできないのだ。そう、アクセルさえコントロールすれば走ると想像しがちだが、そこにはインバーターという先進機器が介在する。
e-POWERのスポーツ性については、このように高効率で軽量パワフルな専用内燃機関の開発と、高性能なインバーターとモーターの開発、さらに軽量・高電圧・高効率なバッテリーの開発という要素が求められる。
つまり、開発のノリシロがまだまだある楽しみなコンテンツなのである。
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