最近、「人気テレビドラマ『相棒』の“右京カー”がオークションに出品されている!」 と、ネットのニュースなどで話題になった日産フィガロ。
このドラマで使用されたフィガロは撮影用に仕立てられた市販車にはないボディカラーの車両だが、話題になったとなると「中古車で今でも買えるのか?」「価格はいくらなのか?」というのが気になるところ。
フィガロそのものは愛らしいレトロデザインのコンパクトオープンカーで、30年前に発売されてからこれまでもたびたび注目を集めてきた。そのため長年のファンも多い人気車となっているフィガロ。その中古車の相場や購入ポイントなどを、今あらためてガイドしていこう!
文/伊達軍曹 写真/日産自動車
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■人気ドラマの出番がなくなったことが注目のきっかけに!
過日、「“右京カー”がネットオークションに出品されている!」との情報が一部で話題となった。
右京カーとは、レーシングドライバー片山右京さんの愛車……、ではなく、人気テレビドラマ『相棒』の劇中で、俳優の水谷 豊さん扮する主人公・杉下右京が乗っていた黒い日産 フィガロのことだ。
通常、警察の捜査員(いわゆる刑事)が乗る捜査車両は地味なセダンあるいはスズキのキザシと相場は決まっているが、『相棒』の杉下右京が運転する捜査車両はなぜかブラックボディ+ホワイトルーフの特注塗装が施された、品川ナンバーの日産フィガロだった。
その洒脱なビジュアルと雰囲気が相棒ファンの間で話題を呼び、通称「右京カー」は2014年に京商から1/43ミニカーが、タカラトミーからはチョロQが発売されるほどの人気に。
そんな右京カーもドラマのなかでは2015年3月に終了したシーズン13以降はほぼ出番がなくなっていたわけだが、それがいきなりネットオークションに出品されたことで、再び右京カー=日産フィガロにスポットライトが当たる形となったのだ。
■数は少ないが、足を使えば探せないことはない!
だがそれはあくまで「相棒ファン」の間での話。
日産フィガロというクルマ自体は、新車が発売された1991年2月から今にいたるまで一貫して、クルマ好きあるいは「カワイイ車好き」からの熱視線を浴び続けているクルマだ。ついでにいえば海外のフィガロオーナーズクラブも、いまだ超絶盛り上がっている。
それゆえ当然、日産フィガロの中古車は今なおフツーに購入可能だ。
とはいえ1991年から1992年にかけて2万台のみが限定生産され、その一部は前述のとおり海外に流出し、そして4人乗りとはいえ実質2人乗りの小さなオープンカーであるという特殊性ゆえ、日産フィガロの中古車流通量は決して多くはない。
中古車情報サイトの掲載数台数は「グーネット」が15台で「カーセンサーnet」が22台だが、両者で重複している分を整理して合計すると30台になる。
そしてグーネットにもカーセンサーnetにも掲載されていない中古車もあるだろうことを考えると、2021年3月現在の推定国内流通台数は40~60台ほどだろうか。この数字は、「少ないが、他県まで足を伸ばす気合があれば探せないこともない」といったニュアンスだ。
■価格とコンディションの目安は?
そして直近の中古車相場は最安値が約80万円で、最高値が約460万円。ちなみにフィガロの新車時価格は税抜187万円だった。
だがこの最安値物件と最高値物件は条件的にやや特殊であり(最安値物件=走行12万km、最高値物件=走行わずか1.3万km)、一般的な中古フィガロの価格とコンディションの相関関係は、おおむね下記のとおりとなっている。
(※中古車の価格とコンディションは1台ごとに千差万別であるため、下記は「絶対にこう!」という話ではなく、あくまで「目安」とお考えください)
●80万~120万円
走行距離多めで、「現状販売」またはそれに近い状態。
●130万~180万円
中古フィガロのボリュームゾーン。走行距離が多めであっても、専門店が各部にレストア(修復)と整備を施した個体か、レストアはされていないが各部の状態のよろしい個体が、おおむねこのぐらいで販売されている。
●190万円~460万円
走行距離短めの個体が190万~240万円ほどで売られている場合が多い。走行数千kmレベルのコレクターズアイテム的個体は400万円超の値札が付くことも。
このなかで人気が高いのは、やはり車両価格130万~180万円あたりの「専門店がさまざまな修復を施した個体」だ。
修復の内容は販売店によりさまざまだが、幌を張り替えるとともにシート表皮も張り替え、足まわりやエンジンなどの必要な整備を施している場合が多い。それに加えて、いわばオプションとして「さらにどこまで手を入れるか=直すか」を、購入時にユーザーと販売店が相談しながら決めることになる。
■ショップのチョイスは後々のことも考えて
日産 フィガロは古いクルマゆえ「パーツの供給状況」が気になるところだが、専門店であればさまざまなサードパーティ製部品のストックや、いわゆる部品取り車を揃えているため、基本的には心配無用。
ただし専門店というのは、マンパワーの関係で「自分のお店でクルマを買ってくれた人への対応」がどうしても最優先となる場合が多い。そのため、ほかの一般店で安くフィガロを購入し、メンテナンスだけは専門店でやってもらおうと考えても後回しにされたり、場合によっては受け入れを断られるケースもある。
それゆえ、もしもこれから日産 フィガロあるいはフィガロ的な「古くてカワイイ車」を買いたいのであれば、ぜひその道の専門店で車両を購入することをお薦めしたい。
■アフターケアの面倒さを覚悟してでも購入したくなる古カワイイ車たち
そして「古くてカワイイ車」といえば、フィガロより少し前の1989年に発売された日産パイクカーシリーズの第2弾、「日産 パオ」が気になっている人も多いはず。
フィガロと同じく初代日産 マーチをベースに作られ、1989年から1991年にかけて約3万1000台が限定販売された日産パオの現在の流通量は、カーセンサーnetによれば51台で、グーネットの掲載台数は49台。両者で重複している物件の数を整理してカウントしたところによれば計68台であった。
全体の相場は約40万~約180万円で、ボリュームゾーンは80万~140万円といったところ。こちらパオも130万円前後で、専門店によってレストアされた個体か、程度良好なオリジナル状態の(純正状態の)物件が販売されていることが多い。
日産パオおよびフィガロは、エンジンの燃料供給装置がインジェクターではなく「キャブレター」だった時代の古いクルマ。
それゆえ現代のクルマと比べれば若干面倒な部分はあり、いくら整備済みまたはレストア済みの中古車だったとしても、乗っているうちにどこかは必ず壊れるはず(というか、消耗部品が寿命を迎えるはず)。
だが、そういった「面倒」を覚悟してでも購入するだけの価値が、フィガロとパオのデザインおよびたたずまいにはあるような気がしてならない。
キラキラした目つきのド派手系デザインばかりになってしまった昨今の新車に違和感を感じているなら、ぜひ一度、日産 フィガロおよびパオの中古車をチェックしてみてほしい。






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