インフィニティがSUVに特化するワケ
インフィニティはこの10年、SUVに力を入れている。2016年にはミドルクラスSUVのQX50をモデルチェンジし、インフィニティブランドの稼ぎ頭に。2020年9月には3列シート7人乗りのSUV「QX60 Monograph(モノグラフ)」を公開。同11月には、2021年登場予定の「QX55」を発表、アメリカ、カナダで発売されたあと、他の主要市場へと導入される予定だ。
インフィニティのSUV特化については、世界的なSUVの流れに乗っている、ということもあるが、これには、「SUVであれば、古いFRプラットフォームではなく、比較的新しいDプラットフォームを使うことができる」という事情もある。
車体骨格剛性などに新たな知見を入れた新技術が盛り込まれていることに加え、エンジン縦置きFRのレイアウトと比べて省スペースで済み、海外にある現地工場でも製造ができ価格を抑えられるのだ(※FRプラットフォーム車は日産栃木工場がメインであり、そこから世界中へ輸出している)。
もはや新しいFRプラットフォームは必要ない!?
ここからは筆者の予想だが、日産は当面、既存のFRプラットフォームを流用し、戦っていくつもりであろう。そう考える根拠が「電動化への対応」だ。
現代のクルマにおいて、「電動化」による低燃費化とCO2排出量抑制は、もはや避けては通れない。現在のスカイラインは、3.0Lツインターボと、3.5Lガソリンエンジン+ハイブリッドグレードの2種類あるが、ハイブリッドであっても燃費は良いわけではない(WLTC総合燃費は12.4km/L、CO2排出量は161g/km)。
パワートレインを、例えば直列4気筒のVCターボに置き換えたとしても、ドラスティックな燃費改善は起こりにくい。
となると、欧州市場で2020年2月に発表となった新型キャシュカイのe-POWERターボ(1.5LVCターボを発電エンジンとした新e-POWER)のような、2021年のCAFE規制に対応できるパワートレインが必要になる。というか、そうしたパワートレインでないと通用しない。
スカイラインがFR車として生き残るには、「電動の後輪駆動車」となっていくしかないが、そもそも後輪をモーター駆動にしてしまえば、トランスファーやプロペラシャフト分のコストも不要となり、軽量化がなされ、さらなる燃費改善へとつながる。
つまり、トヨタミライの駆動方式のように、フロントで発電して(ミライは水素発電だが)、リアの駆動モーターを動かすほうが、合理的なパッケージングだと考えられる。フロントに駆動用モーターを追加すれば、4WDもたやすくできるはずだ。そう考えると、もはや新しいFRプラットフォームは必要ないのでは、という結論が見えてくるのだ。
スカイライン、フーガ、シーマは電動後輪駆動車で!!
スカイライン、フーガ、シーマは、「大排気量のマルチシリンダーエンジンを積んで、なおかつ、後輪駆動でないとダメ」、と考える方もいるだろう。だが筆者は「電動の後輪駆動」になってもいいじゃないかと思う。日産らしく、電動技術を駆使して、古典的な後輪駆動のフィーリングを生み出せばよいのではないだろうか。
5年後、この3車種がそうした姿で生き残っているとしたら、日産車がより面白くなるのでは!? と考える。
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