■キャシュカイは日本に導入する価値の高いSUV
筆頭に挙げられるのは日産キャシュカイだ。2021年2月に新型が披露された。初代キャシュカイは、デュアリスとして日本国内でも販売され、今でも比較的コンパクトなSUVに位置付けられる。
新型キャシュカイのボディサイズは、全長が4425mm、全幅は1838mm、全高は1635mm、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2666mmだ。新型ローグ(次期エクストレイル)は、それぞれ4648mm×1838mm×1689mmで、ホイールベースは2700mmになる。
コンパクトSUVのキックスは、4290mm×1760mm×1610mmで、ホイールベースは2620mmだから、キャシュカイは中間的なサイズだ。
キャシュカイは北米ではローグスポーツとして売られ、前述のとおりローグよりも少しコンパクトでスポーティに仕上げている。
しかも新型キャシュカイのe-POWERでは、発電用エンジンに、圧縮比を変化させるVCターボが採用される。また12Vのマイルドハイブリッドを搭載する1.3Lターボエンジンも用意され、環境性能を向上させた。
この特徴を生かして、キャシュカイを環境性能の優れたスペシャルティ感覚のSUV、エクストレイルは実用指向のSUVに位置付けると、ユーザーも選択肢を広げられる。
従来の判断では、エクストレイルとキックス(あるいは以前のジューク)があれば、キャシュカイ(デュアリス)は不要とされたが、今はSUVが人気を高めたから導入する価値も高い。
■シエンタクロスオーバーは日本で販売してもいい!
SUVの商品開発はさまざまで、既存の車種をベースに使うことも多い。例えばスバルXVは、5ドアハッチバックのインプレッサスポーツをベースに、SUVにアレンジされた。ホンダにもSUV風のフィットクロスターやフリードクロスターがあり、トヨタアクアもクロスオーバーグラムを用意する。
その意味で導入すべきなのが、2020年12月にトヨタが台湾で発表したシエンタクロスオーバーだ。
コンパクトミニバンのシエンタをベースに、前後バンパーの下側にアンダーガード風の樹脂パーツを装着したり、ルーフレールを採用してSUV風に仕上げている。最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)は、ノーマルボディに比べると20mm拡大され、悪路のデコボコも乗り越えやすい。
シエンタは人気のコンパクトミニバンだが、今では発売から5年以上を経過した。2020年の登録台数は、コロナ禍の影響もあり、前年に比べて34%減った。
シエンタクロスオーバーを導入すれば、新たな需要も獲得され、従来型のシエンタから乗り替えるユーザーも生じる。ベースグレードに比べて10万円(ルーフレールを加えると15万円)程度の価格アップで導入すれば、好調な売れゆきも見込める。
シエンタのクロスオーバーは、導入される可能性が特に高い。
■サイズはアルファード超え! 北米製ミニバンのシエナ
トヨタの日本国内で売られないミニバンとしては、シエナも挙げられる。全長は5mを上まわり、全幅は2m弱だから、この2つの数値はランドクルーザー(200系)並みだ。その半面、全高は1740~1820mmだからミニバンでは少し低い。
アルファード&ヴェルファイアと比べると、全長と全幅はシエナが上まわり、全高は120~200mm下まわる。
つまりシエナは、機能的にはLサイズのワゴン風ミニバンだから、走行安定性が優れている。その代わり荷室高はアルファード&ヴェルファイアに余裕がある。そこでシエナは、2/3列目のシートが脱着可能で、荷室を拡大できるように工夫した。
アルファードが1カ月に1万台以上販売される現状では、国内にシエナを投入しても需要を確保するのは難しいと判断されそうだが、新しいミニバンのニーズを掘り起こせる可能性もある。
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