SUV&ミニバンら3列シート、EV化、自動運転ら自動車関連の裏事情 10選

■世界が進めるEV化の “実はヤバイ”

 EVはいま完全にバブル状態。そりゃ超長期的に見ればモビリティの動力源が電動化されるのは必然だけど、そのためには解決しなければいけないハードルが山ほどある。

 推進派は熱に浮かれて都合の悪い部分をワザと無視しているんじゃないか、そう疑いたくなるほど問題点はイッパイある。

 まず第一の論点は技術面における問題だが、これにはメディアやネットでもよく論争が戦わされているからご存じの方も多いと思う。

 電池を中心としたEVの耐久信頼性、充電時間や充電インフラ、中古車価格の下落、そしてそもそも電気をどうやって造るのかというCO2排出量の問題…。

 現在もっとも販売台数の多いEVでも累計50万台レベルなので、こういう課題が克服されているのかどうか、検証にはまだまだ時間がかかる。

 ただ、ぼく個人としてもっと気になるのは「ほんとうにEVってそんなにボンボン売れるの?」という根源的な問題だ。

 いま、○○年後に年間ウン百万台というふうにEVのバラ色の未来が語られているが、規制によってユーザーを無理やりEVに誘導している中国ですら、そんなに容易に達成できる数字とは思えない。

 収益を生み出せない事業をいつまでも継続することはできない。EVがほんとうにたくさん売れて自動車メーカーが利益を上げることができるのか? これこそが、EV最大の問題点なんじゃないかと思います。

(鈴木直也)

e-POWERが現実的か……
e-POWERが現実的か……

■理想的な乗り物FCVの “実はヤバイ”

 EVブームのあおりで「FCVはオワコン」なんていう声も出ている。FCVは水素というありふれた元素をもとに電気を起こし、排出されるのは水だけ。原理としてはこんなにエレガントでクリーンな動力源はない。

 しかし、その水素の扱いこそがいちばんの難問。元素の中でもっとも軽い水素は、エネルギー密度が低いから液化か圧縮が不可避。

 さすがに液化水素は扱いが難しすぎるから、最近のFCVは70MPaまで圧縮した高圧水素タンクを使っている。

 液化水素ほどではないにしろ、この高圧水素タンクの扱いがきわめてデリケート。絶対漏れちゃいけない、衝突しても壊れちゃいけない、居住性を損なっちゃいけないと、えらく高コストなパーツになっている(アルミ容器にカーボンファイバーテープを巻いて強化する構造)。

 FCVの課題は突き詰めて言えばコストの問題。初期にはそれがFCスタックだったが、スタックが安く造れるようになると今度は水素タンク、そしてその次はインフラとしての水素ステーション…。実用化の道のりには、コストダウンの高いハードルがつぎつぎ待ち構えている。

 シンプルでエレガントな技術ほど、実用化が難しいという見本かも。

(鈴木直也)

高圧タンクの安全確保が大変なFCV
高圧タンクの安全確保が大変なFCV

■話題のライドシェアの “実はヤバイ”

 若者のクルマ離れとかいわれて久しいけど、それはお金の問題であると同時に効率の問題を含んでいる。

 ある調査(国土交通省全国都市交通特性調査集計)によると、クルマの1日あたり平均稼働時間は30分。つまり、残りの23時間30分は車庫で眠っているわけだ。

 「だったら、使うときだけ借りた方がイイのでは?」効率を考えたら誰でもそう考えるのが必然。所有からサービスへ、クルマの使い方が劇的に変化しようとしている。

 「使うときだけ借りる」というと、まず思い浮かべるのがレンタカーだが、いま話題の「ライドシェアリング」はもっと幅広い概念だ。

 一部大都市ではすでに一般化しているカーシェアリングをはじめ、ウーバーやリフトなどのライドシェアサービス、個人の相乗りシェアリング、あるいは既存のタクシーなんかもここに含めていいかもしれない。

 ライドシェアにおけるユーザーのニーズは、クルマそのものではなく「移動」というサービス。それがどれだけ便利で経済的かが勝負となる。

 つまり、予約や決済などをスマホで完結させるネットアプリケーションのよしあしこそが主戦場。このサービスを自動運転車で提供しようというのが究極の目標だ。

 そのイニシアチブを自動車メーカーが死守するのか、あるいはIT企業に持っていかれちゃうのか。すでに戦いははじまっているみたいですよ。

(鈴木直也)

ライドシェア専用車も必要かも
ライドシェア専用車も必要かも

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